アトランティス
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アトランティスはアーリアン学説とも結びついており、オカルト思想や疑似歴史・疑似科学の教義を説く集団と密接に関係していたナチスは、その壮大な疑似歴史体系の重要な一要素として、アトランティスをアーリア民族の故郷であると主張し、この説を立証しようと資金と頭脳を投入した[10]

大戦後には、冷戦を背景に核戦争への危機感と相まって、オカルト的・疑似歴史的アトランティスが再びブームとなり、フィクションの魅力的なテーマとしてたびたび用いられた[11]

プレートテクトニクス理論によって大西洋にかつて大きな陸塊が存在した可能性が否定されるなど[12]、近年の研究によってドネリーの主張は時代遅れとなり[9]、アトランティス実在説やアトランティス学は、疑似歴史として扱われるようになり、まともな学問とはみなされなくなった[13]

1980年代のアメリカの大学生に対する調査では、約3分の1の学生が実在を信じ、疑わしいと答えたのは約4分の1だった[14]。歴史学者のロナルド・H. フリッツェは、アトランティス実在説は物語としては魅力的で楽しいものであるが、この説の信奉者にはどこか反知性主義の匂いがあり、一見無邪気な娯楽物語もナチスの狂信と全く縁遠いものとは言えないと述べている[15]
アトランティスの語源
アトラス神「アトラス」も参照

「Ατλαντ??(アトランティス)」という語は、ギリシア神話の神、アトラス(?τλα?)の女性形・形容詞形であり、字義通りには「アトラスの娘」を意味する[16]

シケリアのディオドロスは『歴史叢書』の中で、アトラス王(英語版)は弟ヘスペロスの娘ヘスペリティスと結婚して7人の美しい娘達(ヘスペリデス、アトランティデス)の父となり、エジプトのブシリス王の依頼を受けた海賊に誘拐されてしまった娘達をヘラクレスが救った際に、その礼としてヘラクレスの最後の功業を手伝ったのみならず、天文[要曖昧さ回避]の知識を教えたが、これがギリシア世界でアトラスの蒼穹を担ぐアトラス伝説へと変化してしまったという[17]
アトラスの海

プラトンの対話集に先立ち 「アトランティス(Ατλαντ??)」という表現は大西洋を意味する地名として使われている。ヘロドトスは『歴史』の中で大西洋を「アトランティスと呼ばれる、柱の外の海」と記述した[18]。以降、大西洋は今日に至るまで「アトラスの海」や「アトラスの大洋」と呼ばれるようになったのである[† 4]

ガイウス・プリニウス・セクンドゥスは『博物誌』で、ポリュビオスの報告として、アフリカのアトラス山脈の大西洋側の末端の山の沖合いに、ケルネ島とアトランティス島があると記述している[19]
プラトンのアトランティス

プラトンの『ティマイオス』と『クリティアス』によると、アトランティス島はジブラルタル海峡[注 2]のすぐ外側、大西洋にある、当時ギリシャ人が最大の島と考えていたキプロス島よりも大きい、非常に広い島だった[2]。アトランティス島は資源の宝庫で、必要な物質の大半を島で補うことができ、農産物も豊富で、畜産も盛んだった[2]。そこにあった帝国は、大西洋を中心に地中海西部を含んだ広大な領土を支配していた[2]

当時存在した国と考えれば、アトランティスで特筆すべき点は、領土の規模の大きさである[2]。語られた技術や素材から、青銅器文明に属していた[2]。84万の兵と1万台の戦車、1200隻の軍艦と24万人の乗組員を動員することができたとされ、青銅器時代の国家としては突出した軍事力を持っていたことになる。彼らがこれほどの富と力を持っていたのは、王家がポセイドンの末裔であったからだとされる[2]

しかし、ポセイドンの子孫と人間が混じるにつれ、神性は失われていき、アトランティス人は物質主義に走り、さらなる富と領土を求め、暮らしは荒廃した[2]。これを見たゼウスは神々を集め、アトランティスにどのような罰を下すか話し合い、帝国の敗北と島の破壊を決めた[2]。帝国は紀元前9400年頃に地中海沿岸部に征服戦争を仕掛け、アテナイ人は近隣諸国と連合して抵抗し、激しい戦闘になり、アテナイ軍はからくも勝利し、地中海西岸をアトランティス人の支配から解放した[2]

直後に、大地震と洪水によって一昼夜のうちにアトランティス島は海底に沈み、これらの災害はアテナイ軍にも大きな被害を与えた[2]。島が陥没してできた泥土が航行の妨げになったという描写から、島が沈んだのはさほど深くない場所だと考えられる[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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