アニメーター
[Wikipedia|▼Menu]
このためアニメは映像分野の中ではコストがかかるジャンルとなっている[2]。人物についてはアニメ関係者一覧を参照
作業内容

原画マンは、動きのキーポイントの静止画を作画し、その間の絵をつなげる作業は動画マンが担当する。複雑な動きが要求される場合は原画マンがあらかじめ原画の間に参考絵を足すこともある。出来上がった原画は作画監督にチェックをされる。
原画

担当する者は「原画マン」と呼ばれ、演出家と担当パートの打ち合わせを行い、まず、絵コンテを元にレイアウトを描き起こす。レイアウト作業ではカメラワーク、背景用の原図、動きのラフなどの絵を用意する(レイアウトのみ専門的に人を割り当てる作品もある)。

演出はレイアウト上がりがコンテの内容、演出意図とズレがないかを確認し、必要ならば指示を入れ、作画監督(作監)に渡す。演出、作画監督の修正が入り、チェック済みとなったものがレイアウトバックとして各原画マンに戻される。

複数で作画作業を行なう場合、キャラクター毎に原画を分担させる制作体制を取ることもある。作画効率が低くなる代わりに、1人のキャラクターについて1人の原画マンが一貫して責任を持つため演技の設計が行いやすく、また、原画マンごとにキャラクターの演技や表情に違いが生じないというメリットがある。

日本ではカット毎に原画作業を分担することが一般的で、外注するには都合がよく効率的ではあるが、短いカットの参加では演技設計が難しく、画面や演技の統一感が得られなくなるデメリットがあるため、作画監督が必要となる。

作画監督は動きをチェックして修正したり、原画マンごとに異なるキャラクターの解釈をキャラクターデザインに基づいて修正して画面の統一を図ったりする。アニメーター出身の演出の中には作画監督の領域までタッチすることもある。作品によっては、作画監督間の絵のバラつきを押さえるために、総作画監督を立てることもある。

紙と鉛筆などアナログな制作環境で行うことが過去から続いているが、ペンタブレットとイラストソフトを利用して原画作業を行う「デジタル原画(作画)」による効率化も図られている[3]
動画

担当する者は「動画マン」と呼ばれ、原画と原画の間を補間するように絵を描き、これを中割りという。また、ラフに描かれた原画の線を拾いクリーンナップ(清書)作業を行うのも動画の役割である。一般的に、新人アニメーターは動画を担当し、技量を認められると動画検査や原画を任せられるようになる。

原画工程同様に管理役職がおり、動画検査と呼ばれる動きに関する熟練者が動画の修正やリテイクを指示する。

多くの人手が必要であるが、慢性的に不足している[4]
CG

デジタルアニメが一般化しているが、レタッチソフトと液晶タブレットを使い、「手で描く」手法が主流であることや、専門知識を持つ者が少ないため、CGを活用できるアニメーターの確保は難しいという[5]
労働環境
日本宮崎駿は、数々のアニメ映画に携わり、スタジオジブリの共同創設者としても知られる日本のアニメーターである。

多くは専門学校や美術系の大学を卒業して仕事を始めるため他の社会経験が少ないことや、「好きだからやる」という芸術家気質の者が多いため、業界全体がムラ社会化し就労環境の悪さに気がつかない者が多くなり、劣悪な環境が長期間放置されたという意見がある[6]

1975年のUFOロボ グレンダイザーから仕事を始めた本橋秀之は、当時はアニメーターという言葉は滅多に聞かれない時代だったと回想している[7]

1980年代には低収入という認識が芸術系学生の間で広まっており、当時アニメーターを目指し日本大学芸術学部へ進学した青山剛昌は、入会した漫画研究会の先輩である矢野博之漫画家の方が儲かると言われ進路を変更したという[8]。実際に1980年代に原画マンだったあきまんは賃金の低さから辞めている。

彩色などアニメーター以外の職も低賃金であり、森川ジョージは子供時代に母親が家計を助けるためセル画彩色の内職をしていたが、必要な道具は買い取りで塗料(アニメカラー)の補充も必要であるが賃金は1枚1桁円なため元は取れず、トレス台で目を悪くしたため、少年徳川家康(1975年放送)の作業を手伝ったことがあるという[9]

制作側ではより賃金の低い中国や韓国に作業を発注するようになった。1986年にはNHKが『アニメ三銃士』において動画以降の作業を韓国に発注することについて、日本のアニメ産業の空洞化につながるのではないかと国会質問がなされた[10]。NHK側は韓国のアニメ会社は制作能力が高く低コストであるとし、それが受信料の効率的な使い方になる回答した[10]。この際に韓国への発注は日本よりも1話あたり100万円から200万円ほど廉価であると数字を挙げている[10]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:60 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef