アスパラガス
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日本へは江戸時代(1781年以降)にオランダ船によって渡来し、観賞用として栽培されたが[10][11]、食用としては明治時代(1871年)に北海道開拓使よって導入されてからである[7][8]。本格的な栽培は大正時代からで、このころから食用として楽しむようになった[12][11]。北海道や青森県で生産される一方で、横浜や神戸の郊外でも西洋野菜として生産され珍重された[8]。当初欧米への輸出用缶詰に使うホワイトアスパラガスが始まりであったが、その後は国内でも消費されるようになり、昭和40年代以降はグリーンアスパラガスが主流となった[8]。現在では生のホワイトアスパラガスや調理しやすいミニアスパラガスなどが店頭に並んでいる。
特徴

多年草で、雌雄異株[7]。草丈は約1.5 m(メートル)になり、5 - 7月ころに黄白色の小さなを咲かせる[7]の先に茂る細長いのようなものは茎が変形したもので、光合成を行うことから擬葉とよばれる[13]。生物学的に本来の葉とされるのは、茎にへばりついている三角形の俗に袴(はかま)と呼ばれる部分である[13]。繁殖は実生による。

雌雄異株であり雄株のほうが勢いが強く収穫量も多いが、1年生株の促成栽培では雌株の方が茎径が太く、成育が旺盛である[14]。しかし外見では見分けられないので、花が咲くまで待つ必要がある。翌年の良質な芽の発生のためには、収穫しすぎない事と、夏に茎が倒れずに充分に繁茂している必要がある。収穫せずに残した芽が葉を茂らせ、翌年春にまた細い芋のような根から若芽が次々と出てくる[11]

アレロパシー作用があり、連作障害が起きる[15][16]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

細かい枝を多数分枝した植物体

アスパラガスの花

アスパラガスの実

鱗片状の葉

アスパラガスにつく害虫、ジュウシホシクビナガハムシ

種類

品種ではなく栽培法の違いで、土寄せして軟白栽培した白いものをホワイトアスパラガス(白アスパラ)といい、それに対して土寄せせずに日光に当てて普通に育てた緑色のものはグリーンアスパラガスという[17][8][3]。グリーンアスパラガスを早どりして市場に出回るものは、全体に細くて長さも短いのでミニアスパラガスとよばれている[17]

近年、アントシアニン色素の多い紫色品種のアスパラガス(米国原産「パープルパッション」、福島県産「はるむらさきエフ」など)や桜色の品種も登場した。加熱すると紫色は失われ緑色になるため、色を楽しむためには生食するか、食酢レモン汁を入れてさっと湯通しする程度にとどめることが必要となる[18]

グリーンアスパラガス(グリーンアスパラ) - 最もポピュラーな緑色のアスパラガス。地中から出た若芽をそのまま日に当てて栽培している[11]

ホワイトアスパラガス(ホワイトアスパラ、白アスパラ) - 若芽に土を被せて地中で軟白栽培したもの。グリーンアスパラガスに比べると香りは弱いが、特有の甘味とほろ苦い風味がある[8]。日本では水煮缶が一般的であるが、ヨーロッパでは生を茹でたり、ソテーして食べられている[19]

紫アスパラガス(紫アスパラ) - アントシアニン色素を含んだ紫色のアスパラガス。ポリフェノールは一般のグリーンアスパラの10倍ほど含まれている。加熱すると濃緑色に変わる[19]。グリーンアスパラガスのものよりも甘味が強い[8]

ミニアスパラガス(ミニアスパラ) - グリーンアスパラを10センチメートルほどの長さで早どりした、細くて小さなもの。やわらかいため、皮を剥かずに食べられる[19]。あしらいなどに使われる[8]

品種(栽培品種)

以下、アスパラガスの代表的な品種について記す。

標準品種[20]

メリーワシントン500W

オランダ育成品種[21]

ガインリム

ヴェンリム

アメリカ育成品種[21]

ウェルカム

バイトル

グリーンタワー

シャワー

日本における栽培太陽の光を遮って作った白色のもの(左:ホワイトアスパラガス)と、日に当てて緑色にしたもの(右:グリーンアスパラガス)がある。

栽培には手間がかかり、種から苗を植えて育て、仮植えして1年ほど養生してから畑に定植してさらに1年養生し、収穫するまでに3年ほど要する[12][13]。3年目以降から10 - 15年ほど毎年収穫できるようになるが、古い株になると収量が落ちてくるので改植が必要になる[22][13]。毎年冬には、枯れた茎葉を刈り取る[23]

日本で最初に栽培・生産を行ったのは北海道岩内町の農学博士であった下田喜久三である。立茎栽培は、春の収穫を早めに切り上げて1株あたり3 - 4本の若茎を伸ばして、擬葉の光合成によって根株を養生しながら夏に伸びてくる若葉を収穫する方法で、単位面積あたりの収量を上げる方法として北海道で導入するところが増えている[13]本州中部では4月下旬ごろから6月にかけて若芽が成長し、低温期は1日1回、高温期は1日2回収穫する。


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