このことを恨んだヘーラクレースは、イリオス攻略ののち、アルカディア人の軍勢を集めてエーリスを攻撃した。アウゲイアースはこれに対して兄弟のアクトールとモリオーネーの息子で、腰から下はひとつの身体という双子の兄弟エウリュトスとクテアトス(モリオネ)を将に任じた。兄弟はポセイドーンの子ともいう。ヘーラクレースは遠征中に病を得て休戦したが、休戦の理由を知ったエウリュトスとクテアトスがこれを襲い、ヘーラクレースは退却を余儀なくされた。その際多くの兵が倒され、ヘーラクレースの異父兄弟イーピクレースもこのときの傷がもとで死んだという。
しばらくしてイストミア大祭が開かれ、これにエウリュトスとクテアトスが参加することを知ったヘーラクレースは、二人を待ち伏せして殺し、エーリスを陥落させた。アウゲイアースは息子たちとともに殺された。一説には、命だけは助けられたともいう。ヘーラクレースは追放されていたピューレウスを呼び寄せてエーリスの王とした。
さらに、ヘーラクレースはこの地にオリュンピア競技を創設し、オリュンポス十二神の祭壇とペロプスの祭壇を築いたという[17]。
脚注
注釈^ この人物はエンデュミオーンの娘エウリュキュダーとポセイドーンとの子供である。
脚注^ ロドスのアポローニオス、1巻172行-175行。
^ a b アポロドーロス、1巻9・16。
^ a b c ヒュギーヌス、14話。
^ ロドスのアポローニオス、1巻173行。
^ a b c アポロドーロス、2巻5・5。
^ a b シケリアのディオドロス、4巻69・3。
^ パウサニアス、5巻1・8。
^ ツェツェース