アダルトビデオ
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反響や展開については「AV女優のアジア進出」も参照。

また、2000年代後半に入って女性AV視聴者の拡大と男優、女優の処遇改善やアイドル化、リアリティの追求などによりAVの性向も少しずつ変化し、無料アダルトサイトの普及や女性向けAVが発売され、しみけん一徹のようなイケメン男優が人気を得ており、女優では明日花キララが女性層から高い人気を獲得するなど、女性もAVに対しての抵抗が以前よりは少なくなりつつある。
避妊具の使用とピル

作品内でコンドームの着用を説明しているものもあり、あえて射精後のコンドームから精液を垂らしてAV女優が飲む、という構成の作品も見受けられる。一例を挙げると『顔は日本カラダは車中!!』(SODクリエイト、出演:夏目ナナ)においては、AV女優が車外に顔のみを出し、直前に使用したコンドームから精液を手の上に搾り出して飲む行為を数回行っている。

童貞喪失ものでは、AV女優が相手となる童貞男性にコンドームを装着する場面から始まり、男性が射精した後に精液の溜まったコンドームを外し、その精液を見ながら童貞喪失の感想を話し合うなどの構成が見られる(『最高の筆おろし』・マドンナ)(『ザ・筆おろし』・クリスタル映像)。

中出しの場合は、制作会社側がアフターピルや避妊フィルム、女性用コンドームなど避妊準備をするものや、事前に女優が低用量ピル経口避妊薬)による避妊をしているケースがある。一部作品では、出演者自身が医師の処方を受けた経口避妊薬を示し用法を説明してから中出しされたり、精液を膣内に注入したりしている。特殊な例では、川奈まり子の引退作品において、妊娠を狙って婚約者のAV男優による真性中出しが行われたが、その作品での受精・妊娠には失敗した。ただし、これが事実か演出かは不明である。
撮影に関わる問題
公然わいせつ罪

屋外でAVを撮影すると、公然わいせつ罪に問われる可能性がある[33][34]。AV関係者が書類送検ののち不起訴処分になった事例もある一方で[33]、撮影現場となった温泉が閉鎖に追い込まれた事例もある[34]
AV出演被害「マークスグループ#事件」も参照

アダルトビデオの出演を強要される女性の相談が寄せられているとして、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、被害防止や被害者救済のための法規制を急ぐよう求める調査報告書を公表した。報告を受け、2016年から内閣府男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会において有識者警察庁などの関係省庁へのヒアリングなどが行われ、2017年には、さらなる実態把握や取締りの強化などを今後の課題とする報告書が提出された[35][36]。詳細は「AV出演被害防止・救済法」を参照

そうしたAV出演被害の防止と被害者の救済のため、2022年6月23日にAV出演被害防止・救済法が施行された。その中で、アダルトビデオは「性行為映像制作物」として定義された[37]。本法律には撮影時の性行為を禁じる規定は盛り込まれなかったが、その点を不十分と見なす日本共産党は「実際の性交を伴うAVを正面から規制する法整備」を党の公約として打ち出している[38][39]。一方で、実演者であるAV女優有志(月島さくら天使もえなど)は働きやすい環境を求め、同年8月に署名活動を行った[40]。本法の成立により、同人AVの増加を危惧する声も挙がっている[41][1]。法学者の河合幹雄は「それまでAV業界は警察庁の管轄だったのが、新法によって内閣府管轄に「昇格」。ある意味でまともな産業の一つとして認められた」と笑いを交えて述べている[42]
性器の露出と規制

日本では欧米諸国などと異なり、成人向けであっても性器を直接表現する映像を公開することは、判例上では表現の自由よりも「わいせつ物頒布等の罪刑法第175条)」としている。目的は、公衆の「健全」な性的風俗ないしは性秩序を守るためとされているが、「現状にそぐわない」との批判もあり[43]参議院議員山田太郎が刑法175条の見直しを提唱している[44][45]

刑法175条の規定を受け、倫理審査団体の自主規制によって性器に「モザイク処理」などさまざまな手法で「ぼかし」がかけられる。これは、性器を露出しないことは勿論ではあるが、(建前上では)実際には性行為を行っていないことを文字通り「ぼかす」という意味もある。精液や肛門(審査団体によっては自主規制)を映し出すことは、わいせつには当たらないと解釈されている。

近年では[いつ?]日本のアダルトサイト業者、アダルトビデオメーカーが、性器の露出について日本とは法規制が異なる他国のサーバプロバイダー経由で有料サイトを開設しており、日本国内からこれらのサイトにアクセスし「無修正映像」を簡単に視聴したりダウンロードすることができるようになった。これを通称海外配信という。

また、「修正映像」も時代と共に変化し、かつては女性の陰毛や肛門が露出しているものは非合法とされていたが、2010年以降では「合法」との見方に変わったり、かつては児童の性器[注 5]の露出は「合法」とされていたのが、最高裁の判例により「非合法」とされたりと、「わいせつ」の概念や定義は時代によって変遷している。
倫理審査団体とインディーズ

倫理審査団体には日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)、コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(メディ倫)などがあり、それぞれ所属する会員である製作会社のビデオが倫理を逸脱していないか監視している。ただし、法的な根拠はなく、審査をパスしていれば、警察に摘発されないという保証はない。

倫理審査と同時に海賊版製作者に対する警告・告発も行っている。ビデ倫加盟メーカーはビデオ倫理監視委員会を通じて監視を行っている。

ビデオ倫理監視委員会が把握している審査団体

日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)※2010年解散

コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫、EOCS)※2010年代以降はアダルトゲームイメージビデオのみを扱う

ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)

日本映像制作・販売倫理機構(JVPS、制販倫)

コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(CSA、メディ倫)→日本コンテンツ審査センター

全日本ビデオ倫理審査会(AJVS、全審)

日本倫理審査協会(JEJA、日倫)


その他

AV人権倫理機構 ※第三者機関

コンテンツ・ソフト協同組合 ※2015年解散

知的財産振興協会 ※メーカーと店舗による組合

東日本コンテンツ・ソフト ※2015年解散

OCCN 配信映像審査ネットワーク[46]

倫理審査団体に所属していないアダルトビデオメーカーの作品は「自主規制作品」(インディーズ)と呼ばれるが、ビデ倫・ソフ倫[注 6]以外の審査団体で審査を行った作品はモザイク処理などの点で自主規制作品と大差はなく、一般的にはインディーズとしての扱いを受ける。


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