同じMのリードを表す●は、その位置によりチューニングの微妙なピッチの違いを表す場合がある。
表示意味 アコーディオンの複数のリードを同時に鳴らす場合、それぞれのリードの音程のあわせかたによって音色の印象はがらりと変わる。主に以下の4種類がある。 ピアノ式鍵盤とボタン式鍵盤の二種類がある。詳しくはアコーディオンの種類の項を参照。ピアノ式鍵盤(左)とボタン式鍵盤(右)のデュオ(巡?MeguRee?)。楽器フェア2018にて。 当初、アコーディオンの鍵盤は、他の蛇腹楽器と同様、狭いスペースにたくさんの鍵(キー)を並べることができるボタン式鍵盤が標準であった。また初期のアコーディオンは押引異音式だった。 1850年ごろ、ウィーンのフランツ・ワルターは、3列のボタン鍵盤を並べた押引同音式のクロマティック・アコーディオンを開発した(現在「B配列」と呼ばれるタイプ)。押引同音式のアコーディオンの出現により、ピアノ式鍵盤を装備する可能性が開かれた。 初期のピアノ・アコーディオンはウィーンのマテウス・バウアーによって開発されたが、これとは別個に1880年代のイタリアでも開発された[1]。 ピアノ式鍵盤の特長は汎用性である。ピアノやオルガンなど他の鍵盤楽器と共通なので、入門者もすんなりと弾け、また上級の演奏者も他の鍵盤楽器が長い歴史の中でつちかってきた演奏テクニックを活用することができる。その一方、ピアノ式鍵盤の欠点は、鍵が細長い板状であるためボタン式より広いスペースを必要とすること(小型軽量化には不利)、ボタン式と違い鍵どうしが密接しているため高速のパッセージを弾くとミスタッチが起きやすい[注 1]こと、などがある。ダイアトニック・アコーディオン日本でアコーディオンと言えばピアノ・アコーディオンを指すことが多いが、外国ではむしろボタン・アコーディオン(ダイアトニック・アコーディオンおよびクロマティック・アコーディオン)のほうが普及している。ただし日本でも、金子元孝以来、クロマティック・ボタン・アコーディオンのプロ奏者は少しずつ増えている。
正確な音高(ピッチ)にチューニングしたMのリード
本来の音高より高めにチューニングしたMのリード
本来の音高より低めにチューニングしたMのリード
正確な音高のMのリードと、ほんのわずか高めにチューニングしたMのリードをならべ、わざとうなりが生じるようにした組み合わせ
正確な音高のリードと、それよりちょっとだけ高め、ちょっとだけ低めの3枚のMのリードの組み合わせ
「HMML」のリードをもつアコーディオンの「音色(ねいろ)切り替えスイッチ」。数字の4、8、16はそれぞれH(高音)、M(中音)、L(低音)のリードを表す。それぞれのスイッチには音色の「俗称」(下記の説明を参照)が書いてある。
「MML」のリードをもつアコーディオンの音色切り替えスイッチ。それぞれの音色の「俗称」が微妙に違うことに注意。
「HMML」のリードをもつアコーディオンの音色切り替えスイッチ。アイコンのみによる表示。
リードのチューニングについて
ドライ・チューニング - MM(ヴァイオリン・トーン)でそれぞれのリードの音高をぴったり一致させると「乾いた」音色になる。アイルランドの伝統音楽やケイジャン音楽のアコーディオンで好まれる傾向がある。
ウェット・チューニング - 「トレモロ・チューニング」とも言う。MMやMMM(ミュゼット・トーン)等でそれぞれのリードの音程を故意に微妙にずらすことでシャリシャリとした独特の「うなり」のある「濡れた」音色になる。フランスのミュゼット音楽や、日本の演歌などのアコーディオンでよく使われる。
スイング(Swing)・チューニング - 上記のドライとウェットの中間。
オクターブ・チューニング - HM(オーボエ・トーン)やML(バンドネオン・トーン)など、複数のリードをオクターブ違いの音高にして重厚感を出したチューニング。
右手側の鍵盤について
英国の五月祭の行進。小型軽量のボタン式ダイアトニックアコーディオンを弾く女性たちと、重いピアノ式を弾く男性。欧米ではボタン式とピアノ式の両方とも普及している。
ピアノ式鍵盤の白鍵と黒鍵の配列に似せたボタン式鍵盤。過渡期の方式。1847年。
1885年ごろのピアノ・アコーディオン。鍵盤は現代のタイプに比べると寸詰まりである。
1920年ごろの湾曲型ピアノ鍵盤式アコーディオン。
上は現代型のクロマティック(140個のベースボタンをもつ、コンバーター式フリーベースの機種)。下はバヤン。同じ面積なら、ボタン鍵盤のほうが多くの鍵を詰め込める。