アイルランド系アメリカ人
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彼らの一部はカナダ、特にトロントオンタリオ州に残ってアイルランド系カナダ人となり、残りはアメリカ合衆国へと移動した。

1820年から1860年にかけて、アイルランド人はアメリカ国内の移民のうち3分の1を占め、1840年代には移民の半分を占めるようになっていた[1]

当初アイルランド人は歴史的にアメリカ人の圧倒的多数を占めるイングランド系のルーツであるイングランドに支配された地ということ、カトリック教徒であることから不当な差別を受け、アイルランド人の利用を公然と拒んだ店も存在した。この差別に立ち向かうためにマフィアとなったアイルランド系も少なくなかった。

初期の移民の職業は警察官消防士軍人などが多く、アイルランド系の警官、消防士、軍人が活躍する映画が多い[2]。これは移民として比較的後発だったため、命がけの危険な仕事にしかありつけなかった歴史的事情や、血気盛んなアイルランド気質ともマッチしている要因が挙げられる。このことからアイルランド系移民には、それぞれの家代々で警官や消防官を勤める者がいる場合も少なくない。また文化・伝統的側面においても大いに影響があり、警察や消防では慶弔様々な式典においてバグパイプ隊による演奏が行われる。
例えばニューヨーク市警察ニューヨーク市消防局では、バグパイプを使った鼓笛隊「エメラルドソサイエティ」(Emerald Society、直訳すると翠玉団)が編成されている。演奏が行われるのは訓練学校の卒業式や殉職者の葬儀、聖パトリックの日など。米墨戦争において、兵の40%がアイルランド系だった聖パトリック大隊アメリカ軍から脱走し、メキシコ軍に加わってアメリカと戦った事例がある。

最初の大陸横断鉄道の建設労働者になった。

特徴としては、姓(ファミリーネーム)の綴りが「O'」「Mc」「Mac」で始まる事が挙げられる(McやMacはスコットランド人の姓にも付く)。これは、「O'」あるいは「Mc」「Mac」にはアイリッシュ・ゲーリック(アイルランドの公用語)で誰々の子孫、誰々の仲間という意味があり、例を挙げるならば、ジョン・マケイン(John McCain)のMcCainは「ケイン(Cain)の家族あるいは仲間」という意味になる。ケネディ(Kennedy)のように「O'」あるいは「Mc」「Mac」で始まらない姓の由来については、王室や貴族の家系、あだ名、職業、地名などさまざまである。例えば、ケネディとは「醜い頭(Ceanneidigh、ゲール語)」というあだ名に由来する。なお、第35代大統領ジョン・F・ケネディの曽祖父は農民である。

アイルランドからの移民の大多数はカトリックであったが、世代を下るに連れイングランド系や北ドイツ系との混血が進み、1990年代におけるアイルランド系アメリカ人に対する調査によるとプロテスタント51%に対してカトリック36%の比率であった[3]

アイルランド系アメリカ人は現在、アメリカ社会に完全に同化しているが、アイリッシュとしての自覚を捨てない者が少なくない。21世紀になってもアイルランドの聖パトリックの日がアメリカ各地で派手に祝われている。またスポーツにおいては、アイルランドのナショナル・カラーである緑と白を身に纏ったり、比較的アイリッシュの多い東海岸では同じアイリッシュのボクサーを熱狂的に応援し、アイリッシュ・ギミックを与えられたプロレスラーが人気を博す傾向がある。
著名なアイルランド系アメリカ人
政治アイルランドのウェックスフォードを訪れるケネディ大統領(1963年)祖先の故郷ティペラリーでスピーチをするレーガン大統領(1984年)

ジョージ・クリントン:第4代アメリカ合衆国副大統領

ドリー・マディソン:第4代アメリカ合衆国大統領夫人

ジョセフ・P・ケネディ駐英アメリカ大使


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