アダム
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ヤハウェが「善悪の知識の木」の実を食べたのかと尋ねると、アダムは、イヴがそれをくれたので食べたと答えた。この出来事はアダムが犯した最初の罪である。ヤハウェは、アダムとイヴが生命の樹の実を食べて永遠の命を得ることがないよう、二人をエデンの園から追放した。

楽園を追放されて初めて、アダムは自分たちの食糧を得るために働き始めた。アダムとイヴは沢山の子をもうけたが、『創世記』にはその内3人の名前だけが記されている。カインアベルセトである。『ヨベル書』ではさらに、セトの妻となったアズラ、カインの妻となったアワンという娘2人の名前も記録されている。『アダムとイヴとサタンの対立』では、ルルワアクレミアという娘がいた[6]。『創世記』によるとアダムは930歳で死んだ。

17世紀のアイルランド大主教ジェームズ・アッシャーらの計算によると、アダムは9代目の子孫であるノアが生まれる前に127歳で死んだとされる。これによれば、アダムの生涯はノアの父レメクと少なくとも50年間は重なっていたことになる。また、アダムはゴーレムと同様に土の人形に生命の息吹を吹き込まれて生まれたので、アダムこそが世界で最初の、それも「自我を持ったゴーレム」であったのではないかと言われている。

ヨシュア記』によると、イスラエルの失われた10支族カナンに入るためにヨルダン川を越えた時代には、洪水の水が乾いたアダムシティの位置は、まだ知られていたらしい。

アダムはカトリック教会正教会の典礼にも登場する。

アダムは死後ゴルゴタの丘に葬られたという伝承があり、それを表すものとして、キリストの磔刑図には彼が架けられた十字架の根本に髑髏を描くことが多い。
イスラム教におけるアーダム

イスラム教の『クルアーン』におけるアーダム(??? ?dam)は、元々射出された一滴の精液であり、それから一塊の血となり、更にアッラーによって形づくられたとされる[7]。最初のアッラーフ預言者とされ、禁断の樹の実を食べるようアダムを誘惑したのはアーダムの妻(名は記述されていない.ハウアー(Hawwa))であり、アーダムはアッラーフをごまかそうとしたが、十分反省した後、アッラーフに許されたと述べられている。

アーダムとハウアー(Hawwa)を誘惑したのはイブリースとされる。これは、楽園を追放されたイブリースから人類への最初の復讐であった。

アーダムは最初の人間、最初の預言者であるため、最初のムスリムであるともされている。

一部のイスラーム神話では、アナークという娘がいたとされる[8]
『バルク書』におけるアダム

グノーシス主義オフィス派派の『バルク書』によれば、第二の男性原理エロヒム(万物の父)の天使が、第三の女性原理エデンまたはイスラエル(体は女性、足は蛇身)の女性体の部分の土からアダムを創り(蛇身の土から動物を創った)、エデンが魂を、エロヒムが霊を置いた。[9][10]
バハイ教におけるアダム

バハイ教ではアダムは、歴史上記録が残っている、最初の神の顕現であるとされている。バハイ教徒は、6000年ごとにアダムが生まれ変わり、ムハンマドの時に最高潮を迎えたと信じている。またバハーイーの信仰では、聖書に描かれたアダムとイブの話はアブドゥル・バハーにより説明が加えられて寓話化されたとされている。
末日聖徒イエス・キリスト教会におけるアダム

19世紀にアメリカ合衆国で成立した末日聖徒イエス・キリスト教会(通称・モルモン教)では[11]アダムと大天使ミカエルを同一視している。ミカエルは人間の誕生以前に楽園でサタンと戦い、駆逐している。ミカエルはその後、アダムに生まれ変わったとされる。
ドゥルーズ派におけるアダム

ドゥルーズ派ではアダムとイブは二元的な宇宙の力とみなされ、互いを補いあっている。アダムは宇宙の意思を、イブは宇宙の精神を体現している。
脚注^ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 9:6 血:blood:??
^ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 37:22 血:blood:??
^ 関根正雄 『旧約聖書 創世記』 株式会社岩波書店、2007年第78刷(第1刷は1956年、1967年第17刷と1999年第69刷で改版あり)。ISBN 4-00-338011-8、P188。
^ ヘブライ語で「赤い」はアードーム(エドム)という。
^ フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌1』株式会社筑摩書房、1999年、ISBN 4-480-08531-9、P34。
^ Malan, Solomon Caesar (1882). The Book of Adam and Eve, also called the conflict of Adam and Eve with Satan. Williams and Norgate. p. 106 
^ クルアーン復活章36節‐39節、人間章2節
^ “?An?q ? Brill”. ブリル. 2020年11月29日閲覧。
^ 吉田敦彦「6 霊魂のはじまり-なぜ、男は「魂」的存在で女は「魄」的存在なのか」『天地創造99の謎―世界の神話はなぜ不滅か』サンポウ・ブックス、1976年2月20日、146-147頁。 
^ 吉田敦彦『天地創造神話の謎 古代学ミニエンサイクロペディア』大和書房、1985年5月(原著1976年2月20日)。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-479-47005-0。 
^ 末日聖徒イエス・キリスト教会・聖句ガイド

関連項目

ゴーレム

アダム・カドモン - カバラなどで使用される語で「原初の人間」の意。また「超越者」を意味する Adam Ila'ah などとも呼ばれる。

聖書の登場人物の一覧

アダムとイヴ

カインとアベル


世界創造紀元

キリストの磔刑

ゴルゴタの丘

伝説上の人類の祖先(英語版) - マヌ(インド神話)、ガヨーマルト(ゾロアスター教)、マンヌス(ゲルマン民族)、アスクとエムブラなどがいる。また、神話(エジプトのクヌムから中国の女?など)において土から人間を作る話は多い。










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