はやぶさ_(探査機)
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^ NASAの小型探査ロボットを運んで行って小惑星表面を移動しながら探査を行う計画も存在していた(MUSES-CNの項を参照)。
^ トラブルとは、姿勢制御装置故障や化学エンジン燃料漏れによる全損、姿勢乱れ、電池切れ、通信途絶、イオンエンジン停止など数々のアクシデントを指す。
^ 当初の計画通りなら、再突入約10時間前に月軌道程度の距離で試料カプセルを分離した後[7]、はやぶさ本体は突入軌道より離脱して別の目標へ向かうことも可能であった。しかし。化学スラスタが使用出来なくなって急激な軌道変更が不可能となり、また精密な姿勢制御に困難を伴うようになったことで、カプセルが市街地に落下する心配も生じた。このため、地球になるべく近付いてからカプセルを分離する計画へ変更され、結果として当初のような延長ミッションは断念された。その代わり、2009年には本体大気圏再突入の際のデータを、地球に衝突する小惑星軌道予測のためのシステム開発に役立てるという新たなミッションが加えられた。
^ 探査機との通信は臼田宇宙空間観測所の64 mパラボラアンテナを用いて行われたが、2009年11月より64 mアンテナが改修工事に入ったため、工事終了までは内之浦の34 mアンテナが使われた。
^ 「はやぶさ」は温度管理を内蔵ヒーターで行っていた。内蔵・外装の機器類は太陽光線などを遮蔽することで基本的には低温環境にしておき、電源系からの電力を使ったヒーターで適温まで暖める方式が採用されていた。
^ 他の大型宇宙機などでは冗長性を持たせるために複数台の制御装置を搭載することが珍しくないが、はやぶさでは軽量化が優先されてITCUは1台だけ搭載された。ただ、内部的には3つのCPUの出力をASICによる多数決回路で不良判定することで、ある程度の信頼性を確保している。
^ 制御装置は汎用自律化機能を備え、最大32ある条件テーブルに従って外部からの指令を待たずに自律的に動作を行うことが可能になっている。また常時IESを監視していて、アキュムレータ圧力、プラズマ点火状態、直流電源の電圧 / 電流値、グリッドの短絡などを見張っていて、動作不良と判断すると安全なモードへ移行するようになっていた。
^ HGAは、火星探査機のぞみ」のものと同等品であるが、地球公転軌道より内側にあたるイトカワ公転軌道近日点での熱環境を考慮して白色に塗装されている点が異なる。
^ イトカワとのランデブーでは、はやぶさから見て地球と太陽がほぼ20度程度の視野範囲内に位置していたため、地球方向へ高い精度でHGAを向けた姿勢でz軸での回転運動を行っても、太陽電池パネルはおおむね正しく太陽へ向けることが可能であった。
^ 通信途絶からの回復後には32 bpsで通信を行った。
^ MGAを用いた通信が不可能で、LGAを用いざるを得ない状況というのは、機体が安定せずにランダム方向にスピンしているか、良くても太陽方向に太陽電池パネル面を向けてZ軸周りにスピンしている「セーフホールドモード」にあるという場合が想定された。LGAは8 bpsという極めて低速度通信しか行えず、遠距離によって信号波にタイムラグがあり、さらに自転しているために一定周期で通信が遮蔽されるという状況でも、最低限の質問を短いコマンドで問合わせて、その回答を"YES" / "NO"で得るという「1ビット通信」機能を用意していた。燃料タンクからの漏洩によって姿勢制御を失い漂流したが、この機能によって通信を回復させた。
^ 一般的な人工衛星などでは太陽電池パネルは「I形」となるような一直線に配置されることが多いが、「はやぶさ」ではz軸方向での回転モーメントが最大となるように「H形」に配置されている。仮にトラブルによって姿勢制御を失った場合、宇宙機は予測不可能な向きに回転してしまうことが考えられる。そのような時、燃料タンク等の液体などが動揺することで3軸回転成分同士でエネルギーを交換し合い、長い時間が経てば、3軸の中でも最大モーメント軸にだけ回転運動が収斂されることが知られている。太陽電池パネルを「H形」になるよう配置することで、z軸方向にだけ回転するようになり、太陽を公転する「はやぶさ」はやがて太陽方向にセルを向け続けることで発電量も確保し、再起動可能となると考えられていた。そして、実際に長期間通信途絶後に再度制御を取戻すことが出来た。また「H形」であれば小惑星「イトカワ」へのタッチダウン時に接触する可能性を少なく出来ると考えられた。
^ 燃料漏洩によって漂流した後、4セルは過放電で使用不能となっていたが、生き残っていた7セルはある程度充電さえ行われていた。本来は過充電防止のためのバイパス回路が、生き残った7セルに対して微弱ながら発電していた太陽電池からの電力を供給し充電していたので、偶然にも7セルだけは過放電による機能喪失を免れた。
^ リアクションホイールの2基が故障した後は、約+1000 - +5000 rpmであった回転数を+300 - +2000 rpmに制限したため、各運動量の保存量が減少しアンローディング回数が増えてRCSの推進剤を予定より早く使い切ったが、帰路ではμ10イオンエンジンのジンバルを傾けることで推力を機体重心からずらし、この噴射によってz軸周りのトルクを発生させてリアクションホイールのアンローディングを行った。
^ 炭素繊維強化炭素複合材料とは、炭素繊維強化プラスチックを熱処理し、母材のプラスチックを炭化させた複合材料のこと。これはモリブデンのような金属板と異なり運用時の高温で膨張することがなく、穴位置が変化する心配がないが、運転によって内部繊維が「ウィスカー」と呼ばれるひげとなって表面へ出て来ると、短絡による放電が発生する。直流電源は短絡によっても数秒間は耐えられる設計となっていた。スクリーン - アクセル間の短絡時には、直流電源コンデンサバンクからの大電流によってウィスカーが焼き切られることが期待される。アクセル - ディセル間の短絡は300 Vと電圧が低いため、コンデンサバンクによっても焼き切れるかそれほど期待出来ないが、ディセル電圧がアクセルと同電位になっても加速性能そのものには影響しない。また、リレーボックス開閉操作は、通常時は直流電源を停止してから行うが、ウィスカーを焼き切るために電源を入れたまま接続系統を切替えることも行えるようになっていた。
^ 中和器にかけられた電圧は、当初は-30 Vほどの電圧であったが、劣化によって機能が落ちたため劣化が加速することを承知で制限値である-50 Vへと変更された。劣化が進んだ最終段階では制限を外したさらに高電圧でも運用された。劣化原因については不明である。
^ イオン生成チャンバーと中和器のキセノンガス供給系が各組ごとで共通であったので、イオン・エンジンのイオン源Bと中和器Aを「クロス運用」した場合には、本来は無用なイオン源Aと中和器Bにもガスが供給された。
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