レムリア人は性を持つようになり、獣姦の罪を犯し神智の神の怒りを買い、レムリア大陸が太平洋に沈んだ後、約85万年前にアトランティスが浮上し第四根源人種の時代になり、現代人より優れたアトランティス人は、高度な科学と芸術を持つ文明を築いたとした[59][60]。
アトランティスには、まだ実証されていないような高度な科学技術があったとしており、こうした考えは後のアトランティス学に受け継がれていく[59]。エジプトのピラミッドやドルイド教の神殿、中米の遺跡など世界各地の遺跡はアトランティス文明の名残であるとし、プラトンが述べたように約1万1000年前に地震で海中に沈んだという[59]。ニュー・アトランティス等の新大陸が、いずれ南大西洋に現れるとしている[59]。ルドルフ・シュタイナー
1891年以降、アニー・ベサントやW・スコット・エリオット(英語版)ら神智学徒が、神秘能力による霊視、センザール語の聖典の内容、マハトマからの言葉として、ブラヴァツキーの説に様々な情報を追加しており、オカルティストたちはオカルト的アトランティスを各々展開していった[61]。神智学から派生したルドルフ・シュタイナーの人智学でもオカルト的アトランティスが信じられ、シュタイナーは宇宙の記憶であるアカシャ記録(アカシックレコード)を見たとしてブラヴァツキーと同様の宇宙の歴史を語った[61]。シュタイナーの弟子のデンマークの占星術師マックス・ハイデルがアメリカのオハイオ州に薔薇十字団協会を設立し、薔薇十字思想でも失われた大陸が主張なテーマとして語られるようになった[61]。
なお、オカルティストなどアトランティスをめぐるカルト的世界の愛好家たちは、アトランティスに関する学術研究に全く貢献していない[62]。 アトランティス等の失われた大陸が世界の諸文明・全人類の源であるという考えは、大戦前から大戦中にブラヴァツキーに始まる近代神智学などで流行した。こうした説は、その地の支配層は白人種であり、そう主張する人々の先祖であったとされ、白人優位主義、自民族至上主義(エスノセントリズム)を正当化し、「かつては全世界が自分たちのものであった」ということを「立証」して植民地支配を正当化する論拠として利用された[63]。 初期のナチスの運動では、アルフレート・ローゼンベルクの『20世紀の神話』が思想の基本に据えられており、本書では、太古のアトランティスに住んでいた北方的アーリア人種が、バビロニア、エジプト、中国など世界のあらゆる文明の発祥と繁栄の源であるとされた。ローゼンベルクは、人種生物学的に解釈したルソー主義により、太古の時代より優れて善なる金髪碧眼の人種アーリア人の血の純潔性を守らなければならないとし、汚れたユダヤの血との混血の危険性を訴えた。[64] ナチスはアトランティスをアーリア民族の故郷であると考え、それを立証しようと資金と頭脳をつぎ込んだ。ナチスの壮大な疑似歴史において、アトランティス神話はその一部でしかないとはいえ、極めて重要な位置を占めていた[15]。 神智学の影響を受けた心霊診断家のエドガー・ケイシーは、神智学同様に転生について語り、霊視したクライアントの前世の多くがアトランティス人だったと主張した。大戦後にはケイシーを契機に、冷戦による核戦争への危機感と相まってアトランティス学が再びブームとなった。 ニューエイジ思想の高まりを背景に、1968年にイギリスのシンガーソングライター、ドノヴァンが発表したシングル「幻のアトランティス」はスイス、オランダ、ニュージーランドなどでチャートの1位を記録した。
白人優位主義・自民族中心主義の論拠としてのアトランティス
ナチスとアトランティスアルフレート・ローゼンベルク
現代オカルティズム・ニューエイジエドガー・ケイシー