N.E.W.S.コーポレーション制作、日本ヘラルド映画(現・角川映画)配給。森田芳光が監督・脚本・企画を務めて制作された作品で、劇場映画監督デビュー作である[5]。栃木弁丸出しの伊藤克信が秋吉久美子と並んで主役に抜擢され本格的にデビュー、秋吉がソープ嬢[2]を体当たりで演じたことも話題になった。落語関係者や日活ロマンポルノ関係者などが多数出演している。タイトルは三遊亭金馬 (3代目)の十八番(おはこ)の演目「居酒屋」から採っている[6]。
この作品について、森田は「『人間はみな面白いものだ』という観点から人間をより多面的にとらえ、言葉やしぐさの中に含まれる人間的な温かみを表現したかった」[7]と語っている。キャッチコピーは「人間ってなんて面白いんだろう」だった。また、『間宮兄弟』の原点であるとも語っており、同作の公開とあわせて2006年10月に初めてDVD化された[8](発売元:アスミック、販売元:角川エンタテインメント)。
スタッフ
監督・脚本・企画:森田芳光
企画・製作:鈴木光
音楽:塩村宰
主題歌:OP「彼女はムービング・オン」、ED「シー・ユー・アゲイン 雰囲気」(歌:尾藤イサオ、作詞:タリモ(森田芳光)、作曲:浜田金吾、編曲:塩村宰、演奏:NONO)
撮影:渡部眞
編集:川島章正
美術:増島季美代、伊藤羽
助監督:山本厚、佐藤睦夫、杉山泰一
エピソード
本作の撮影のため若手落語家を探していた森田監督は都内の寄席に通ったがなかなか思い描くような人が見つからず、『全日本落語選手権』へ出演していた伊藤克信(当時、大学生)を偶然テレビで観て主役に抜擢した[9]。伊藤は、保険会社へ就職が決まっており演技経験もないため申し出を断ろうと思っていたが、監督の熱意に押され映画出演を承諾した[10]。このような経緯で出演したため苦労話も多く、道中づけのシーンでは実際に42.195キロを歩き、このシーンのナレーション収録の際はスタジオの中を歩きながら50回近くも収録を繰り返したため、力の抜けた語り口調に仕上がっている[9]。
主人公と兄弟子・志ん米の関係は森田と高田文夫(大学落語研究会の先輩)をモチーフとしている[11]。また、志ん米の服装は大学時代の高田そのものであったという[12]。
道中づけのシーンでは、アサヒビール吾妻橋工場(跡地にはアサヒビールタワーなどが所在するリバーピア吾妻橋)、仁丹塔(森下仁丹の広告塔)、国際劇場(跡地には浅草ビューホテル)、台東体育館(ジャイアント馬場とアントニオ猪木デビュー戦の会場)など現存しない建物がフィルムに収められている。また、由美がスクーター(ホンダ・タクト)で志ん魚を追う場面でヘルメットを着用していないのは義務化以前に撮影された映画だからであり違法ではない(原動機付自転車の公道でのヘルメット着用が義務化されたのは1986年からである)。
公開時に995円の入場料でお釣が5円になるようにして「ご縁」と引っ掛けた設定をしていた[13]。
落語家の柳家喬太郎が2006年に発売したアルバム「の・ようなうた ?柳家喬太郎歌謡図鑑?」の中でこの映画の主題歌「シー・ユー・アゲイン雰囲気」を自らカヴァーして歌っている。
受賞
第3回ヨコハマ映画祭(1981年度)日本映画ベストテン第1位、作品賞、新人監督賞(森田芳光)を受賞
脚注^ “松山ケンイチ主演「の・ようなもの のようなもの」、笑顔あふれるポスター公開