はてしない物語
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冒険を重ね、幸いの竜フッフールなどとの出会いや数々の試練を経て、「救い主」が人間のバスチアンであることに気づくアトレーユであったが、努力虚しく「ファンタージエン」は崩壊する。幼ごころの君は最後の手段としてさすらい山の古老のもとを訪れる。さすらい山の古老は「ファンタージエン」を取り巻く全ての出来事を本に記しており、そこから物語の内容もバスチアンのいる現実世界の話へと変わり始める。

現実と本の世界が交錯する中、バスチアンは幼ごころの君に「月の子(モンデンキント)」という新たな名前を授け、本の世界に飛び込む。そして持ち前の想像力と女王から授けられた「アウリン」の力によって、崩壊した「ファンタージエン」を新たに作り上げていく。
後半

こうして自ら再建した新たな「ファンタージエン」の世界に入り込んだバスチアンは、その後アトレーユやフッフールと友達になったり、「ファンタージエン」の住人や場所に名を与え物語を作ったりして、「ファンタージエン」の世界を楽しんでいた。また、コンプレックスの塊であった自分の外見も、「アウリン」の力を使い容姿端麗で強く立派な勇者のような姿に変えていった。

しかし、バスチアンは「アウリン」の力を使い続けるうちに、次第に現実世界の記憶を失くしてしまう。そして、幼ごころの君に再び会いたいという気持ちが芽生えたバスチアンは、救世主バスチアンを慕う人々を引き連れ女王の居住地であるエルフェンバイン塔に行くが、そこに幼ごころの君はいなかった。

女魔術師・サイーデにそそのかされたバスチアンは「ファンタージエン」の新しい王になることを決意する。我を失い権力まで欲するようになったバスチアンを諭すアトレーユとフッフールであったが、バスチアンは口うるさい彼らを疎ましがるようになる。このままでは取り返しのつかないことになると考えたアトレーユはアウリンを盗み出そうとするが失敗。対立は決定的なものとなり、バスチアンは彼らを裏切り者と罵り一行から追放してしまう。

そして、バスチアンは「ファンタージエン」の帝王となったことを宣言するが、アトレーユは反対派を取りまとめその就任式を急襲。バスチアンの軍勢とアトレーユたちは戦争となり、バスチアンがアトレーユに重傷を負わせる。逃げたアトレーユたちを追ったバスチアンは「元帝王の都」に辿り着く。そこにはバスチアンと同じように現実世界から「ファンタージエン」に入り込み、「アウリン」によって願いを叶え続け、その果てに完全に記憶を失ってしまったかつての「ファンタージエン」の王たちが徘徊していた。ようやく自分の間違いに気づいたバスチアンは、残り少なくなった記憶を守りながら自分の世界に戻るための旅を始める。

そして旅の果て、目的地まであと少しのところまで来ながらバスチアンは、自らの名前以外のほとんど全ての記憶を失うが、アトレーユとフッフールの助けで無事現実世界に生還を果たす。

現実世界に戻ることができたバスチアンは、古書店へ本を返しに行く。そこで、コレアンダーもかつての「ファンタージエン」の「救い主」だったことを明かし、二人はそれぞれの体験を語り合うのであった。
登場人物
主な登場人物
バスチアン・バルタザール・ブックス(Bastian Balthazar Bux)
主人公。現実世界に住む、デブでチーズ色をしたX脚ののろまな少年。一度留年をして、いつもいじめに遭っている。イニシャルはBBB。本を読んだり、物語を作るのが好き。ファンタージエンでは東方の王子のような美少年になる。
アトレーユ(Atreju)
緑の肌族の少年。物語前半の主人公。「ファンタージエン」の危機を医師カイロンに告げられ、「救い主」を求めて大いなる探索の旅に出る。
幸いの竜フッフール(Glucksdrache Fuchur)
真珠貝色の鱗を持つ、
東洋の龍のような姿の。常に希望と幸福と共にあり、青銅の鐘のような声を持つ。
幼ごころの君(Die Kindliche Kaiserin)
「ファンタージエン」の女王。「望みを統べたもう金の瞳の君」とも呼ばれている。
現実世界の人物
カール・コンラート・コレアンダー(Karl Konrad Koreander)
古本屋の店主。イニシャルはKKK。「本を汚すから」と子供を嫌っている。かつてバスチアンとは別の方法でファンタージエンに行き、幼ごころの君に名前を与えたという過去を持つ。
バスチアンの父(Bastians Vater)
歯科技工士。妻が死んでからバスチアンに対して無関心になり、落第にすら何も言わなくなってしまった。
バスチアンの母
物語前に既に他界している。彼女が死亡してからバスチアンの家庭が暗くなってしまった。
「ファンタージエン」の住民
前半での登場人物
ブルッブ(Blubb)/ユックユック(Uckuck)/ヴシュヴーズル(Wuschwusul)/ピョルンラハツァルク(Pjornrachzarck)
「ファンタージエン」の危機を幼ごころの君に伝えに行く使節たち。順に、
鬼火・豆小人・夜魔・岩喰い男。
カイロン(Cairon)
ケンタウロス。名高い医術の達人。幼ごころの君からアウリンを預かり、アトレーユに届ける。
アルタクス(Artax)
アトレーユの
太古の媼モーラ(Morla, die Uralte)
「ファンタージエン」のあらゆる生き物よりも年をとった生き物。「憂いの沼」に生息している。
群集者イグラムール(Ygramul, die Viele)
死の山脈にある奈落の裂け目に棲む無数の虫。群れて様々な姿をとる。1時間で死ぬ代わりに「ファンタージエン」国のどこでも望む所に瞬時に行けるようになる毒を持つ。
南のお告げ所のウユララ(Uyulala, das sudliche Orakel)
「静寂の声」とも呼ばれる。声だけの存在であり、語りかける時は韻を踏んで詩にしなければならない。
エンギウック(Engywuck)/ウーグル(Urgl)
地霊小人の夫婦。夫のエンギウックはウユララについての研究をしており。妻のウーグルは薬草を扱うのが得意。
リル(Lirr)/バウレオ(Baureo)/シルク(Schirk)/マエストリル(Mayestril)
それぞれ北・東・南・西を勢力範囲とする、大風坊主。
グモルク(Gmork)
人狼。自分の世界を持たない者であり、「ファンタージエン」を破滅させようとする者に仕えていた。大いなる探索の旅に出たアトレーユを追跡する。
さすらい山の古老(Der Alte vom Wandernden Berge)
「ファンタージエン」のありとあらゆる事柄をあかがね色の本に記録する老人。幼ごころの君と対となる存在とされる。
後半での登場人物
色のある死グラオーグラマーン(Graograman, der Bunte Tod)
色の砂漠ゴアプの王。夜になると石になり、朝になると甦るライオン。ゴアプの色に合わせて体の色が変化する。


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