アイスランド
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古文書『ランドナーマボーク』によると、アイスランドへの入植(英語版)は西暦874年にノルウェーの族長インゴルフル・アルナルソンが最初期の島への定住者となったときに始まったとされている[4]。その後何世紀にも亘って、ノルウェー人を筆頭に他のスカンジナビア人が、ゲール系の奴隷(または農奴)を連れてアイスランド地域へ移住して来た。

この島は、現存する世界最古の立法議会の一つである現地議会アルシングの下で独立連邦として統治されていたが、内戦時代(英語版)を経て、同国は13世紀にノルウェーの統治下に加わり、1397年のカルマル同盟の締結により、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンの各王国が統一されることとなった。それによりアイスランドはノルウェーの連合への統合に従い、1523年にスウェーデンが連合から離脱した後、デンマークの統治下に置かれた。デンマーク王国は1550年にアイスランドにルター派を強制的に導入した[5]

フランス革命後のナショナリズムの影響を受け、アイスランドの独立闘争は具体化し、1918年のデンマーク・アイスランド連合法(英語版)で最高潮に達し、個人間での連合を通じて現職のデンマーク君主を共有するアイスランド王国が設立された。第二次世界大戦中のデンマーク占領中、アイスランドは1944年に圧倒的多数で共和制を支持し、デンマークとの連合関係に終止符を打った。アルシングは1799年から1845年まで中断されたが、それでも同国は世界で最も長く続いている議会の1つを維持する主張を保持している。

アイスランドは国土の大部分が西経15度よりも西にあるにもかかわらず、グリニッジ標準時を使っている。沿岸には多数のフィヨルドがある。火山性の土壌で大地は肥沃とは言えない。また、アイスランドの森林はかつて乱伐が行われたことも手伝って、現在の森林面積は国土の0.3パーセントしかない[6]。国土を構成する島はプレート間の亀裂部分に位置しており、間欠泉や頻繁な火山噴火などの地質活動が確認されている[7][8] 。内陸部は砂原と溶岩原(英語版)、山地氷河を特徴とする火山高原(英語版)で構成されており、多くの氷河流が低地を通って海に流れ込んでいる。傍ら北極圏のすぐ南に位置する緯度にもかかわらず、メキシコ湾流によって暖められ、温暖な気候に属している。その高緯度と海洋の影響により夏は寒く、島々のほとんどは極地気候(英語版)に属する。多くの火山が存在し、温泉も存在するほか、豊富な地熱を発電などに利用している。一方で、噴火による災害も多い(アイスランドの火山活動も参照)。たとえば、2010年にはエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山が噴火し、欧州を中心に世界中で航空機の運用に大きな影響を与えた。ただし、「自然災害」のほか「紛争・戦乱」「治安など個人の安全」の3つのリスクで128カ国を比較した「世界で最も安全な国ランキング」(『グローバルファイナンス』誌)では、2019年が第1位、2018年が第2位だった[9]

アイスランドの文化はスカンジナビアの伝統に基づいており、アイスランド人のほとんどは北欧人とゲール人の入植者の子孫である。北ゲルマン語のアイスランド語は古西ノルド語からの系統の語群であり、フェロー語と密接に関係している。文化遺産には、伝統的なアイスランド料理、アイスランド文学、中世時代の物語などがある。

アイスランドは金融立国であり、2007年時の人間開発指数によると世界で最も発展した国であったが、2008年から2011年にかけて経済危機が発生、国家経済が金融に強く依存していたために2008年の世界金融危機の影響を強く受けて2008年10月に債務不履行となった。その後、自国通貨アイスランド・クローナ暴落したが[10]、これが漁業アルミニウム工業などの輸出産業にとっては有利に働いたため、かえって景気が回復することになった。それによって経済成長率は2012年度には1.5パーセント、2013年度には3.3パーセントを達成した。また、経済危機の直後には8パーセントを超えていた失業率も、2015年では4パーセント台で推移している[11]。さらに来島する旅行者が急増して観光業が成長しているほか、IT分野などのベンチャー企業の育成・誘致にも力を入れている。2016年の経済成長率は7.2パーセントに達した[12]。アイスランドは元々20世紀まで、主に漁業と農業に依存して生計を立てていた。第二次世界大戦後、漁業の工業化とマーシャル・プランによる援助が繁栄をもたらし、アイスランドは世界で最も裕福な先進国の一つとなった。1994年に欧州経済領域の一部となったことにより、経済は金融、バイオテクノロジー、製造などの分野でさらに多様化して来た。

他の経済協力開発機構(OECD)諸国と比べて税金が比較的低い市場経済を持っており[13]、また世界で最も労働組合の加入率が高い[14]。国民に国民皆保険高等教育を提供する北欧の社会福祉制度を維持している[15] 。アイスランドは、生活の質教育市民的自由の保護、政府の透明性、経済的自由などの国家パフォーマンスの国際比較で上位にランクされている。なお、アイスランドは国際連合(UN)、欧州自由貿易連合(EFTA)、北大西洋条約機構(NATO)、欧州経済領域(EEA)の加盟国である。

アイスランドはNATO加盟国の中で最も人口が少なく、常備軍を持たない唯一の国であり、軽武装の沿岸警備隊のみを保有している[16]

個別分野の記事に関しては、アイスランド関係記事の一覧を参照。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
国名

正式名称はアイスランド語: Island[17][?i?stlant] ( 音声ファイル)(イーストラント)。非公式にLydveldid Island [?lid?v?lt?d ?istlant](イーストラント共和国)を用いることもある。日本外務省による日本語名称は英語: Iceland(アイスランド)に基づくアイスランド[3]漢字表記は、氷島、氷州、氷洲、愛撒倫などである。「氷の国」の意味の国名はヴァイキングフローキ・ビリガルズソンが沿海に流氷が浮かんでいるのを見て名付けたと言われている[18]
歴史詳細は「アイスランドの歴史」を参照
植民と自然への影響インゴールヴル・アルナルソン、最初のスカンジナビア人入植者

アイスランドは火山活動により1600万年前に北大西洋に誕生した[19]。871年に大規模な火山活動が2度あり、アイスランド全体が火山灰に覆われたが、人工物はその火山灰の上の地層からしか発見されていない[19]として、最初の入植は紀元874年であり、ノルウェーからやってきたとされていた[19]。アイスランド植民黎明期についての記録として『植民の書』が伝わる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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