サラミスの海戦については、自作『ペルシア人』にて見事に描かれている。この作品は紀元前472年のディオニュシア祭において初演されたが、紀元前470年頃にアイスキュロスが訪れたシラクサのヒエロン1世の宮殿でも再演されている。それからアテナイに戻り、『テーバイ攻めの七将』『オレステイア』などを上演したのち、再びシチリア島へ渡って同島のゲラで没した。『「頭に物が落下する」という神託を受けて屋外に出たところ、カメを岩へ落として食べるヒゲワシに、頭を岩と間違えられカメを落とされた』という伝説的な死因が、大プリニウスによって伝えられている[3]。
20代から作劇を始め、紀元前484年に初の優勝を得てからは、ディオニュシア祭で開催された劇大会で合計13回優勝した。これを伝えられている彼の作品の数と悲劇上演の例で律すれば、5割を超える非常に高い優勝率を誇ったことになる[4]。様式面では、それまでの悲劇が1人の俳優とコロスの掛け合いで進めていたのに対して俳優を2人とする改革を行ったこと、現存する唯一の同時代の事件を扱った作品(『ペルシア人』)を書いていることが知られる。作風については三部作構成を好んで用いたこと、アリストパネースにも揶揄された(『蛙』を参照)大言壮語とも言える大胆な比喩と荘重な詩句、ゼウスの正義の称揚が特徴的である。
アイスキュロスの一族もまた作家として有名になった。息子のエウポリオーンはソポクレースとエウリーピデースを破ってディオニュシア祭での優勝を果たし、甥のピロクレースもソポクレースを破っている。
現存する作品Aeschyli Tragoediae septem, 1552
アイスキュロスは90篇の作品を遺したと伝えられ、そのほとんどの題名が知られているが、完全な形で現存しているのは、以下の7篇のみである。
ペルシア人(ペルサイ)
テーバイ攻めの七将
救いを求める女たち(ヒケティデス)
オレステイア三部作
アガメムノーン
コエーポロイ(供養する女たち)
エウメニデス(慈みの女神たち)
縛られたプロメーテウス
日本語訳
『ギリシア悲劇全集』 岩波書店、復刊2008年
『(1) アイスキュロスI』 1990年、ISBN 4000916017
『(2) アイスキュロスII』 1991年、ISBN 4000916025
『(10) アイスキュロス断片』 1991年、ISBN 4000916106
『ギリシア悲劇(1) アイスキュロス』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、初版1985年、ISBN 448002011X - 下記は旧版
『世界古典文学全集(8) アイスキュロス・ソポクレス』 筑摩書房、初版1964年、復刊2005年ほか、ISBN 4480203087
『筑摩世界文学大系(4) ギリシア・ローマ劇集』 筑摩書房、初版1971年、復刊2000年ほか、ISBN 4480206043
『悲壯劇 アイスキュロス』 生活社、1943年
『ギリシア悲劇全集 I 』 人文書院、1960年
『ギリシャ悲劇全集 I アイスキュロス編』 鼎出版会、1979年
『古典劇大系 第一巻・希臘編』 近代社、1925年[5]
『世界戯曲全集 第1巻・希臘編』 同刊行会、1927年[6]
参考文献
高津春繁『古代ギリシア文学史』岩波書店 2008年
フランク・B・ギブニー編『ブリタニカ国際大百科事典』ティビーエス・ブリタニカ 1998年第3版
注釈[脚注の使い方]^ Anthologiae Graecae Appendix, vol. 3, Epigramma sepulcrale, p. 17.
^ 高津、106頁。
^ プリニウス『プリニウスの博物誌』 1巻、中野定雄, 中野里美, 中野美代訳、雄山閣出版、1986年、435頁。 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}NCID BN00274351。OCLC 673947785。
^ 呉茂一編『世界文学大系』筑摩書房、1959年。
^ 『波斯人』、『アガメムノーン』、コイーフォロイ、『エウメニデス』以上の4作品を収録
^ 『テーバイ攻めの七将』と『救いを求める女たち』は未収載
関連項目ウィキメディア・コモンズには、アイスキュロスに関連するカテゴリがあります。ギリシア語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。アイスキュロス
ソポクレース
エウリーピデース
古代ギリシアの演劇
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悲劇
アイスキュロス
ペルシア人
テーバイ攻めの七将
救いを求める女たち
オレステイア
アガメムノーン
供養する女たち
慈しみの女神たち