まんが宇宙大作戦
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同社のスタッフには『宇宙大作戦』のファンが多くいたこともあり、上述のようなロッデンベリーの製作意図を尊重し理解を示したという[5]

本作は高い評価を受けており、第1、第2シーズンともにデイタイム・エミー賞(優秀子供番組部門(英語版))にノミネートされ、第2シーズンには最優秀賞が授与されている。

アラン・ディーン・フォスター執筆によるノベライズ版が存在し、『Star Trek Log』のタイトルで[7]1974年から1978年にかけて全10巻がバランタイン・ブックス(英語版)より刊行された[8]。1巻から6巻までは1冊につき3話収録の連作短編集となっているが[9]、7巻以降は1冊につき1話の長編となっており、本編の脚本よりも内容が大幅に加筆修正されている[6][9]
制作背景
初期の構想

『宇宙大作戦』の第3シーズン(1968年 - 1969年)が放送中だった頃、フィルメーション重役のルー・シェイマー(英語版)は、制作を手掛けるパラマウント・テレビジョン、ネットワーク局のNBC、原作者のジーン・ロッデンベリーらと共に、アニメのスピンオフ・シリーズの制作について意見を交わしていた[10]

それに伴い、パラマウントのディレクターであったフィリップ・メイヤーと、フィルメーションのライター兼アニメーターのドン・R・クリステンセン(英語版)の両者によって、若い視聴者をターゲットにした新シリーズの企画書が作成された[10]。10代の士官候補生たち[注 6]がエクスカリバーという練習船に搭乗し、エンタープライズの乗員から薫陶を受けるというもので、いわば『宇宙大作戦』の主要キャラクター各々に若手の弟子が付くという内容であった[11][注 7]

しかし、当時のロッデンベリーとパラマウントの険悪な関係により、シェイマーは両者との契約合意をまとめられず、当初の形でのプロジェクトは徐々に立ち消えとなっていった[10]
製作

1973年の1月にようやく契約が成立し、3月初めに放送が告知された。NBCがこのシリーズに強い関心を持っていたため、ジーン・ロッデンベリーとフィルメーションには、最低でも2シーズン、合計22エピソードが保証され、1話あたり75,000ドルの予算が与えられた。また、ロッデンベリーの完全な指揮の下で制作が進められるという、非常に寛大な条件も加えられた[10]

ロッデンベリーとフィルメーションは、当初にあった子供向けではなく全年齢向けの作品にすることで合意し、加えてロッデンベリーの提案によって、D.C.フォンタナが製作総指揮に加わった[10]。フォンタナは、大人だけでなく子供にもアピールするためには、『宇宙大作戦』にあった恋愛描写や性的な要素を避けるべきとする方針を示した[10]

製作中は全米脚本家組合ストライキと重なったが[12]、その対象は実写作品限定でアニメーション作品への影響はなく、むしろ仕事を探している脚本家たちにとって本作は好都合であった[6][13]。報酬は1本につき1,300ドル(残余金なし)とわずかであったが、特殊撮影の制約がないという創作上の利点もあり、『宇宙大作戦』に関わった脚本家のみならず多彩な作家陣も加わる幸運を得た[10]

かつての原案者であるドン・R・クリステンセンは、引き続きアートディレクターとして参加し[6]、他のアニメーションスタッフにはルーベン・ティミンズ[14]やボブ・クライン[15]らがいた。アニメーターたちは、エンタープライズ号などの宇宙船や登場人物のアニメーションを作画する際、『宇宙大作戦』の35ミリフィルムから映像をトレースすることで実写に沿った絵面を再現している[6]。また、コストの削減を図るために[注 8]ストック映像の使用や、キャラクターが口に手を当てて話す描写の導入(唇が動くシーンを省略するため)、キャラクターのアクションをシルエットで表現するなどの工夫を用いている[10]
キャスティング

ウィリアム・シャトナーを始め『宇宙大作戦』で役を演じた俳優本人が声を当てているが、制作予定の段階では、前作のレギュラーだったウフーラ役のニシェル・ニコルズカトー(スールー)役のジョージ・タケイチェコフ役のウォルター・ケーニッヒらは出演から外されていた。劇中にウフーラとカトーは登場するものの、それぞれチャペル役のメイジェル・バレットとスコット役のジェームズ・ドゥーアンが兼任して声を当て、チェコフは降板となっていた[6]

しかし、これに対してスポック役のレナード・ニモイが、彼らを参加させないなら自分も出演しないと抗議し、特にウフーラとカトーは23世紀の多様性を証明するキャラクターであるため、絶対に声優を変えてはならないと主張した[16]。また、『宇宙大作戦』の終了後、共演者の多くが経済的に困窮していることをニモイは把握しており、敢えて厳しい注文を付けることで彼らに配慮を施した[16]。この件に際しルー・シェイマーは、ニモイの指摘がなければマイノリティ系俳優の除外に気付けなかったため、「自分たちの行動に恐怖を感じ、意図しない軽視に愕然とした」と語っている[10]

結果的にニコルズとタケイの出演が実現し[16]、予算の限界からケーニッヒのみ出演は適わなかったものの[2][注 9]、スタッフとして「惑星ファイロスの巨人」の脚本を手がけることとなった[16][注 10]。また、チェコフが登場しない代わりに、レス[18]とアレックス[19]というオリジナルキャラクターが新たに加えられ、それぞれの声をバレットとドゥーアンが務めている。

大半のゲストキャラクターの声は、ドゥーアン[注 11]、バレット、ニコルズ、タケイが各々に応じて兼任しているが[2]、『宇宙大作戦』から再登場となるゲストキャラクターのいくつかは、演じた俳優本人が吹き込んでいる[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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