アダルトゲーム
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この刑法175条については、現状にそぐわない不合理な規制であるから廃止すべきとの批判もあり[3][4]参議院議員山田太郎が刑法175条の見直しを提唱している[5][6]
特徴

ゲームジャンルは、ソフ倫審査のものではアドベンチャーゲームとその亜種であるビジュアルノベルが圧倒的多数を占める[注 4][8]のに対し、現在主流となっているスマホ向けやブラウザゲームや同人ゲームはRPGが中心ではあるものの、シミュレーションゲームシミュレーションRPGアクションゲームなどもあり、ジャンルが多岐にわたっている。

ゲーム内のイベント画面やキャラクターの立ち姿のグラフィックについては、日本では漫画アニメ調の平面的な2Dグラフィックスによる静止画像がそのほとんどを占めており、3Dグラフィックスを用いた作品[9]は存在するが少数派である。海外のアダルトソフトでは一般的なポルノ女優によるヌード実写映像の作品は少ない。

受動的に鑑賞するアダルトビデオヌード写真とは異なり、初期はキーボードからのコマンド入力、現在では主にマウス操作による登場人物の行動選択という形でのインタラクティヴな体裁を取り[10]、現実の代替物ではなく独立したリアリティであり「萌え」「感動」「ノスタルジー」などとコミになった性的満足として存在している[11]。このことは、日本では特有の発展を遂げた漫画・アニメなどのサブカルチャーと結びつかせる要因となり、また、ゲームソフト卸や一部のゲーム会社により自社の傘下に入ることを条件に制作チーム(ブランド)に開発資金を供給するシステムが広く確立されるとともに、資金や知名度の乏しいクリエイターやその集団が創作を行なう場として定着し、「成人向け作品として必要量の裸と"場面"を出しておけば、後は予算と納期と倫理基準の範囲内でクリエイターに裁量が与えられ、自由に表現を追求し創作意欲を満たせる」という、かつて斜陽の一途を辿る映画業界にあって機会に恵まれない多くの若手映画人が手腕を奮った日活ロマンポルノ成人映画と類似した制作システムの構造を成立させるに至り、日本のおたく文化の一翼を形成した。また人材発掘についても同様で、今日ではゲーム業界のみならずアニメ・漫画・小説などいわゆるメディアミックス関連業界全般への人材・コンテンツの主要な供給源の1つとしても機能しており、これら業界ではアダルトゲームからプロのクリエイターとしてのキャリアをスタートさせた人物や、あるいはクリエイターとして著名になる課程でアダルトゲーム業界に関与した経験を持つ人物はさして珍しいものではなくなっている。詳細は「#開発スタッフの転業・他ジャンル進出」および「#メディアミックス展開」を参照

アダルトゲームの場合、「家庭用ゲーム」とも呼ばれる家庭用ゲーム機では発生するハードウェアメーカーへのライセンス権使用料や特定ハードウェア向けの専用ワークステーション・開発キットの導入やリースにかかる高額なコストがなく、遥かに廉価で一般的な仕様のパソコンおよび汎用ソフトウェア開発キット・周辺機器があれば作業の大半が可能であり、プレイヤーの使用しているパソコンと大差がない仕様で開発を行っているメーカーも多い。開発環境へ導入するLANやファイルサーバも比較的小規模なもので必要充分であり、3Dグラフィックスやトゥーンレンダリングを本格導入するものでもなければ高性能なワークステーションを導入する必要もない。これらのことから、コンシューマゲーム機と比較すればアダルトゲームは小資本での制作が可能である。詳細は「#開発環境」および「#制作・販売・組織」を参照

コンシューマゲーム機と比較した場合にはハードウェアメーカーによる作品内容・シナリオや販売計画への企画・開発段階でのチェックや干渉がなく、販売対象を18歳以上に限定していることから、性的描写以外の部分においても表現の自由度が大きいこともアダルトゲームを特徴付けている重要な要素である。たとえば古典的な恋愛小説純文学の様式表現を追求したい作品や、同様に若年層には理解し難いラブコメ懐古趣味・愛憎劇や過激なパロディ要素や社会風刺を内含している作品、一般的なバトルシーンとは違う過激な暴力要素などでは、あえて登場人物の性描写を含めてパソコン向けのアダルトゲームのフォーマットで制作されることが多く、このような方向性を特に重視した作品の中にはヒロインの性的描写のシーンはゲームの本質に影響を及ぼさないサービスシーンという割り切った作りのものも見られる。これについては、

作品の性質上、18歳未満をターゲットに含める必要がない。

男と女、若者の人間模様や恋模様を描く作品の場合でも、コンシューマ機では根本的に性行為を想起させる要素は含ませられない[注 5]

性的表現以外の面でも、コンシューマゲーム機ではライセンス権やゲームソフト流通を掌握管理するハードウェアメーカーがかつては独自基準、現在でもCERO準拠とはいえ独自のチェック項目を数多く設定しており、パロディなどに対してのチェックが非常に厳しく、ハードウェアメーカー側の「要望」という形での内容や表現への干渉・横槍も少なくない。

概してコンシューマゲーム機における表現の制限については運用が硬直的で、作品やシナリオの持つ文芸的要素・芸術的要素などを考慮した緩和も基本的にない。

18禁ということで、猟奇的、残酷的表現もコンシューマよりも過激な物も描ける。

このようなことが要因として挙げられ、いくら資金・人材・技術の面で制作が可能であってもコンシューマ機では現実にはソフトを流通させられず販売不可能な一方で、ハードウェアメーカーによる干渉がなく後述するような制作システムが構築されビジュアルノベルとそのゲームエンジンが普及・発展しているアダルトゲームならば制作・販売が容易でプレイヤーからも受容されやすいことなどが大きな要因になっている。ただし、アダルトゲームであっても、ソフ倫や日本コンテンツ審査センターなどの審査機構が審査するアダルトゲームについては一定の基準での審査が存在し、基準を満たさない作品は発売できない。それに対し、スマホゲームやブラウザゲームや同人ゲームなどでは審査機構による審査を受ける義務がなく、審査があるとしても販売サイトによる審査のみなので、さらに制作の自由度が高いとされる。
歴史

アダルトゲームの、歴史に関する部分を解説する。
創生期(1980年代)

最も古い日本製アダルトゲームは、シャープMZ-80KMZ-700向けに[12]ハドソン1981年に発売した『野球拳』とされている[12][13]。登場人物はキャラクターグラフィックで描かれていた[12][13]

1981年には、テキストベースのアダルトゲームソフトポルノ・アドベンチャーシエラエンターテインメントよりリリースされた[14]1982年には、MystiqueがBeat 'Em & Eat 'Em, カスターズ・リベンジ, Bachelor Partyをリリースした。1983年にはX-Man、Swinging SinglesやStrip Poker: A Sizzling Game of Chanceがリリースされた。

1982年(昭和57年)から1983年にかけて、パソコンショップを経営していた光栄マイコンシステム九十九電機PSKCSKなどがアダルトゲームの制作・販売をしていた(ストロベリーポルノシリーズなど)。エニックス[注 6]日本ファルコム[注 7] など、後にコンシューマーゲームで名をはせるソフトメーカーから、ポニカなど映像・音楽ソフトメーカーもアダルトゲームの制作・販売に参入し、より性的な内容に特化したソフトウェアの開発が進み、1983年には10本以上のアダルトゲームが発売された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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