アッパー半島
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1960年代にはアッパー半島をミシガン州から分離させ、ウィスコンシン州に編入する動きがあった。市外局番が複数の州にまたがることが許されなかったため、この動きの一環としてアッパー半島には906という市外局番が新たに割り当てられた。1962年には、分離独立を目指してアッパー半島独立協会(Upper Peninsula Independence Association)が設立された。ミシガン州議会に分離独立法案が提出され、20,000人の署名が集まったが、規定の56,000人には遠く及ばず、審議は見送られた。

1970年代に入っても、アッパー半島の分離独立への運動は地元出身のミシガン州議会議員ドミニク・ジャコベッティ(Dominic Jacobetti)らによって続けられた。しかし、1957年マキノー橋が架けられたことによってロウアー半島とのつながりができたこと、人口が希薄であるが故にアッパー半島単体では州経済を成立させるだけの税収が見込めないことなどから、分離独立への動きは次第に立ち消えになっていった。
地理

アッパー半島は面積42,610km2で、ミシガン州の総面積の約1/3を占める。また、これはデンマークの国土面積にほぼ相当し、日本九州より大きい。東西は最長515km、南北は最長200kmにおよぶ。半島は北にスペリオル湖、東にセントメアリーズ川(英語版)、南にミシガン湖およびヒューロン湖と三方を水域に囲まれ、陸続きになっている西側でウィスコンシン州北部に接している。またスペリオル湖上の州境線を考慮すると、アッパー半島はミネソタ州北東部にも接していることになる。アッパー半島のスペリオル湖・ミシガン湖・ヒューロン湖の湖岸線は総延長2,700kmに達する。そのほか、半島内には大小4,300の湖がある。半島を流れる川の総延長は19,000kmにおよぶ。ポーキュピン山地。北アメリカでは最も古くに形成された部類に入る山地である。

半島東部は概して平坦な湿地が広がっている。それに対し、半島西部は標高こそあまり高くはないものの山がちで、起伏に富んだ地形が続く。半島西部の岩石は約35億年前の噴火活動の結果できたもので銅や鉄分を含み、地域の経済を支えてきた鉱石のもとになった。ミシガン州の最高点であるアーボン山(標高603m)、ウィスコンシン州との州境に位置するポーキュピン山地、半島中部に連なるヒューロン山地などには岩床が見られる。これらの山は何百万年も前に侵食され、氷河に覆われて形成された太古の山地である。

アッパー半島北西部からスペリオル湖に突き出しているキーウィーナー半島(英語版)はアッパー半島の北端になっている。キーウィーナー半島はアメリカ合衆国内で最初に銅鉱石ブームが興った地域である。このキーウィーナー半島を含めたアッパー半島北西部の4郡はカッパー・カントリーと呼ばれている。

今日では、アッパー半島の1/3はオタワ国有林(Ottawa National Forest)やハイアワサ国有林(Hiawatha National Forest)など、政府所有の森林となっている。19世紀には林業のために伐採が進んだが、その後植林が行われ、1970年代までにはこれらの森林も再び成長した木々で埋め尽くされるようになった。
気候厳冬期のマキノー海峡。奥にはマキノー橋が霞んで見える。

アッパー半島の気候はスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖の影響を大きく受けており、涼しく短い夏と寒さが厳しく長い冬に特徴付けられる。ウィスコンシン州との州境付近では大陸性気候の特徴が一層強まり、湖岸に比べて夏の気温が上がる一方、冬はより寒くなる。これらの地域においては、夏の気温は湖岸よりも摂氏5度程度高く、逆に冬には摂氏5度程度低くなる。

アッパー半島はアメリカ合衆国内屈指の豪雪地帯でもある。半島内のほとんどの地域においては、年間の降雪量は250cmにおよぶ。特にスペリオル湖に面するキーウィーナー半島やバラガマーケットアルジャーの各郡は雪が多く、760cmを超える年間降雪量を記録したこともある。これらの地域では数分間のホワイトアウトや数日にわたるブリザードも見られる。雪は9月下旬から降り始める。6月に雪が降ることもある。

また、アッパー半島は全般的に緯度が高いため冬の日照時間は短く、日の出から日没まで8時間ほどしかない。一方、夏の日照時間はアメリカ合衆国本土の他地域に比べて総じて長い。ミシガン州のうち中部標準時間帯に属する4郡
時間帯

