アイアンキング
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また、佐々木は「主人公と組織の距離が近いと怪獣(=事態)に対するリアクションや台詞回しなども組織の一員としての紋切り型なものが多くなってしまい、演じる役者もつまらないだろうと思ったので、主人公側は組織から極力遠ざける設定にした」と後年に述懐している[要出典]。敵は佐々木が唱えていた「日本原住民」の思想がかなり反映されており、佐々木の反天皇制の思想もストーリーに組み込まれている部分もある[9]

主演を務めたのは放映当時、歌手・俳優としてアイドル的な人気を誇っていた石橋正次と、吉永小百合の相手役として数々の日活作品で活躍した浜田光夫という、ヒーロー番組としては異色かつ豪華な組み合わせである。石橋は本作品以前に『君たちは魚だ』(1972年4 - 8月放映)への出演で佐々木脚本とは縁があり、「オファーがあった時は『ヒーローものなんて…』と思ったが、脚本を佐々木さんが書くと聞いたので出演した」と後年に述懐している[10]。また、「佐々木が全話を担当すること」を出演の条件としたとされる[注釈 1]

浜田と佐々木は1970年に佐々木の作品であるテレビドラマ『お荷物小荷物』に出演して以来の交友があり[15][13]、石橋は「経験豊富な浜田さんが共演者だったから、自分はのびのびやれた」と語っている。

この他本作品は夏純子大川栄子岡崎友紀坂口良子など、当時の人気女優や女性アイドルがゲスト出演しているのも特徴である。これについて宣弘社社長の小林利雄は「かなり話題にはなったものの、製作会社としては逆に辛かった」と述べている[16]

田村はそれまではスポットでの監督参加が多かったが、本作品で初めてパイロットを務めた[6]。これについて、田村は『シルバー仮面大全』では佐々木守に全話執筆を依頼する代わりに要望された旨を述べている[14]が、『宣弘社フォトニクル』では『シルバー仮面』での働きを橋本洋二に認められたためとしている[6]

本作品はいわゆる変身ヒーローものらしからぬ雰囲気を多数持っているが、特撮ヒーロー番組の爛熟期を迎えていたことから、類似作品との区別を図り、他にも多くのパターン破りを行なっている[17]。その最も象徴的な一例が、「物語の主人公は番組タイトルのヒーロー・アイアンキング(霧島五郎)ではなく静弦太郎である」というもので[18]、この「ヒーローは主人公のピンチを救う相棒、しかも主人公は相棒の真の姿を知らない」という設定は、本作品と同じ宣弘社製作、タケダアワー枠のヒット作『隠密剣士』における「秋草新太郎(主人公)と霧の頓兵衛(相棒)」の関係をヒントにしている[19][20][11][5][17][6][7]

アイアンキングには「水をエネルギー源としているが、その消耗が激しいために活動時間が短い」という弱点が設定されており、設定上の活動可能時間は1分間である。このため、シリーズ序盤(特に第1話から第10話までの不知火一族編)では、弦太郎の助っ人として登場したはずのアイアンキングが逆にピンチに追い込まれてしまい、弦太郎の反撃によってひとまずその場を凌ぎつつ、再戦時に弦太郎とともに敵組織の怪獣やロボットを撃退するという展開が多く見られた。これは視聴者に生身のヒーローという親近感を持ってもらうこと[21]や、「1回の放送でアイアンキングを2回登場させることにより、見どころの多さをアピールする」という効果を考えての設定であり、第15話までは敵にとどめを刺すのは必ず弦太郎だった。

第16話のトラギラス戦では、戦闘中に弦太郎が気絶してしまったため、初めてアイアンキングが単独で敵を倒している。これ以降は「弦太郎とアイアンキングが互いに支援しながら敵と戦うが、最後に敵怪獣やロボットを倒すのはアイアンキングの役目」という特撮変身ヒーロー番組の王道的なストーリー展開も多く取り入れられた。ただし、アイアンキング自身については劇中で「新しい必殺技を習得した」あるいは「強化改造を受けた」などの明確な描写が特になく、唐突に新しい光線技を駆使するなどして感覚的にパワーアップを示唆するにとどまっていた。また、「主人公のピンチを救う相棒」という設定は始終一貫していた。

擬斗を担当した高倉英二は、アクションについて『シルバー仮面』でのノウハウを活かしつつ、石橋が新国劇出身であったことから時代劇の要素を取り入れており、「不知火族編」では特にその要素が強い[22]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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