アクション俳優
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シュワルツェネッガーは「ワンマン・アーミー」の『コマンドー』(1985年)での単独ヒーローでも人気者となった[1][17]

シュワルツェネッガーは、ハリウッド映画界に本格的な肉体改造や筋肉トレーニングを持ち込み、「肉体派俳優」という存在価値をスクリーン上で認識させ、見た目の説得力を付加することで人間離れした無敵の強さを持つ新たな超人ヒーロー像を数多くのアクション映画で演じて、ライバルの「ランボー・シリーズ」のスタローンとともに、1980年代を代表する二大アクション俳優となった[1][17]デルタ・フォース』(1986年)でのチャック・ノリスジャン・クロード・ヴァンダムスティーヴン・セガール(2011年)

同時期には空手のチャンピオンで、ブルース・リーの敵役を演じたこともあるチャック・ノリスも主演作『地獄のヒーロー』(1984年)がヒットし「地獄のヒーローシリーズ」が人気シリーズとなった。

1980年代後半には同じくマーシャルアーツ(武術)のたしなみのある格闘家武道家の俳優が多く登場し、『レッド・スコルピオン』(1989年)などに主演したドルフ・ラングレンや、『キックボクサー』(1989年)などがシリーズ化したジャン・クロード・ヴァンダムが人気となり、『刑事ニコ/法の死角』(1988年)がヒットした合気道家のスティーブン・セガールも活躍した[13]

この1980年代から1990年代前半には、一般俳優が格闘やアクションに挑戦することはあまりなく、アスリート武道・格闘経験のある体育会系出身者が“アクション俳優”として主役を演じることが多かった[1]。ドルフ・ラングレンも「昔(1980年代)は実際のアスリートや格闘家でなければアクションを演じられなかった」と答えている[24]
一般俳優によるアクション演技への参入ブルース・ウィリス(2007年)

その一方で、それまでアクション専門ではなかったテレビドラマ出身のコメディ系のブルース・ウィリスが『ダイ・ハード』(1988年)を大ヒットさせ、一般俳優のアクションへの門戸を開いていった[1][25]テロリストらと孤軍奮闘する刑事「ジョン・マクレーン」役には当初、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーにオファーが行っていたが実現せず、ブルース・ウィリスのキャラクターに合わせて超人でなく普通の男的な主人公像に変更されたのが逆に功を奏し、2010年代まで続く人気シリーズとなり彼の代名詞になった[25][注釈 5]

この時代にブルース・ウィリス以外でもアクションへ挑戦した一般俳優は少数ながらも存在しており、主に『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)がヒットしたマイケル・パレ、『若き勇者たち』(1984年)や『ロードハウス/孤独の街』(1989年)等のパトリック・スウェイジ、『ネイビー・シールズ』(1990年)のチャーリー・シーンマイケル・ビーン等が挙げられる。

『ターミネーター』(1984年)のシュワルツェネッガー扮するアンドロイド「T-800」の人気や、日本の特撮ドラマ『宇宙刑事ギャバン』(1982年 ? 1983年)からのヒントもあり、サイボーグ警官が活躍するSFアクション『ロボコップ』(1987年)も製作され、「ロボコップ」役のピーター・ウェラーも人気となった。SF映画『エイリアン』シリーズの2作目『エイリアン2』(1986年)では「エイリアン」と戦う「エレン・リプリー」を熱演したシガニー・ウィーバーも女性のアクション俳優として注目された。

また、この時期には香港映画に「香港ノワール」という新風が起り、チョウ・ユンファ主演のギャング・アクション『男たちの挽歌』(1986年)では、ティ・ロン演じる親友「ホー」を陥れた台湾マフィアに報復するため、チョウ・ユンファ演じる「マーク」が殴り込みをかけるシーンで、ロングコートに両手で二丁拳銃を持って戦うスタイリッシュなアクションが生れた[1][3][26]。このスタイルは、監督の名を冠して「ジョン・ウー節」と呼ばれ、のちのガン・アクションに影響を与えることにもなった[1][3][26]。男同士の絆や人情の悲愁を題材にしたこの作品は、日本の東映任侠映画(ヤクザ映画)の風味を取り入れたもので、1作目で主人公のチョウ・ユンファは死亡したにもかかわらず人気シリーズ化され、2作目『男たちの挽歌 II』(1987年)では双子の弟役で主演、3作目では1作目の前日譚で主演し大銃撃戦を熱演した[26][27]

1990年代に入ると前述のブルース・ウィリスのように、元来はアクション俳優ではなかったキアヌ・リーブスもパトリック・スウェイジとのダブル主演の『ハートブルー』(1991年)や『スピード』(1994年)の主演で成功した[28]。『スピード』は日本のパニック映画新幹線大爆破』(1975年)の設定をモチーフにしたもので、公道でのカー・アクション撮影が可能なアメリカならではの臨場感あふれるシーンと、マッチョ系ではないがキアヌの清潔感のあるSWAT隊員役が魅力なって大ヒットした[28][注釈 6]。キアヌは少年時代にSonny Chiba(千葉真一)のアクション映画に心酔しアクション俳優に興味を持っていた[29]

1995年の『リービング・ラスベガス』で第68回アカデミー賞主演男優賞を受賞をした経験がある演技派のニコラス・ケイジも、往年のスパイ・アクション俳優のショーン・コネリーと共演した『ザ・ロック』(1996年)で好演し、キアヌ・リーブス主演の『スピード』同様に、必ずしも肉体派ではないが絶体絶命のピンチを頭脳戦でも切り抜けていく主人公のアクションが人気となった[1][30]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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