アイルランド語
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ゴールウェイ - Gaillimh(ガリヴ)

ダブリン - Baile Atha Cliath(バラー・クリーア)

語源はDubh linn(ドゥヴ・リン、黒い水)


ベルファスト - Beal Feirste(ベール・フェイルシュチ)

リムリック - Luimnigh(ルィムニー)

音声

母音音素は/a/, /e/, /i/, /o/, /u/という五つの短母音とそれぞれに対応する長母音、加えて曖昧母音/?/を持つ。基本的に強勢は第一音節に落ち、強勢を持たない短母音曖昧母音に中和される。

子音音素破裂音の/p/, /b/, /t/, /d/, /k/, /?/、摩擦音の/f/, /s/, /h/、鼻音の/m/, /n/, /?/、流音の/r/, /l/を持つ。これらに加え、後述する緩音現象により、摩擦音または接近音の/v?w/, /??j/, /x/が音素に加わる。また、無声声門摩擦音/h/以外の子音は、それぞれ口蓋化されたもの(狭子音:: slender consonant)とそうでないもの(広子音:: broad consonant)の二つに分かれるため、子音音素の数は比較的多い。これらの区別は、スラヴ語学において軟音・硬音と呼ばれるものに相当する。
文法

基本語順はVSO。例えば、Chonaic me e. 私は彼を見た。

という文は「見た・私は・彼を」という順で構成されている。

ケルト語派に共通する特徴として、特定の統語環境において語の頭音が変化する緩音現象を持つ。
緩音現象

ケルト語派に共通して見られる現象であるが、アイルランド語には軟音化(: lenition, soft mutation)[6]と暗音化(: eclipse, dark mutation)の2種類が存在する。
軟音化

軟音化を受けた子音は以下のように変化する。元表記 > 変化後表記 /音/ の順に記す。ここに挙げた子音は非口蓋化音(広子音)で代表させた。

p > ph /f/b > bh /v/あるいは/w/f > fh(無音)
t > th /h/d > dh /?/s > sh /h/
c > ch /x/g > gh /?/m > mh /v/あるいは/w/

おおむね、破裂音摩擦音ないしは接近音に変化する。dとg、bとmはこの軟音化の結果、同じ音を表すことになる。

一例として、名詞の女性単数主格形に定冠詞anが付く場合にこの軟音化が起こる。男性名詞 fear (a man) > an fear (the man)女性名詞 bean (a woman) > an bhean (the woman)
暗音化

暗音化を受けた子音は以下のように変化する。元表記 > 変化後表記 /音/ の順に記す。ここに挙げた子音は非口蓋化音(広子音)で代表させた。

p > bp /b/b > mb /m/f > bhf /w/あるいは/v/
t > dt /d/d > nd /n/ 
c > gc /?/g > ng /?/ 

おおむね、無声音有声音に、有声音鼻音に変化する。一例として、前置詞i: in)が用いられると続く名詞にこの暗音化が起こる。なお、大文字で書き始める固有名詞の場合、その前に添える暗音化を示す文字は小文字で書く。Toiceo (Tokyo) > i dToiceo (in Tokyo)
名詞

アイルランド語の名詞は基本的に、男性名詞女性名詞の二性、単数複数の二数、主格属格の二格を区別する。

前述の通り、アイルランド語の名詞男性名詞女性名詞の二つに分けられる。大まかに言って、語末が非口蓋化音(広子音)で終わるものは男性名詞口蓋化音(狭子音)で終わるものは女性名詞という傾向がある。男性名詞:teach(家)、leabhar(本)など女性名詞:cathair(街)、speir(空)など

ただし、これには例外が数多く存在する。例えば、sron(鼻)は非口蓋化音で終わるが、女性名詞である。

前述の通り、アイルランド語の名詞単数複数の二つを区別する。複数形の作り方は多種多様であり、基本的には一つ一つ記憶しなければならない。また、方言によって複数形が異なることもあるので注意が必要である。そのうちのいくつかを以下に挙げる。

語末の子音口蓋化bad > baid(船)

語末に-aを付加clann > clanna(子供、家族)

語末に-annaを付加am > amanna(時)

語末に-achaを付加teanga > teangacha(舌、言語)

格詳細は「アイルランド語の格変化」を参照

前述の通り、アイルランド語の名詞主格属格の二つを区別する。ただし、一部の名詞はこれとは別に与格形を持つ。また多くの場合に他のと同一の形態を取るものの、呼格も存在する。

主格は動詞主語直接目的語などに用いられ、属格は名詞同士の修飾関係を示すために用いられる。なお、与格は伝統的にそう呼ばれているが、単独で使用することはなく、特定の前置詞との組み合わせで用いる。単数属格は大きく分けて、以下の5通りの作り方がある。

語末の子音口蓋化bad > baid(船)この場合、多くは単数属格と複数主格が同じ形となる。

(語末の子音が非口蓋化音なら口蓋化して)-eを付加suil > suile(目)fuinneog > fuinneoige(窓)


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