便利な面もある一方で、他者が作成した情報を使うこと、それによって利益を得ることには否定的な意見も多く[2]、コンテンツの転載に伴う著作権侵害[4]、閲覧数の増加や広告収入の増大を目的とした恣意的な編集や不正確な情報の流布といった問題[5]も指摘されている。また、ネット炎上案件や電凸テンプレートまとめなどは利用者が増えると影響・被害が増大する[6]。
キュレーティングサービス、キュレーションサイト、キュレーションメディアとも[7]。同様の意味とされるが、使い分ける人もいる。「まとめサイト」が、2ちゃんねるなどの掲示板の情報を集めたサイトを指すこともある[8]。ウェブ上のニュースを収集して表示するニュース・アグリゲーターのなかで、他社のニュースを集めて表示するものをキュレーション・メディアと呼ぶこともある[9]。自動のキュレーションのアプリは、キュレーションアプリと呼ばれる[10]。
以下、便宜的に「キュレーションサイト」「キュレーションメディア」「キュレーションサービス」は、法人が組織的に運営するまとめサイト・まとめサービスを指すこととする。キュレーションメディアの情報源はほとんどの場合掲示板ではないが、まれに2ちゃんねるの内容を流用したものもある。
キュレーションに明確な定義はないが、「情報をあるテーマに基づいて収集し、それ自体にコンテンツとしての価値を持たせて共有すること」であり、関連する情報へのリンクを集めた「まとめサイト」を指す[11]。マーケティング会社のオプティマイザーは、キュレーションメディアとは、ネット上に氾濫する情報を「その情報の質(価値)に合わせて、『選択、分類、目録作成、案内』を行ったメディア」であると定義している[12]。DeNAは自社サービスを「キュレーションプラットフォーム」、キュレーションを「インターネット上に散在する既存情報をキュレーターが独自のテーマに基づいて一つにまとめ、公開できるウェブサイトまたはアプリ」、キュレーターを「インターネット上の莫大な情報を独自の観点で目利きし、ひとつのページにまとめる人」と定義している[13]。
キュレーションメディアによって、閲覧者は話題の出来事などについて簡単にまとまった情報が得られる[1]。「NAVERまとめ」の島村武志はキュレーションのメリットについて、検索の手間を省き、自分では見つけられないような情報にも触れることができると述べている[11]。朝日新聞はキュレーションサイトは大手メディアと比べて読者に親しみやすく書かれる傾向にあるとしている[14]。
インターネット上最大の動画キュレーションプラットフォーム・マグニファイの創立者兼CEO、スティーブン・ローゼンバウム(Steven Rosenbaum)は、日本の代表的なキュレーション・サイトとして「クックパッド」を挙げている[15]。また、2ちゃんねるまとめブログ、ニュースキュレーションサイトの「スマートニュース[14]」、「グノシー」、「ニューズピックス」、ノウハウ(ライフレシピ)の共有サービス「nanapi」、Twitterのつぶやきをまとめる草の根サイトとして成長した「Togetter」などがある。
毎日新聞記者の尾村洋介は、キュレーションが行われているサイトを「広義のキュレーションサイト」とし、コンテンツの引用元・引用方法で二つに分けている。一つは「他のメディアと契約を結び、配信を受けた記事を掲載しているサイト」である。もう一つは「他メディアから配信を受けず、ネットからコンテンツを「引用」などで幅広く集め、まとめて掲載しているサイト」、いわゆる「まとめサイト」であり、「狭義のキュレーションサイト」としている。前者にはヤフーニュース、後者には2ちゃんねるまとめやDeNAのWelq、NAVERまとめ[1]などがある。前者は著作権侵害などの問題は起こりにくく、質もある程度保たれると考えられる。後者は権利侵害が起こりやすく、コンテンツの質も一定に保ちにくい[16]。
キュレーションサイトには、運営事業者によって審査された執筆者のみによるものや[17]、特定のジャンルや利用者層に特化したものもある[18]。
尾村は、狭義のキュレーションサイトには、記事を自社で作ったり外注して掲載する「メディア型」と、ユーザーが投稿する「プラットフォーム型」があると述べている[16]。プラットフォーム型は、運営事業者がインフラストラクチャー、ポータルサイトを用意し、利用者(消費者)なら誰でもコンテンツを投稿できるCGM型のサイトである。運営者が直接の「情報発信者」ではないため、プロバイダ責任制限法により、権利侵害などの問題があった場合でも、責任を免れる可能性がある[16]。日本経済新聞は、一部のキュレーションメディアは、運営事業者が大部分の記事の作成に関与しているにもかかわらず、責任回避のため表面的にCGMの形式を取り入れているという批判もある、と紹介している[19][20]。