また著作権ごと(放棄した)の契約で販売された作品もある。アメリカで、『超時空要塞マクロス』・『超時空騎団サザンクロス』・『機甲創世記モスピーダ』の3作品をハーモニーゴールド USA 社(Harmony Gold USA)が翻案した『ロボテック』が制作され、さらに他国に輸出された事例も存在する[48]。
世界的な多チャンネル化でソフト不足の中、日本アニメは安さで世界各地に広がった[49]。現在では、北米、南米、ヨーロッパ、南アジア、東アジア、ロシア、オーストラリアなど全世界に及び、総務省の調査(2005年度)によるテレビアニメの輸出額は、国内のテレビ放送権料の412億円の15分の1程度、26億円から28億円の規模である[50]。輸出金額では過半数を北米向けが占めるとも言われる。
日本貿易振興機構は、地域、国別にコンテンツ調査しており、その中にアニメに関する統計や傾向などのレポートがある[51]。しかし、近年は海外におけるアニメ市場が拡大する陰で、日本製アニメのシェアは縮小傾向にある。また放映終了後に各国の言語字幕を入れて違法に配信する「海賊版アニメサイト」が増加している。 文化の違いとして、『ドラえもん』など日本の生活風景が出るものや、『ベルサイユのばら』など特定の国を扱ったものは、受け入れられるかどうかは国によって大きく異なる。『ドラえもん』は、ヒーロー的な男性を尊ぶ北米では受け入れられず2014年まで放送されなかったが、東南アジア圏では人気がある。 東南アジア圏では性的な表現を除き、日本文化的な表現も受容されつつあり、再評価されている。好まれる作品は日本とあまり変わらない。また『超電磁マシーン ボルテスV』のように、特定の国で一部の人物の間(ファン)の中でヒットする作品も存在する。またキャラクターの人気も国によって異なる。 フランスでは、1983年にジャック・ラング文化相が文化侵略だと公言し、自国のアニメーション製作者へ助成金を出すことになった[62]。1989年には『キン肉マン』、『北斗の拳』が残酷だとバッシングされ放送中止となった。『聖闘士星矢』は暴力シーンをカットし世界中で放映されヒットし、アメリカを除き、ヨーロッパやメキシコ、南米で根強い人気がある[63]。また、欧州製の番組を6割以上放送することを放送局に義務付けたクォータ制度があり、残りの4割の中でアメリカと日本のアニメが放送されている[64]。 EU加盟国では、1997年にEU理事会が、ヨーロッパ製の番組が放送時間の50%以上になるように放送局に義務付けた「国境なきテレビ指令」を出してから外国製アニメの新規放送が難しくなっている。 ニュージーランドでは『ぷにぷに☆ぽえみぃ』は、登場するキャラクターの容姿が幼児に見え、幼児性愛好者を増長させているとされ、政府機関により発売禁止処分を受け、所持が確認された場合、児童ポルノ禁止法違反により罪に問われる。北米やオーストラリアなど多くの国でそれに準じた処分が行われている。 アメリカでは、日本のアニメは古くから名前を変えたりストーリーを編集したり改変されてアメリカ化され、非アメリカ的な発言は取り除かれるのと同時に元の日本の製作チームに関する言及は最低限しか残されなかった[注 14]。1970年代にアメリカで起きた子供向けテレビ浄化運動で、増加していた日本のアニメの暴力描写と性的内容は問題視され、アメリカのテレビネットワークはアニメ放送を平日のゴールデンタイムから土曜朝に移行するが、各種保護者団体はネットワークに圧力をかけてアニメの一層の浄化を求め、日本のアニメは流せなくなった。1982年には、東映が『銀河鉄道999』をアメリカのニューワールド・ピクチャーズに売ったが、アメリカに合わせて大幅に改変され、ストーリーも破壊されたため東映はアメリカ事務所をたたんで撤退している。改変は舞台を日本ではなくアメリカの架空の場所に変えたり、人物も日本人名からアメリカ風に変えてアメリカの文化・生活が反映されたり、日本円もドル紙幣に変えられるなど、ローカライズが行われている。
輸出の歴史
1961年 - 東映動画(現:東映アニメーション)の初期長編作品がアメリカへ輸出される。大川博が「東洋のディズニー」を目指し設立した東映動画は当初から国際市場を意識していた[52]。
1963年 - テレビアニメとして、初輸出された『鉄腕アトム』は、放送開始から8か月後に、アメリカのNBC系列のNBCエンタープライゼスによって、全米ネットワークでなく番組販売される形で放送された[53]。続く『ジャングル大帝』は初めからアメリカ市場を意識して人種差別等を考慮して制作された[54]。
1970年代前半 - テレビアニメの輸出が一般的になり、最初は香港と台湾向けに始まり[55]、北東アジア圏、東南アジア圏で放送されるようになる。
1970年代後半 - 最初はイタリア、次いでフランスに向けに始まり、1980年代にかけてヨーロッパに大量に輸出される。その背景には、ヨーロッパにおける、テレビの多チャンネル化による需要と、日本製の作品が廉価で、本数の多さがあった[56][57]。東映動画が制作したテレビアニメのうち全体の3分の2はヨーロッパ向けで、特にフランスとイタリア向けが多かった[58]。アメリカ、アジア圏同様、内容が改変されることもあった。
1980年代 - 中華人民共和国で放送される[59]。
1988年 - 欧州委員会の報告によると、1988年に欧州諸共同体(EC)で放映されたアニメの60%以上が日本製であった[60]。
2013年 - 情報通信政策研究所の発表によると、2013年の日本の放送コンテンツ海外輸出額は約138億円であり、このうち、アニメが62.2%を占める[61]。
現在、香港、タイ、台湾などでは、ほぼ1週間程度の差で日本で放送のアニメ作品が放送されている。またネットでは海外向けのアニメの配信が行われ、日本での放送の1時間後には全世界で日本のアニメが見られるようになった。
近年では海外を中心に「海賊版」と呼ばれる違法アニメ配信サイトが存在しており、海外への輸出展開を難しくしている。経済産業省の試算によると海賊版による損失は中国だけで年間5600億円、米国では2兆円を超えるとされ、2014年より海賊版を配信しているサイトへ削除要請をしていく取り組みがされている。
2020年代にはインターネットにより同時配信されるスタイルが普及した[46]。
日本国外の評価
日本国外の規制等の事例