アスファルト
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コストの安さから火力発電所富士石油袖ケ浦製油所、JXTGエネルギー大阪製油所など)の燃料として用いられる[21]。化成品メーカーのC重油の代替品として燃料として使用される。
その他の工業用アスファルト
ブローンアスファルトをクラフト紙などの紙で挟み込んだ防湿紙(ターポリン紙)、産油地や産炭地のパイプラインに使われる鋼管の防錆塗料、建築用や自動車用の制振・防音材の原料、家電製品などの電気絶縁材料、建物の軟弱地盤沈下対策として地下杭の表面摩擦抵抗を高めるための塗布剤、シャープペンシルの芯やコークス製造のときに用いる結合材(バインダー)、オフィスの床などに敷かれているタイルカーペットの裏貼材、廃棄物の固化剤、電極用の炭素材料などにも使われる[19]
構造と成分

ストレートアスファルトの化学組成は、アスファルテンとマルテンに大別される[22]。有機媒体であるノルマルペンタンに溶けるかどうかで分類しており、アスファルテンは溶けない成分である[22]。アスファルテンと呼ばれる高分子炭化水素が、マルテンと呼ばれる多環の炭化水素の油やレジンの中にコロイド状に分散している。アスファルテンとは、ヘキサンなどの軽質の炭化水素に溶けない成分で縮合環の芳香族炭化水素が架橋結合して出来た高分子化合物である。マルテンはレジンと油に分けられ[22]、レジンと油分は軽質の炭化水素に溶ける成分である。レジンは比較的融点が高い樹脂状物質で、マルテンのうち、特にレジンが接着性や可塑性を与えて、アスファルトの塑性変形性を左右している[22]

油分

飽和 - パラフィンナフテン (分子量:300 - 2,000)

芳香族 - 芳香族 (500 - 2,000)


レジン - 縮合多環芳香族 (500 - 50,000)

アスファルテン - 縮合多環芳香族の層状構造 (1,000 - 100,000)

分類

アスファルトは、大別すると天然アスファルトと石油アスファルトの2種類に分類される[11][4]
天然アスファルト

天然アスファルトは、自然界で産出される瀝青の代表的な材料物質である[23]。種類には、次のようなものがある。

レイクアスファルト:地下から湧き出して湖のようになったもの[4]

ロックアスファルト:石灰岩や砂岩のような岩石にしみ込んだもの[4]

オイルサンド:砂にしみ込んだもの[4]

アスファルトタイト:岩石にしみ込んだ石油が熱変成を受けてできたもの[4]

レイクアスファルトの産出地として有名なものは、トリニダード・トバゴのピッチ湖(アスファルトの湖)が知られている[23][4]。オイルサンドの産地では、カナダアルバータ州にあるアサバスカ地域が有名で大規模な露天掘りが行われている[22]。アスファルトタイトでは、アメリカ合衆国ユタ州のユインタ盆地で産出されるユインタ石があり、ギルソナイトという品名で黒ワニス塗料の素材として用いられている[22]
石油アスファルト

石油アスファルトは、原油を精製して石油製品を製造する過程で最後に残った残油で出来ている。石油アスファルトを大別すると、ストレートアスファルトとブローンアスファルトに大別される。ストレートアスファルトは、原油中のアスファルト成分が変化しないように製造されたものである[22]。性状は、伸び・付着性・感温性が大きく、軟化点が低い特徴があり、主に道路などの舗装に使用されている[22]。ブローンアスファルトは、製造中に空気を吹き込んで酸化させたものである[22]。性状は、伸び・付着性・感温性が小さく、軟化点が高い特徴があり、主に目地や防水用に使われている[22]

製造過程は、原油を常圧蒸留することでLPGナフサガソリン灯油軽油が留出され、残った常圧重質油からさらに加熱して減圧蒸留することで、重油潤滑油が生成される[24]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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