アニメ_(日本のアニメーション作品)
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1990年代後半から、着色工程がセル画に直接行うものから、原画をスキャンしてパソコン上で行うデジタル彩色に移行し、1999年頃に全面的に移行し最後までセル画で制作されていた『サザエさん』の2013年9月29日放送分を最後に[24]、全ての商業作品はデジタル方式に移行した。仕上げ工程に導入された、デジタルペイントは訂正が容易で塗料の乾燥を待つ必要がなく、傷・ホコリなどのセル画の管理の手間も省け、また画像データとしてネットワークに載せることが可能となり、日本国内および国外などの遠隔地とのやり取りが容易化したことで、大幅な省力化・コストダウンが進んだ。また、液晶タブレットなどの普及が進むころは着色作業のみならず、作画・動画作業もペイントツール上で行うことも可能となり、原画の時点でデータとして送ることも可能になった。

映像表現においては塗料による使用色数の制限がなくなり、精密なグラデーション表現が可能となった。撮影工程でのセルの重ね合わせによる明るさの減少がなく、カメラワークの自由度が広がる他、エアブラシによる特殊効果透過光などが簡単に施せるなどの利点がある。ただ、色の三原色ではなく光の三原色寄りにビデオ出力されるため、フィルムとビデオでは映像の質感が異なり、フィルムは柔らかい質感、ビデオはクリアな映像が特徴があり、クリアで明るすぎる発色に違和感もあった。その後、彩色補正により改善されてセルアニメを凌ぐ美しさを持つ作品もみられる。

3DCGは作画崩壊することなく自由なアングルで描写でき、完成後もソフトウェアで変形・変色が可能であるなど品質安定と省力化の効果が大きい。単にCGを配置しただけでは手描きとの質感の差から違和感があるため、色調などを調整し違和感を軽減する手法やフルCG作品に手描きの表現手法を再現するなど、双方の技術を融合する試みが行われている。2010年代に入るとセルアニメの質感をCGで再現する『セルルック』と呼ばれる技法が発達し、日本でもキャラクターなどにもCGを使用する作品が増加した。

日本国外ではディズニー映画を多く手掛けるピクサー・アニメーション・スタジオを中心としてフル3DCGアニメーションが主流となり手描きアニメを駆逐する勢いだが、日本国内では自動車などの機械類や魔法のエフェクト、動きの多いシーンなどを描写する補完的な使用が依然として多い。プロレベルの3DCGソフトウェアはライセンス料が高額でコンピュータも高性能モデルを必要することに加え、複雑な操作を習得するため専門学校等でトレーニングを受けた人材が必要になる、手描きアニメに慣れた視聴者に訴えにくいといった点から、2020年代現在もフルCG作品は少ないのが現状である。

実際の業務を行うのはアニメ制作会社の一部門やCG関連業務のみを受託する小規模なスタジオが多いが、ポリゴン・ピクチュアズのような3DCGの専門会社がアニメ制作に参入する例もある。
anime

ラテン文字のanimationの m の次は a であり e が含まれていないので、animeと略すことは出来ない。アニメーションをアニメと略せる言語は日本語に限られるため、日本国外の英語圏などで「anime」という場合は日本のアニメや日本風の表現様式のアニメに対して用いられる[25]。日本国内では、製作国や作風に関わりなくanimeが使用される[26][27][注 4]

英語ではanimeと綴った場合の発音は「エイニム」あるいは「アニーム」のようになるが、日本語と同じ「アニメ」と発音している。animation(英)→アニメーション(日)→アニメ(日)→anime(英)として逆輸入されたものである。日本での「アニメ」読みが名詞として辞書に掲載される例もある。

