1929年、同名の童謡をアニメ化したレコード・トーキーによる実験映画『黒ニャゴ』(1931年公開)が製作され、市販のレコードがサウンドトラックとして使用された[9]ことが始まりと言われている。
東映動画が本格的に長編まんが映画を制作し始める以前、および東映動画の初期の作品では、アニメソングは主に登場人物によって歌唱される劇中歌の扱いが多かった。それらのアニメソングはレコードとして発売されることは少なく、ほとんどの曲は未発売である。東映動画の総天然色長編漫画映画の劇中歌は後にCD-BOX『東映長編アニメ音楽大全集』(1996年発売)に収録された。なお、主題歌はテレビ・ラジオドラマで主に使用されていた。
朝日ソノラマの『まんがソノシート』のヒット、連続テレビまんがの放映開始、主題歌フォノシートの各社競作発売、日本コロムビアの専用規格での参入から「まんがの歌(=アニメソング)」はほぼ成立し[10][11]、「テレビまんが」「まんが映画」から「アニメ」と呼称の変化を経て、「アニメソング」はジャンルとして確立した。
物品税の時代は童謡と判定されれば非課税であったため、アニメソングを『童謡扱い』とするレコード会社もあった。 主題歌は映画音楽やテレビ映画で存在していたが、日本のアニメにおいては1963年元旦に放送開始された『鉄腕アトム』が最初期とされており、本作にて本編前後に主題歌を付けたことをきっかけにオープニング・エンディングからなるアニメソングの基本的なフォーマットが成立した[6]。童謡のように歌詞に主人公の活躍やストーリー展開を散りばめて作品イメージを連想させるスタイルは事実上のアニメソングの基本形となり、「トムとジェリー」など外国アニメの日本版主題歌や、2020年代の現代までの子供向けアニメや特撮作品で継承されている。 黎明期のアニメ主題歌は、方法論が確立されていないこともあり作詞では詩人の谷川俊太郎や放送作家の前田武彦などの著名な文筆家、作曲では三木鶏郎・小林亜星などの一般に知られる作曲家が手掛け童謡的な作風が中心となっており[6]、児童合唱団、あるいは成人歌手(コーラス・グループを含む)や俳優が歌ったものが多かった[6][12]。当時、アニメソング歌手と呼べる活躍をしていた歌手に、石川進[注釈 2]や前川陽子がいる[6]。またヒーロー・ロボット・スポーツ系アニメでは軍歌調の勇ましい楽曲が中心となった[6]。
作風史