アカデミー賞
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前述の通り、ロサンゼルス郡内の映画館にて上映をしなかったり、インターネットで配信した作品については選考の対象外であるが、2020年に世界各地で流行が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響で映画館が一時閉鎖になっていることを受けて、2021年4月に開催の第93回についてはロサンゼルス郡に加え、ニューヨーク州ニューヨークカリフォルニア州サンフランシスコ/ベイエリアイリノイ州シカゴフロリダ州マイアミジョージア州アトランタの映画館にて上映された作品についてもノミネートの条件にすること、当初劇場での公開が予定されていたが、映画館閉鎖の影響でやむを得ず、ドライブインシアター(前述6都市のうち、いずれか1都市)での上映やビデオ・オン・デマンドなど、インターネットでの配信に切り換えた作品についても特例として選考の対象とすることを2020年4月と同年10月に発表した[5][8][9]

2014年度(第87回)と2015年度(第88回)にノミネートされた演技部門の対象者が全員白人だったことが物議を醸し、「白すぎるオスカー」などと批判された[10][11]。これらの批判を受けて、2023年度(第96回)からは作品賞にノミネートされる条件として、主要出演者にマイノリティー[注 1]を起用、または出演者・スタッフの3割以上においてマイノリティーを起用するなど、4項目中で最低2項目の基準を満たす作品が対象になることが2020年に発表された[10][12][13][14]

2024年度(2025年開催予定の第97回)からは作品賞について、ノミネート条件が改正され、初公開から45日以内に全米トップ50都市のうち、10都市の映画館で最低14日間は上映しなければならなくなった[14][15][16]
選出

投票権を持つ映画芸術科学アカデミー会員は、大部分がハリウッドの業界関係者による編成であり、新聞記者や映画評論家など公平な立場で判断できる分野の会員が少ないのが特徴。各賞の投票についても、例えば「アカデミー監督賞」であればハリウッドで働く映画監督の会員がノミネート作品選定に投票するなど、賞に応じた業務に携わる会員が担当する(もっとも、作品賞のノミネートおよび各賞ノミネート発表後の本選の投票は全会員が行うことができるので、最終的には各部門に携わる者以外の意向が結果に反映される)[17]
情報管理

最終投票は授賞式の一週間弱前に締め切られ集計されるが、結果は厳重に封印されて、大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の金庫に保管され、結果書類は当日、事務所の職員2人が授賞式会場に直接持ち込む(生中継では、会場に入っていく会計事務所の職員が映されることもある)。賞の授与担当プレゼンターがステージで開封するまでは、外部へは一切知らされない[17]

受賞結果について、当初は報道の関係上マスコミには事前通達してあったが、1939年に『風と共に去りぬ』が作品賞を受賞した際に、一部新聞が主宰者との協定を破って前日に抜け駆け報道をしたため、翌年よりPwCの管理するシステムとなり、今日に至る。
特色と現状

アカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートされないことがある。ゆえに、どうしても選出作品の足並みが揃ってしまう他の国際映画祭では見られない、独特の傾向と盛り上がりを見せる映画賞である[要出典]。
授賞式第81回授賞式
式典

授賞式は毎年2月の最終もしくは3月の第1日曜日にハリウッドドルビー・シアターで行われる。会場前を通るハリウッド大通りは、ドルビーシアターを中心に東はカフエンガ通りから西はラ・ブレア通りまで、東西計1マイル(1.6km)程度にわたり、授賞式当日午前からほぼ1日中、招待状を持つ関係者およびロサンゼルス市警察関係以外の車両は一切通行止めとなる。特に会場へ到着するリムジンなどの下車場所となる東側のハイランド通りとの交差点付近からシアター前までの通路は赤い絨毯で装飾されるため、一般に「レッドカーペット」とも呼ばれている。

出席は招待客のみで、チケットの販売は行われておらず、それ以外の客は出席できないので、15時頃までであれば、先述のハイランド通りとの交差点東側まで近寄ることはできるが、交差点手前50m程度の位置で警察官によるセキュリティチェックが行われ、ナイフなど不審物を持つ者は通過が許されない。また交差点付近各方向10m程度の幅はフェンスに設置された黒幕で覆われており、レッドカーペット付近を最短距離で直接見ることは難しい。なお15時以降からは招待客の到着が活発化するため、それ以上の交差点以降の立ち入り自体を一切禁止する。

演技部門のプレゼンター(賞の授与者)は、基本的に前年度の受賞者が反対の性の賞(前年の主演男優賞受賞者が翌年の主演女優賞)に対して行うことが慣例となっている。支払われるギャランティはなく、あくまでも無償奉仕である。

第64回のケビン・コスナー、第66回のクリント・イーストウッド、第67回と第72回のスティーヴン・スピルバーグ、第68回のロバート・ゼメキス、第69回のメル・ギブソン、第80回のマーティン・スコセッシ、第83回のキャサリン・ビグロー、第91回のギレルモ・デル・トロ、第93回のポン・ジュノのように近年は監督賞プレゼンターを前年度の受賞者が担当している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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