1891年以降、アニー・ベサントやW・スコット・エリオット(英語版)ら神智学徒が、神秘能力による霊視、センザール語の聖典の内容、マハトマからの言葉として、ブラヴァツキーの説に様々な情報を追加しており、オカルティストたちはオカルト的アトランティスを各々展開していった[61]。神智学から派生したルドルフ・シュタイナーの人智学でもオカルト的アトランティスが信じられ、シュタイナーは宇宙の記憶であるアカシャ記録(アカシックレコード)を見たとしてブラヴァツキーと同様の宇宙の歴史を語った[61]。シュタイナーの弟子のデンマークの占星術師マックス・ハイデルがアメリカのオハイオ州に薔薇十字団協会を設立し、薔薇十字思想でも失われた大陸が主張なテーマとして語られるようになった[61]。
なお、オカルティストなどアトランティスをめぐるカルト的世界の愛好家たちは、アトランティスに関する学術研究に全く貢献していない[62]。 アトランティス等の失われた大陸が世界の諸文明・全人類の源であるという考えは、大戦前から大戦中にブラヴァツキーに始まる近代神智学などで流行した。こうした説は、その地の支配層は白人種であり、そう主張する人々の先祖であったとされ、白人優位主義、自民族至上主義(エスノセントリズム)を正当化し、「かつては全世界が自分たちのものであった」ということを「立証」して植民地支配を正当化する論拠として利用された[63]。 初期のナチスの運動では、アルフレート・ローゼンベルクの『20世紀の神話』が思想の基本に据えられており、本書では、太古のアトランティスに住んでいた北方的アーリア人種が、バビロニア、エジプト、中国など世界のあらゆる文明の発祥と繁栄の源であるとされた。ローゼンベルクは、人種生物学的に解釈したルソー主義により、太古の時代より優れて善なる金髪碧眼の人種アーリア人の血の純潔性を守らなければならないとし、汚れたユダヤの血との混血の危険性を訴えた。[64] ナチスはアトランティスをアーリア民族の故郷であると考え、それを立証しようと資金と頭脳をつぎ込んだ。ナチスの壮大な疑似歴史において、アトランティス神話はその一部でしかないとはいえ、極めて重要な位置を占めていた[15]。 神智学の影響を受けた心霊診断家のエドガー・ケイシーは、神智学同様に転生について語り、霊視したクライアントの前世の多くがアトランティス人だったと主張した。大戦後にはケイシーを契機に、冷戦による核戦争への危機感と相まってアトランティス学が再びブームとなった。 ニューエイジ思想の高まりを背景に、1968年にイギリスのシンガーソングライター、ドノヴァンが発表したシングル「幻のアトランティス」はスイス、オランダ、ニュージーランドなどでチャートの1位を記録した。様々な大衆的なオカルト本、SF、アニメなどでもよくつかわれる題材となっている[11]。 日本では、1960年代末に大陸書房がアトランティス大陸(アトランチス大陸)、レムリア大陸、ムー大陸などの幻の大陸、古代文明の謎、地球空洞説、地底文明説、超能力、オカルト、運命学等の怪しげな本を大量に刊行し、ブームになっている[48]。 ニューエイジのチャネラーJ・Z・ナイト
白人優位主義・自民族中心主義の論拠としてのアトランティス
ナチスとアトランティスアルフレート・ローゼンベルク
現代オカルティズム・ニューエイジエドガー・ケイシー
代表的な諸説詳細は「アトランティスの候補地(英語版)」を参照
アトランティスの繁栄と滅亡について、それらの直接的なモデルが実在したとする考えは人気のあるもので、多くの説が唱えられてきた。その主たる論点は、「ヘラクレスの柱」解釈をめぐる位置問題とアトランティスを滅ぼしたとされる「洪水」の年代問題の考証である。
プラトンは強大な国々の傲慢さを揶揄した寓話としてアトランティスに言及したと言われる[66]。大多数の著名な学者は、プラトンの記述に史実は全く含まれていないと考えている[67]。