フランス語には animer(動く)の過去分詞形の anime(アニメ、動いた、動かれた)があり[注 5]、同用途で英語でも anime と綴られるため、フランス語由来説も存在する。
アメリカ合衆国での普及
1972年、ビデオデッキが発売されると、1976年2月にはファンサブ(無断で英語字幕をつけた海賊版。著作権侵害であり、アニメDVDの販売に悪影響も出ている)活動が始まり、1977年には専門のサークルが活動を開始した。既に日本製ロボットアニメーションを指す語としてanimeという語が用いられていたが、愛好家たちの隠語か専門用語のようなもので、一般には広まらなかった[28]。1991年、The Society for the Promotion of Japanese Animation(略称SPJA)が発足し、翌1992年から毎年「Anime Expo」が開催されると、OTAKU(おたく)が増加するなど[29]、animeは急速に普及していった[30]。ただし、彼らは対価を払ってから視聴する者よりも無料なファンサブなどの海賊版でアニメを視聴している者の方が多い。
フランスでの普及
日本製アニメーションはanime(アニメ)と呼ばれる。英語から輸出される形で移入される。アニメーション(動画)はdessin anime(デサンナニメ)(動く画) と呼ばれる。
ジャパニメーション(Japanimation)
北米

主に1970-1980年代に使用された日本製アニメーションを指す語。日本で用いられるようになった1990年代には、現地では既にほぼ死語と化しており、日本製アニメーションを指す言葉は「Anime(アニメ)」に取って代わられている。

音節的に Japan-animation から Japanimation の略語であるが、Jap日本人の蔑称)の animation とも読めるため、日本人と文化に対する差別・偏見と、アニメーションへの偏見から、日本製アニメーションを指して「くだらないもの」あるいは「子供の教育上良くないもの」の意味を含めていた可能性もある。

当時、北米に輸出された作品は、文化・習慣・表現規制の違いから大幅に改変され、日本製であることは伏せられて(クレジットも除去)、ストーリーは勧善懲悪、残酷シーンは全部カット、主人公たちはいろんな人種・性別を取り混ぜる、セリフはわかりやすく悪役はダミ声、正義の味方は力強く、放映局ごとに放映本数が違うという米国事情によって一話完結の単純明快ストーリーに改変される、といったようなことが定番だった[31]

長期に渡り連続する複数の作品を1作品として編集し、制作者の意向と掛け離れた独自改変された作品を示すこともあった[31]

2000年代以降の用例としては、一部のアニメーション関連のオンラインショップ[32]で使用される場合もある。
日本

前述の北米での発祥を受け「海外(日本の外)で視聴される、人気を呼び且つ評判になっている日本製のアニメーション」という意味で1990年代に『AKIRA』『攻殻機動隊』の原作漫画出版元である講談社をはじめメディア上で度々使用されていた。

しかし、岡田斗司夫よれば「ジャパニメーション」が日本に紹介された時点ですでに死語化していた。岡田は「この言葉の中に現在のアニメをとりまく環境の不幸と現状が全て凝縮されている」と言い、1995年当時では『らんま1/2』『マクロス』『セーラームーン』『機動戦士Ζガンダム』や自身の関わった『王立宇宙軍』などが当時の北米アニメオタクの人気作品であったにも関わらず、『AKIRA』『トトロ』などの「よそゆき」な作品しか眼中にない日本のメディアを嘆いている[31]。また日本での「ジャパニメーション」の流行には「アニメなんて呼ぶと、オタクと間違えられそうでいやだ、カッコ悪い」「アメリカやヨーロッパで評価されたものはとにかくありがたい」「オタクは暗くてカッコわるい」という動機も見え隠れしていたという[33]

2000年代以降は減っているものの、未だに使用されているケースも見られる。2011年には同名のアメリカの人気テレビドラマをアニメ化したOVAシリーズ『スーパーナチュラル・ジ・アニメーション』において、海外ドラマを日本のアニメ制作会社マッドハウスがアニメ化し世界で発売されたということでジャパニメーションと銘打たれていた(テレビ放送時の宣伝でも使用された)[34][35]。「世界で通用する日本のアニメ」など、世界を意識した視点で作品を紹介する際に使用されている[36]
業界団体
日本動画協会(略称:AJA)

日本におけるアニメーション業界の意思統一、関連団体との連携、アニメーション産業の持続的発展を目的とした一般社団法人
日本芸能マネジメント事業者協会

声優のマネージメントを行うプロダクションなど事業者が加盟する[37]
日本声優事業社協議会

声優事業社で組織[38]


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