アキ・カウリスマキ
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東京物語



サイト&サウンド誌(英語版)2012年より[3]

兄のミカ・カウリスマキと共同で映画製作会社を設立しており、ほとんどの作品で脚本や編集も兼ねる作家主義の監督である。

社会の底辺に属する労働者や失業者を主人公に据え、踏みにじられる人間性とその回復を描くことが多い。恋愛・犯罪・死・旅・音楽といった古き良き映画の娯楽要素を受け継ぎつつ、大仰な演技や劇的なセリフ回しを排して等身大に演出するのが持ち味。飄々としながらも血の通った人間賛歌を天性のユーモアで成立させている。ロケーション撮影を多用して描かれる、フィンランドの庶民的な風俗・風景も見どころ。

脚本執筆においては配役を決めてから登場人物の性格を肉付けするといい(いわゆる当て書き)、信頼するなじみの俳優を頻繁に起用する。とりわけマッティ・ペロンパーカティ・オウティネンは主役級の常連で、アキ作品でそれぞれ国際的な演技賞も受賞している。

撮影はほとんどの作品をティモ・サルミネン(英語版)が担当。モノクロまたは彩度を抑えた無機的な色彩、カメラの動きの少ない淡泊なタッチを一貫して採用している。コメディ作品も同じスタイルで、一見文芸的でオフビートなユーモア感覚が醸し出されている。

影響を受けた監督として、ジャン=ピエール・メルヴィルジャック・ベッケルロベール・ブレッソンジョン・カサヴェテスらが挙げられている(批評家が指摘したものを含む)。日本の監督では兄の勧めで観た小津安二郎を敬愛しており、黒澤明も研究したという。

アメリカの映画監督ジム・ジャームッシュと親交があり、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』には彼が中古車のディーラー役で出演している。『コントラクト・キラー』にゲスト出演したミュージシャン、ジョー・ストラマーはジャームッシュがアキに紹介した。

妻のパウラ・オイノネンは画家で、いくつかの作品のポスター画を手がけている。
主な監督作品1985年、『カラマリ・ユニオン』公開時
長編

罪と罰 Rikos ja rangaistus(1983年)

カラマリ・ユニオン Calamari Union(1985年)

パラダイスの夕暮れ(英語版) Varjoja paratiisissa(1986年)

ハムレット・ゴーズ・ビジネス(英語版) Hamlet liikemaailmassa(1987年)

真夜中の虹 Ariel(1988年)

汚れた手(フィンランド語版) Likaiset kadet(1989年、テレビ映画

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ Leningrad Cowboys Go America(1989年)

マッチ工場の少女 Tulitikkutehtaan tytto(1990年)

コントラクト・キラー I Hired a Contract Killer(1990年)

ラヴィ・ド・ボエーム La Vie de boheme(1992年)

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(英語版) Leningrad Cowboys Meet Moses(1994年)

愛しのタチアナ Pida huivista kiinni, Tatjana(1994年)

浮き雲 Kauas pilvet karkaavat(1996年)

白い花びら Juha(1999年)

過去のない男 Mies vailla menneisyytta(2002年)

街のあかり Laitakaupungin valot(2006年)

ル・アーヴルの靴みがき Le Havre(2011年)

希望のかなた Toivon tuolla puolen(2017年)

枯れ葉 Kuolleet Lehdet (2023年)[4]

短編

Rocky VI
(英語版)(1986年)

ワイヤーを通して Thru the Wire(1987年)

Rich Little Bitch(1987年)

L.A. Woman(1987年)

悲しき天使 Those Were The Days(1991年)

俺らのペンギン・ブーツ These Boots(1992年)

Valittaja(1996年)

結婚は10分で決める Dogs Have No Hell(2002年、『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』所収)

鋳造所 La Fonderie(2007年、『それぞれのシネマ』所収)

Juice Leskinen & Grand Slam: The Pieksamaki Railway Station Blues(2012年)

バーテンダー Tavern Man(2012年、『ポルトガル、ここに誕生す?ギマランイス歴史地区』所収)

ドキュメンタリー

Saimaa-ilmio
(英語版)(1981年)

トータル・バラライカ・ショー Total Balalaika Show(1994年)

Bico(2004年)

CM

日本触媒(1992年)

関連項目

ミカ・カウリスマキ

マッティ・ペロンパー

カティ・オウティネン

レニングラード・カウボーイズ

脚注^ “金熊賞はハンガリー作品!畜殺場舞台の奇妙なラブストーリー【第67回ベルリン国際映画祭】”. シネマトゥデイ (2017年2月19日). 2017年2月20日閲覧。
^ “『ル・アーヴルの靴みがき』のカウリスマキ監督 「映画制作やめる」”. AFP BB News (2017年2月17日). 2017年2月20日閲覧。
^ “Aki Kaurismaki”. BFI. 2021年4月11日閲覧。
^ “映画『枯れ葉』公式サイト”. ユーロスペース (2023年). 2023年12月14日閲覧。

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、Aki Kaurismakiに関連するカテゴリがあります。

アキ・カウリスマキ - allcinema

アキ・カウリスマキ - KINENOTE

Aki Kaurismaki - IMDb(英語)










アキ・カウリスマキ監督作品
長編

罪と罰(1983年)

カラマリ・ユニオン(1985年)

パラダイスの夕暮れ(1986年)

ハムレット・ゴーズ・ビジネス(1987年)

真夜中の虹(1988年)

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年)

マッチ工場の少女(1990年)

コントラクト・キラー(1990年)

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年)

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(1994年)

愛しのタチアナ(1994年)

浮き雲(1996年)

白い花びら(1999年)

過去のない男(2002年)

街のあかり(2006年)


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