同時期には、アーノルド・シュワルツェネッガーを中心としたボディビルダー達を取り上げたドキュメンタリー映画の『パンピングアイアン』(1977年)が公開された。前述の『ロッキー』と、この『パンピング・アイアン』のヒットは、1970年代初頭のベトナム戦争後のトラウマや経済的不確実性を払拭したとされる。また本作は「シュワルツェネッガーはネオンのように映画を明るくする」と批評家から評価されるなど、シュワルツェネッガーのスクリーン上での存在感が「再発見」されることになった。『パンピング・アイアン』はドキュメンタリー映画でありながら、1980年代の肉体派俳優全盛の時代への到来を告げる作品であったとの指摘もある[18]。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年)でのハリソン・フォード
1980年代に入ると、ハリソン・フォードは冒険活劇の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年)でも主演に抜擢され、子供っぽさと大人のセクシーさを併せ持つ魅力的な個性で考古学者「インディアナ・ジョーンズ」がはまり役となった[8]。「インディ・ジョーンズ シリーズ」は長きに渡る人気作となり、3作目の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年)では「インディアナ・ジョーンズ」の父親役のショーン・コネリーと共演した[8]。主人公「インディアナ・ジョーンズ」のイメージは元々、ショーン・コネリーの演じた「007シリーズ」の「ジェームズ・ボンド」のようなヒーロー像が原型だった[8]。
同年には、ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』(1981年)でカート・ラッセルがブレイクした。なおラッセルはその後、1989年公開の『デッドフォール』でシルベスター・スタローンとダブル主演を務めている。メル・ギブソン(1985年)
『マッドマックス』(1979年)、『マッドマックス2』(1981年)、『マッドマックス/サンダードーム』(1985年)で成功したメル・ギブソンは、拠点をアメリカに移した『リーサル・ウェポン』(1987年)の刑事「リッグス」役でも人気を博し、1990年代にわたって人気シリーズ化した[1][19]。『マッドマックス』の「マックス」では孤独な主人公であったが、『リーサル・ウェポン』ではベテラン刑事の相棒役のダニー・グローヴァーと共演した[19]。刑事が二人組(バディ、相棒)で活躍する設定は、『48時間』(1982年)のエディ・マーフィとニック・ノルティのコンビでも見られた[1][注釈 4]。
肉体派アクション・ヒーローの隆盛『ランボー3/怒りのアフガン』(1988年)でのシルヴェスター・スタローン
マッチョ系では、前述の『ロッキー』(1976年)のボクサー「ロッキー・バルボア」役で第49回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど俳優として成功していたイタリア系のシルヴェスター・スタローンが、さらに単独で多勢を相手に闘う『ランボー』(1982年)の主人公「ジョン・ランボー」でもはまり役となり世界的なアクション俳優の地位を確立した[1][21][17]。