アシスタント_(漫画)
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また、『ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』執筆中の藤子・F・不二雄の死去を受けてアシスタント(むぎわらしんたろう)が後を引き継いで完結させた例がある。『ちびまる子ちゃん』で、さくらももこの死後にアシスタントの作画で漫画を復活させた例もある[2]
収入

漫画家としてデビューするまでの下積み等、一時的な修行の場と見なされていたためか、一般に高給とは言いがたく、一部を除き福利厚生もないに等しい。雑誌のアシスタント求人欄では給料が公開されることもない。ただし、腕の立つ専業アシスタントには、高度な作画技術を武器にアシスタント先を掛け持ちし、相応の報酬を得ている者もいる。また、プロダクションの切り盛りや漫画家のブレーンの役割を担う管理職的なアシスタント(=チーフアシスタント)ともなると、専属契約と引き換えにかなりの報酬を受け取っている場合もある。

三浦建太郎のスタジオ我画では正社員で雇用しており、都内にマンションを購入した者や家庭を持った者もいるという[1]

アシスタントの給与原資は雑誌掲載時に漫画家に支払われる原稿料のみであり、一部のチーフアシスタントを除き、単行本による印税アニメ化映画化・関連グッズによる収入は還元されないのが一般的である。
アシスタントになる方法

最も手っ取り早いのが、漫画雑誌などに掲載されるアシスタント募集に応募するという方法である。また編集者が漫画賞への投稿者を修行のために漫画家に斡旋したり、デビュー前の漫画仲間がアシスタントになったり、漫画家同士で作画を手伝うケースも一般的である。

中には売れなくなった元漫画家がアシスタントとなることもある。1960年代に週刊漫画雑誌が興隆すると、漫画家たちは短時間に作品を仕上げる必要が生じたため、多くのアシスタントを雇うようになったが、その中には貸本漫画の衰退によって仕事を失った元貸本漫画家が多くいた。
勤務形態

原稿の進行状況に合わせて漫画家の仕事場(自宅が多い)に通勤し、仕事量は漫画家の作業状況により左右されるため、出勤してもずっと待機時間などという場合もある。しかし締め切り厳守という業界の鉄則があるため、作業が集中して数日間泊り込みで不眠不休で作業しなけらばならないケース(俗に修羅場という)も多く、勤務状況は概して過酷である。

三浦建太郎は正社員・年齢不問という条件を提示しているが、2020年ごろには通勤し作業に専念する勤務形態は人が集まりにくいと発言している[1]

非常勤、または仕上げなどの追い込みの日のときだけ手伝いに来るアシスタント(ヘルパー)も存在する。

近年[いつ?]ではオンラインで遠隔作業も可能となっている[1]
アシスタント探し

かつては漫画家や編集者がツテを頼って探すのが一般的であった。ただ、谷村ひとしは、週刊少年ジャンプなどで連載を持っていた頃は自らアルバイト情報誌FromA」に求人広告を掲載してアシスタントを募集し、応募者と直接面接していたことを述べている[3](記事によると、当時エスパー伊東板垣恵介らが面接に訪れている)。

現在[いつ?]では、インターネットの普及により、アシスタント探しもネット上で行われるようになってきた。特にJ.A.C.(Japan Assistants Club)の利用率が高い。他には赤松健が立ち上げたマッチングサイト「GANMO(がんも)」などがある。また、出版社が漫画雑誌のウェブサイトで募集し、連載作家に斡旋することもある[4]
アメリカンコミック

アメリカンコミックでは人物や背景の専門にとどまらず、スクリプト(脚本)を書くライター漫画原作者に相当する)、下絵を専門にするペンシラー、ペン入れを担当するインカー、彩色を行うカラーリスト(英語版)、レタリングを担当するレタラーなど、専門家による高度な分業体制が取り入れられており、巻末には名前と役割が明記され、給与や印税も事前の契約に従って分配される。日本の漫画のような形態のアシスタントは一般的ではない。

補助ではなくそれぞれの技能を持って作品に参加していることから著作権の帰属や報酬について論争が多く、物語と絵を作成するペンシラーやライターと、出版社に雇用され作品ごとに担当(職務著作)するインカーやレタラーの意識の差などでクリエイター側が纏まらず、キャラクターを使用する権利や二次的利用のロイヤルティを巡る裁判が幾度となく起こされている(アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利を参照)。
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g 「ヤングアニマルZERO特集 「ドゥルアンキ」「ベルセルク」三浦建太郎インタビュー&スタジオ我画潜入レポート」『コミックナタリー』株式会社ナターシャ。2021年5月22日閲覧。
^ “漫画『ちびまる子ちゃん』の新作が「りぼん」11月号に掲載決定!”. さくらももこ公式ブログ (2019年9月2日). 2022年1月3日閲覧。
^ 「谷村ひとし 爆裂!!オカルト攻略塾」『日刊スポーツ』、2016年7月6日、大阪版、22面。
^新人賞 / アシスタント募集 - 講談社少年マガジンR

関連項目

日本の漫画家#アシスタントとスタジオ

イエス小池 - ほぼ専業のアシスタント。宝塚大学のマンガ背景美術で非常勤講師を務めている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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