西位輝実は20歳(1998年ごろ)に初めてもらった月給が2800円だったという[6]。また研修期間が終わった後も収入は5?6万円だったことからアルバイトを掛け持ちしていたという。
新人の場合、2017年時点で時給換算で150?200円であったという[6]。
現在の日本のアニメーターのほとんどが契約社員かフリーランス(個人事業主)であるが、近年では正規雇用により人材確保を進めるスタジオもある[14]。固定給制である制作会社はスタジオジブリ、京都アニメーションなどごく少数しかない。
実力を認められたアニメーターが会社側から拘束をうけ、単価とは別の固定給をもらうという場合も存在する[15]。
新人アニメーターの担当する作業は低単価の動画であるが[14]、原画から育成する方針のスタジオも存在する。日本のアニメは製作委員会方式による資金調達が主流であるが、制作会社の多くは資金に余裕が無いため出資が出来ない。またアニメは完成までに時間がかかり放送前にスタッフへの支払いが必要となることから、オリジナル作品であっても製作委員会による資金調達が必要になる。しかし資金力の少ない制作会社は「製作者」としての権利を独占できず、二次利用での売上配当などを資金力のある出資者に渡すなどの妥協が必要となる[16]。売り上げが少ないことから制作会社は資金的な余裕が得られず、社員としてアニメーターを雇用する余力を持つこともできない。これによるしわ寄せが動画の低賃金となっている問題がある[14]。製作委員会に出資した場合でも原作の印税や楽曲使用料など、一部の権利や配当を得ることは出来ない。またクライアントが提示した制作費自体が少ないことも多く、人件費の増加と合わせると慢性的な赤字だという[17]。
動画1枚・原画1カットの単価×出来高制の業務委託・請負形式である。制作物の著作権は製作委員会や原作者などが有しているため、指定されたカットを描くアニメーターには著作権料は支払われず、買い切りであるため売り上げも還元されない契約が普通である。
作画監督は1話の制作期間(2カ月程度)拘束されるため、作品の掛け持ちや、あるいは制作会社が拘束料を支払い専属の契約社員となる場合もある。
新人アニメーターの多くは契約社員であり、才能が無く動画からステップアップできない者は収入が上がらないことから[14][6]、転職を進められるなどして1年間で90%が辞めていく状態である[14]。平均労働時間は1日約18時間、週2回は徹夜で月収約2?3万円しかない(新人)。中堅クラスのアニメーターや動画担当でも月収は約7万5000円?10万円[注 1]程度しかなく、良くても約15万円といわれ、約25%は年収100万円以下であるといわれる[18]。
1980年代ごろまでは月あたり1000枚ほど生産していた動画アニメーターが存在していたのに対し、制作体制のデジタル化に伴いスキャンして彩色する関係上、作画の線を綺麗に描かなければならないこと、視聴者から求められている作画のレベルが上がっていることから、1人で多くの枚数を生産しにくい状況となっており、月に500枚描ければ動画マンは一人前とも言われる。動画マンとしての仕事を覚えて現場でアニメーターとしての実力を認められると原画の仕事に移行する[19]。原画の場合は1枚ではなく、1カットの単価であるが、責任者である作画監督になると1話あたりの単価で計算されるという。単価制であるため1カ月に300カットのレイアウトを描き、月収が200万円に達する者もいる[15]。フリーランスの場合は経験年数とは関係なく原画を受注できノルマも無いことから多くのアニメーターは独立を志向しているが[20]、制作費に上限があるため単価が上昇すると起用される機会が減少するというジレンマや[15]、そもそも起用されるか不明という問題がある。