「アシナガグモ」とは異なります。
アシダカグモ
アシダカグモ(雄成虫)
分類
アシダカグモ(足高蜘蛛[3]、?蛸、学名:Heteropoda venatoria )は、アシダカグモ科に属するクモの一種。イエグモ[注 1][4]、ヌスットコブ=盗人蜘蛛(熊本県)、ヤツデコブ・ヤッデコッ・ヤツネコブ(鹿児島県)[6]、ヤクブ(沖縄県石垣島)など複数の呼び名が存在する[6]。
徘徊性で、網を張らずにゴキブリなどの獲物を待ち伏せ、目の前に来た獲物を捕食する。日本に生息する徘徊性のクモとしては最大種で[注 2][7][2]、人家に棲息する大型のクモとしてよく知られている。
家屋内では不快害虫とされる一方[8]、ゴキブリなど家の中の衛生害虫を食べる益虫でもある[9]。 体長はメスで20 - 30 mm、オスでは10 - 25 mmで[7][10]、左右の歩脚を伸ばすと約100 mm(10 cm)[2]ないし15 cm程度になる[11]。オスはメスより少し体が小さく、やや細身で、それに触肢の先がふくらんでいる。 全体にやや扁平で、長い歩脚を左右に大きく広げる。歩脚の配置はいわゆる横行性で、前三脚が前を向き、最後の一脚もあまり後ろを向いていない。歩脚の長さにはそれほど差がない。体色は幼体は成体に比べて色の薄い茶褐色をしており雌雄の差はないが、亜成体になると雌雄の差がはっきりしてくる。メスは灰褐色で、多少まだらの模様があるが、雄は全体に白っぽく頭胸部の後半部分にドクロ模様のような黒っぽい斑紋がある。また、雌雄共に頭胸部の前縁、眼列の前に白い帯があり、類縁種であるコアシダカグモとはこの帯の有無で判別できる。 原産地はインドと考えられるが、全世界の熱帯・亜熱帯・温帯に広く分布している[12]。 アシダカグモは外来種で、元来は日本には生息していなかったが、1878年に長崎県で初めて報告された[12]。移入した原因としては、輸入品に紛れ込んでいた可能性が考えられる。日本には福島県以南の本州・四国・九州・南西諸島に生息し、冬季に着雪のある北海道・東北・石川県以北で確認された例はないとされるが、局地的に生息している場合がある。主要な餌動物となっているゴキブリの勢力を追いかける形で、交通機関などでの人為分布が進んでいると考えられるほか、気温条件や子グモの空中分散も分布拡大に影響していると思われる[12]。ただし、よく似たコアシダカグモ類との誤同定も報告されている[13]。 都市の建造物の内外[注 3]に生息するが、南西諸島(トカラ列島以南)・小笠原諸島では、森林内に生息する小型の個体からなる個体群がある[10]。動きはとても俊敏。 夜行性で、日中は物陰など[注 4]に潜み、夜になると隠れた場所から這い出る[10]。そして天井・障子・壁などで脚を広げて静止し[14]、接近してきた昆虫[10](ゴキブリ・ハエ・ガ・カ・ハサミムシなど)を捕食する[14]。本種を含むクモ類は歯を持たず、消化液を出しながら噛み砕いて体液を吸い込む[注 5][11](体外消化)。成長が遅く、成体になるのに2年ほどかかるが、その分寿命は長く、飼育下では8 - 10年にわたり生きた記録もある[7]。 本種の天敵となるカリバチとして、クモバチ科[注 6]のスギハラクモバチ Leptodialepis sugiharai (Uchida, 1932) [16]やツマアカクモバチ アシダカグモ属は世界に180種がある。日本にはこの種を含めて3種のみが知られるが、他の2種はごく分布の限られたものばかりである。
特徴
分布
生態雌成虫
類縁種など
トカラアシダカグモ
ホソミアシダカグモ