アウストラロピテクス・アファレンシス
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スマトラ島のオランウータンによる研究の結果、これらは大きな安定した枝の上を歩く時や細い枝の下を渡る時は四足を用い、直径4cm以下の細い枝の上を歩く時には腕でバランスを取りながら二足を用いて歩行することが明らかとなった。このような行動によって、樹冠の果物を取ったり、他の木の枝に移ったりすることが可能となった。約1100万 - 約1200万年前に気候が大きく変わったことにより、アフリカ東部から中央部の森林の様子が大きく変わり、樹上生活を諦め地上に降りてきたヒトの祖先と、樹上生活により適応しようとしたゴリラやチンパンジーの祖先が分かれた。
社会性

既に絶滅した種の化石から、その社会的行動について推測するのは困難である。しかし、現代の霊長類やサルの社会構造から性的二形などある程度のことを予想するのは可能である。アウストラロピテクス・アファレンシスのオスとメスの形態にはどれほどの差があったかということについてはまだ論争があるが、オスはメスに比べて大きかったようである。もし類人猿の性的二形や社会構造が当てはまるのであれば、アウストラロピテクス・アファレンシスも一匹のオスと何匹かのメスからなる小さな家族単位で生活していたと推測できる。

アウストラロピテクス・アファレンシスが石器を使ったという証拠はなく、現在見つかっている最も古い石器は、約250万年前のものである。
系統に関する疑問点

1977年、ルーシーの発見で知られるドナルド・ヨハンソンとティム・ホワイトは彼らの発見した化石の詳細な形態学的解析を行った[2]。彼らは化石をチンパンジー、ゴリラ、ヒト、他の化石人類と比較し、顎と歯の形状から、アウストラロピテクス・アファレンシスはヒトと類人猿の中間的な存在だと結論づけた。そしてこの種をヒト属には入れず、アウストラロピテクス属に入れることを提案した。彼らは、この種がアウストラロピテクス・アフリカヌスやアウストラロピテクス・ロブストゥスの祖先であるとともに、ホモ・サピエンスを含むヒト属の祖先でもあると確信し、またこの説は広く受け入れられた。しかし2006年にYoel Rak、Avishag Ginzburg、Eli Geffenらは、2002年に見つかった下顎の骨の形状がゴリラと良く似ていることを発見した[3]。その他の研究の成果も勘案し、彼らはアウストラロピテクス・アファレンシスはパラントロプス属に分類されるべきであり、現代のヒトの直接の祖先ではないと結論づけた。彼らは、ホワイトらが1999年に発見したアルディピテクス・ラミドゥスこそが現代のヒトの祖先と呼ぶにふさわしいと主張している。
主な化石
タイプ化石

アウストラロピテクス・アファレンシスのタイプ化石は、タンザニアのラエトリで発見された大人の下顎の化石で、LH 4という名前がついている。
AL 129-1

初めての膝関節の化石で、1973年11月にドナルド・ジョハンソン、ティム・ホワイトらのチームによりエチオピアのアワッシュ川中流域、アファール渓谷で発見された。
ルーシー詳細は「ルーシー (アウストラロピテクス)」を参照

初めての全身骨格で、1974年11月24日にトム・グレイ、ドナルド・ジョハンソン、ティム・ホワイトらのチームにより、エチオピアのアワッシュ川下流域、アファール渓谷で発見された。
サイト333

200以上の欠片からなる、初めて発見されたアウストラロピテクス・アファレンシスの家族の化石で、1975年にルーシーが発見された隣の丘で、ドナルド・ジョハンソンの生徒のマイケル・ブッシュが発見した。歯や顎など、発見された欠片の数から、その場所は現在、サイト333として知られている。13個体あり、その全てが成人である。13個体は同時に死んだと見られ、ヨハンソンは鉄砲水により死んだと考えている。

恐竜SFドラマ『プライミーバル』第3章では、この場所に焦点が当てられている。作中では、ヘレン・カッターが川に毒を流し込みアウストラロピテクスを殺害したことになっている。
セラム詳細は「セラム」を参照

2006年9月20日、サイエンティフィック・アメリカン誌が、ルーシーの発見場所から4km離れたディキカという場所で2000年に発見されていたと発表した。3歳の女児で頭蓋と胴体、肋骨のほとんどが発見された。樹上生活と直立二足歩行の両方に適応していたと見られ、ルーシーの特徴と一致する点が多々あった。「セラム」はアムハラ語で「平和」を意味し、発見場所から「ディキカ・ベビー」とも呼ばれる。
その他

AL 200-1

AL 129-1

AL 444

関連した研究

近年、ケニアントロプス・プラティオプスのような全く新しい種が発見された。これはルーシーと沢山の共通点を持つが、別の属だと考えられている。

1990年代にアルディピテクス属が発見され、その中でもアルディと呼ばれる、ほぼ全身骨格に近い状態の化石人骨がブレークスルーを起こした[4]
脚注^ “ ⇒Australopithecus afarensis”. Smithsonian Institution. 2015年12月20日閲覧。
^ Johanson, Donald C., and Tim D. White (1979). “A systematic assessment of early African hominids”. Science 203 (4378): 321-330. doi:10.1126/science.104384. 
^ Rak, Yoel, Avishag Ginzburg, and Eli Geffen (2007). “Gorilla-like anatomy on Australopithecus afarensis mandibles suggests Au. afarensis link to robust australopiths”. Proceedings of the National Academy of Sciences 104 (16): 6568-6572. doi:10.1073/pnas.0606454104. 
^ “ ⇒ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー:「アルディ」の解明” (PDF). Science AAAS (2009 年12月17日). 2015年12月24日閲覧。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、アウストラロピテクス・アファレンシス
に関するカテゴリがあります。

アウストラロピテクス










人類の進化
ヒト科 Hominidae

オランウータン亜科 Ponginae

ヒト亜族 Homininae

サヘラントロプス・チャデンシス

fr:Toumai


オロリン・トゥゲネンシス

アルディピテクス属

ケニアントロプス・プラティオプス

アウストラロピテクス属

アウストラロピテクス・アファレンシス

ルーシー

セラム


アウストラロピテクス・アフリカヌス

アウストラロピテクス・アナメンシス(英語版)

アウストラロピテクス・バーレルガザリ

アベル(英語版)


アウストラロピテクス・ガルヒ

アウストラロピテクス・セディバ

パラントロプス属

パラントロプス・エチオピクス

パラントロプス・ボイセイ(英語版)

パラントロプス・ロブストス



ヒト属

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ホモ・ガウテンゲンシス(英語版)

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