アッパー半島のほとんどの地域は、ロウアー半島同様東部標準時間帯(UTC-5)に属している。しかし、ウィスコンシン州に接するアイアンゴギービックディキンソンメノミニーの4郡だけはウィスコンシン州と同じ中部標準時間帯(UTC-6)に属する。

1966年に標準時法が制定されたとき、アッパー半島は全域がサマータイムなしの中部標準時間帯に属していた。その数年後、アッパー半島のほとんどの郡は東部標準時間帯に移行し、中部標準時間帯には前述の4郡だけが残った。1973年ミシガン州はサマータイムを採用し、現在のような時間帯になった。
主な都市

アッパー半島の人口は希薄である。州の総面積の1/3を占めるこの半島の人口は2010年国勢調査で311,361人[1]、州の総人口のわずか3%に過ぎない。またデトロイトフリントアナーバーランシンググランドラピッズといった州の主要都市はすべてロウアー半島に集中しており、アッパー半島にはいくつかの小都市と町村が位置するのみである。以下にアッパー半島の主要な都市を挙げる。なお、以下の人口の数値はすべて2010年の国勢調査によるものである[1]

マーケット - アッパー半島北部に位置し、スペリオル湖に面する。人口は21,355人で、アッパー半島最大の都市である。かつては鉄鉱石鉱業の中心地および積出港として栄えたが、現在ではアッパー半島の文化・観光の中心地となっている。北ミシガン大学(英語版)は同市にキャンパスを構えている。

スーセントマリー - アッパー半島東部に位置し、カナダ国境に接する。人口は14,144人でアッパー半島第2の規模。セントメアリーズ川(英語版)とスーセントマリー運河を挟んだカナダ側にはオンタリオ州スーセントマリーが位置している。

エスカナバ(英語版) - アッパー半島南部に位置し、ミシガン湖に面する。人口12,616人。アッパー半島の都市のうち、人口1万人を超えるのは上述のマーケット、スーセントマリーとこのエスカナバの3都市だけである。アッパー半島を縦断する国道41号線(英語版)と横断する国道2号線が併走する、半島の道路交通の要衝となっている。

ホートン(英語版) - アッパー半島北西部、スペリオル湖に突き出すキーウィーナー半島の付け根に位置する。人口7,708人。キーウィーナー半島の中心都市で、ミシガン工科大学(英語版)の学術都市でもある。

アイアンマウンテン(英語版) - アッパー半島西部、ウィスコンシン州との州境に位置する。人口7,624人。かつてはその名が示す通り鉄山の町として発展してきたが、現在ではアッパー半島きってのスキーリゾートとなっている。

交通マキノー橋

アッパー半島とロウアー半島を隔てるマキノー海峡にはアッパー半島側のセントイグナス(英語版)とロウアー半島側のマキノーシティ(英語版)とを結ぶ、長さ約8kmのマキノー橋が架かっている。このマキノー橋は1957年に架けられた、世界でも最長クラスの吊り橋である。マキノー橋が架けられる以前はフェリーがこの2つの半島間の交通手段であったが、遅かった上に不安定で、混雑時には待ち時間が数時間におよんだ。また、冬季は結氷のために運航することすらできなかった。フェリーが運航できない冬の間は、マキノー海峡が完全に結氷したときのみ、氷の上を渡って半島間を行き来していた。

マキノー橋には州間高速道路I-75が通っている。I-75はアッパー半島にさしかかる唯一の州間高速道路で、スーセントマリーのカナダ国境に架かるスーセントマリー国際橋(英語版)が北の終点となっている。I-75はここから南進してマキノー海峡を渡り、デトロイトシンシナティアトランタタンパなどの都市を通ってマイアミへと縦断する幹線である。

アッパー半島の人口が希薄であるため、アッパー半島を横切る州間高速道路はなく、一般の国道が都市間交通路としての役割を果たしている。半島内の道路交通において特に重要なのは国道2号線と国道41号線である。国道2号線はセントイグナスから西進してアッパー半島を横断し、ウィスコンシン州北部へと入る。国道41号線はキーウィーナー半島のカッパーハーバー(英語版)からアッパー半島の北西部・中央部を縦断してウィスコンシン州東部へと入る。

アッパー半島で最も規模の大きい空港はマーケットにあるソーヤー国際空港(英語版)である。


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