動画1枚・原画1カットの単価×出来高制の業務委託・請負形式である。制作物の著作権は製作委員会や原作者などが有しているため、指定されたカットを描くアニメーターには著作権料は支払われず、買い切りであるため売り上げも還元されない契約が普通である。
作画監督は1話の制作期間(2カ月程度)拘束されるため、作品の掛け持ちや、あるいは制作会社が拘束料を支払い専属の契約社員となる場合もある。
新人アニメーターの多くは契約社員であり、才能が無く動画からステップアップできない者は収入が上がらないことから[14][6]、転職を進められるなどして1年間で90%が辞めていく状態である[14]。平均労働時間は1日約18時間、週2回は徹夜で月収約2?3万円しかない(新人)。中堅クラスのアニメーターや動画担当でも月収は約7万5000円?10万円[注 1]程度しかなく、良くても約15万円といわれ、約25%は年収100万円以下であるといわれる[18]。
1980年代ごろまでは月あたり1000枚ほど生産していた動画アニメーターが存在していたのに対し、制作体制のデジタル化に伴いスキャンして彩色する関係上、作画の線を綺麗に描かなければならないこと、視聴者から求められている作画のレベルが上がっていることから、1人で多くの枚数を生産しにくい状況となっており、月に500枚描ければ動画マンは一人前とも言われる。動画マンとしての仕事を覚えて現場でアニメーターとしての実力を認められると原画の仕事に移行する[19]。原画の場合は1枚ではなく、1カットの単価であるが、責任者である作画監督になると1話あたりの単価で計算されるという。単価制であるため1カ月に300カットのレイアウトを描き、月収が200万円に達する者もいる[15]。フリーランスの場合は経験年数とは関係なく原画を受注できノルマも無いことから多くのアニメーターは独立を志向しているが[20]、制作費に上限があるため単価が上昇すると起用される機会が減少するというジレンマや[15]、そもそも起用されるか不明という問題がある。またフリーランスは所属先のフォローが無いことから制作側からのイメージが良くないとされ、賃金交渉では不利だという[15]。
制作にはアニメーター以外のスタッフも多く関わるが、 アニメ監督の山崎理は「アニメ制作の予算配分はおかしく、音響監督、脚本家、撮影はもらいすぎではないか」と疑問を呈している[21]。なお限られた制作費から配分されるため制作会社も赤字になることが多い[17]。このためグッズなど作品以外の収益に依存する体質となっており、ユーフォーテーブル社長の近藤光は賃金の未払いや倒産を防ぐため、グッズの収益を脱税して起訴された[17]。
劣悪な労働条件を改善するため、2007年(平成19年)10月13日に、スタジオライブ社長の芦田豊雄の呼びかけで、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が設立された[22]。
統計では制作費やスタッフの給与は全体的に上昇し福利厚生も向上しているが、重要な役職の給与のみ上げる合理化やアニメーターのフリーランス志向により、最低給与の動画と他職の格差が進んだことが、「アニメーターは劣悪な環境」と指摘される要因となっている[14]。またいち早くステップアップできる者と、基礎が出来ておらず上達が見込めない者の格差も存在する[14]。
2008年に株式会社ボンズ名義でアニメーターの個人情報が流出する事件が起こり、アニメーターの格付けが行われている実態が明らかとなった。その格付けによると「こいつはクビ」「戦犯」「会社の癌」などとアニメーターの人権を否定するよう格付けしていた(ボンズ側は一切関係ないと否定)[23]。
2016年10月頃よりピーエーワークス所属のアニメーターが自身のTwitterにおいて、支払明細書を掲げた上で同社の雇用条件や賃金に対して、批判的なツイートを投稿。当のアニメーターが公開した給与のうち、もっとも高額だったのは2016年10月支払分の手取り額で67,569円だった[24]。それらが注目されて、ネット上の各所に情報が拡散される事態となった。ピーエーワークスでは2017年から本社のアニメーターを正社員とし、養成プログラムをスタートさせた[25]。
1990年代後半からアニメ制作にコンピュータを使うデジタルアニメが主流となり、2000年代以降は静止画の自動生成技術や[1]、中割りの自動生成、自動彩色[26][2]、3DCGなど省力化や人件費を抑える試みも行われているが、逆に言えばアニメーターの仕事が減ることにもなっている[27]。
中国のAGC企業が日本で会社を設立し、良い人材を集めるため、日本の企業より良い待遇を提示する例もある[28][29]。