アスファルト
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使用されたのは秋田県の豊川(現在の潟上市、後に油田天然ガス田として開発される)からはるばる運ばれた天然アスファルト200俵であった[11][15]

石油産業や自動車の普及とともに、アスファルトの需要も変化するようになると、日本の他、先進諸国で道路舗装用に石油アスファルトが使用されるようになった[11]
用途アスファルト輸送用、ISOコンテナ。粘度が高いためにタンクローリー輸送時と同様に外付けバーナーや、蒸気送圧により温めながら排出できる特殊な保温コンテナ。

アスファルトは、低温では固体、高温では液体になるという性状を持つ[11]。この性質を活かして、道路舗装用の骨材の接着剤として多く用いられているほか、油分でできている特長を活かして燃料や原料、防水材、防腐剤、熱可塑材、電気絶縁材、断熱材、高真空用シーリング材、衝撃吸収材、潤滑剤、顔料としても利用されている[11][16]。道路舗装用に使われる以外のアスファルトのことを、工業用アスファルトと呼んでいる[16]。アスファルトの使用量は、舗装用と防水用で約80%を占めている[16]
乳剤
道路舗装の表層(及び基層)を施工する際、防水効果を得たり、合材との接着をよくするためにまかれる褐色の液体。また舗装の継ぎ目にも隙間からの破損等を防ぐために流し込まれる。水とアスファルトを界面活性剤を使って混合させたもので、水分が蒸発すると黒色になりアスファルト分だけが残る。基層を構築したあと、表層を施工する前に基層表面に一様に散布されるものをタックコート[17]、アスファルト混合物を敷設する前に路盤表面に均一に散布されるものをプライムコート[17]、継ぎ目に流し込まれるものをシールコートと呼ぶ。
道路舗装材
アスファルト混合物」も参照アスファルトを結合材として、骨材(砂利や砂、一部融解スラグ等)やフィラーを混合したアスファルトコンクリート舗装に用いる。アスコン(アスファルトコンクリートの略)、合材(アスファルト混合材料の略)などと呼ばれる。
防水用アスファルト
アスファルトルーフィング」も参照建築分野では、鉄筋コンクリート構造の建物に多い陸屋根や、住宅屋根の下地防水工事で用いられるシート状のアスファルト系防水材に用いられる[18]。繊維を原料とした不織布・布・紙などにアスファルトを浸透させてシート状にしたアスファルトルーフィングは、建物内への雨水の浸入を防ぐことを目的に屋上や住宅屋根の下葺材、壁面・浴室の防水材に使われる[18]。アスファルトを塗布した板状の芯材の両面に鉱物質粉粒や彩色砂粒をまぶして貼り合わせたアスファルトシングルスは、木造建築の屋根下葺材のほか、釘に加えて接着剤による施工ができることからコンクリート下地や耐火性ボードなどの屋根防水としても使用されている[19]。土木分野では、地下鉄、共同溝などの地下構造物の防水、道路橋床版の防水、水利構造物で用いられる[16]。地下コンクリート構造物では、雨水や地下水が構造物内部へ漏水することを防止するため、合成繊維不織布・プラスチックメッシュを芯材に改質アスファルトを含浸したシート状のアスファルト系防水材を、構造物の全面的に貼り付ける工法で用いられている[16]。道路橋においても、床版にシート系や塗膜系のアスファルト防水材が用いられており、鋼床版では主にグースアスファルト舗装[注釈 1]が防水兼基層として採用されている[20]。水利構造物では、フィルダムなどの表面遮水壁・内部遮水壁に水工用の加熱アスファルト混合物が用いられ、貯水池や水路の漏水防止層(ライニング)には板状に形成したアスファルト混合物やシート状のアスファルト系防水材、加熱溶解したブローンアスファルトを散布するなどの工法で用いられる[20]
燃焼用アスファルト
コストの安さから火力発電所富士石油袖ケ浦製油所、JXTGエネルギー大阪製油所など)の燃料として用いられる[21]。化成品メーカーのC重油の代替品として燃料として使用される。
その他の工業用アスファルト
ブローンアスファルトをクラフト紙などの紙で挟み込んだ防湿紙(ターポリン紙)、産油地や産炭地のパイプラインに使われる鋼管の防錆塗料、建築用や自動車用の制振・防音材の原料、家電製品などの電気絶縁材料、建物の軟弱地盤沈下対策として地下杭の表面摩擦抵抗を高めるための塗布剤、シャープペンシルの芯やコークス製造のときに用いる結合材(バインダー)、オフィスの床などに敷かれているタイルカーペットの裏貼材、廃棄物の固化剤、電極用の炭素材料などにも使われる[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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