なつぞら
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やがて泰樹の許可が降り国民学校に通えるようになったなつは、同じく東京から転入した絵が得意な同級生・山田天陽と親しくなり、学校の映画会で見たアメリカの漫画映画[注 3]に興味を抱く。ある日、兄の咲太郎からの手紙の返事が無く、会いたい寂しさから、なつは家出をするが、自身を探し出した柴田家の人々の親身な優しさを知り、素直な感情をぶつけられるまでに打ち解けていく。
第3週 - 第7週

咲太郎は行方不明、千遥とも連絡が取れぬまま年月が過ぎ、1955年(昭和30年)6月、なつは牧場で働きながら十勝農業高校の畜産科に進学して3年生となり、柴田家の人々からは実の娘同然に扱われていた。農協に勤める剛男と農協加入を拒む泰樹の板挟みとなったなつは、幼なじみの同級生・小畑雪次郎の勧めで雪次郎が所属する演劇部の顧問・倉田隆一に相談し、演劇部に入部することとなる。倉田は農協への取材やなつの証言をもとに戯曲『白蛇伝説』を執筆し、なつは倉田の厳しい演技指導を受けてその舞台に立つ。山田家を訪ね小規模酪農家の窮状を知った泰樹は、なつの舞台を見て利己的な考えを改め、農協加入を決意する。夏休みとなり、なつを幼なじみの佐々岡信哉が突然訪ねる。咲太郎が東京・新宿の劇場で働いていたらしい情報を知ったなつは富士子に伴われて上京し、咲太郎を知る新宿のベーカリー兼カフェ「川村屋」のマダムこと前島光子を訪ねるが、消息はつかめない。そんな中、信哉の得た情報をもとに浅草の舞台に立つ咲太郎との再会を果たすが、ほどなく咲太郎は盗品を質入れした疑いで逮捕され、手紙でなつに別れを告げる。「川村屋」で天陽の兄・陽平に遭遇したなつは、陽平の案内で漫画映画のスタジオを見学してアニメーターという職業を知る。

冬を迎え、なつは照男が用意したチケットで天陽とディズニーの漫画映画『ファンタジア』を鑑賞し、漫画映画への思いをさらに強める。一方、咲太郎との再会でなつが柴田家を離れることを危惧した泰樹は、なつを正真正銘の家族にとの願いから、富士子と剛男の反対をよそになつと照男との結婚を画策する。泰樹の思惑を聞かされたなつは傷つき、動揺したまま天陽の家に向かう途中で吹雪に巻き込まれて、森に住む彫刻家・阿川弥市郎親子に助けられる。一夜が明け、帰宅途中に見た朝日の光景に、なつは上京しアニメーターを目指すことを決意する。上京の意志を打ち明けるものの、泰樹の期待を裏切り酪農を離れることへの後ろめたさから本当の目的を言い出せずに思い悩むなつだったが、天陽や雪次郎の祖母・とよに背中を押され、単身移住し北海道を開拓した泰樹のように自分も漫画映画に挑戦したいと告白し、泰樹はなつの上京を許し東京を開拓してこいと激励する。
東京・新宿編(第8週 - 第9週)

高校を卒業したなつは1956年(昭和31年)4月、新宿の「川村屋」で修行予定の雪次郎とともに彼の父、雪之助に伴われて上京し、雪之助の口利きで「川村屋」の寮に住み込み皿洗いをしながら絵の勉強を続ける。なつは兄、咲太郎の消息を求めて煙カスミの歌うクラブを再度訪れ、カスミは咲太郎が母と慕うおでん屋「風車」へ誘い、女将の岸川亜矢美に引き合わせる。その際酩酊状態で雪之助が語った話(事実ではない)を真に受けた亜矢美は、なつが柴田家でこき使われた末に追い出され、「川村屋」のマダムが咲太郎の借金を肩代わりさせるために強制労働を強いられているのだろうと彼に話す。激怒した咲太郎は「川村屋」に怒鳴り込み、なつを連れ去ろうとする。なつの上京の目的を知った咲太郎は撮影所内で遭遇した「東洋映画」社長・大杉満に直談判し、6月を迎えなつは「東洋動画」の作画課の臨時採用試験に臨む。なつは実技で高評価を受けるものの、面接で兄が所属する新劇の劇団から政治思想を疑われて不合格となる。落胆したなつは、不合格を知った陽平の先輩アニメーター・仲努と陽平から仕上課の臨時採用試験があることを知らされ、9月の採用試験を受験し合格する。なつは半年間世話になった「川村屋」の寮を出て、おでん屋「風車」の2階で亜矢美と咲太郎のもとで生活を始める。
アニメーション編(第10週 - 第18週)

1956年(昭和31年)10月、「東洋動画」に入社したなつは、亜矢美が毎朝見立てる華やかなファッションに身を包みスタジオへ通い始める。スタジオでは日本初となる総天然色の長編漫画映画『白蛇姫』[注 4]の製作が進み、なつは仕上課で彩色を担当する。仲と陽平に誘われて就業後に作画課に足を運んだなつは、仲の勧めでアニメーターたちが護美箱に捨てた作品を持ち帰り、参考にしながら独学で絵の勉強を続ける。華やかな服装から先輩アニメーターの大沢麻子に男目当てと誤解を受けるものの、なつが描いた動画のラフが偶然麻子の目に留まる。仲の取り計らいでなつは6月入社の養成中のアニメーターたちと一緒に能力審査を受験する機会を得るが、発想力に画力が伴わず再び不合格となる。『白蛇姫』の仕上げが終わり、劇団「赤い星座」の芝居『人形の家』を観に行き人間の描写を絵に描けたらと感激し、動画のクリーンナップや仕上げのトレースの練習に励む。

信哉が「川村屋」を訪れた際に見た、信哉の取材したニュースを見て、妹の千遥の行方を探したいと信哉に協力を求める。一方、咲太郎は最初は千遥を探すことを躊躇したが、叔母からの最後の手紙を見せて、なつの想いをくみ取り応援する。

亀山蘭子が『白蛇姫』の声優をすることを聞き、アフレコ現場を見学し、そこで漫画映画を作る面白さを再認識する。仲から新作の制作が決まったことに伴い、動画の能力審査に挑戦するように促され、試験を受け合格する。仕上課から作画課へ異動し、動画を担当することになる。咲太郎は光子に借金をようやく全額返済し、なつはアニメーター合格を伝える。なつは新作『わんぱく牛若丸』のキャラクターデザインの選考に参加し、常盤御前のキャラクターデザインを考える。そんな中、親戚が船橋にいることが分かったと信哉から知らされたなつと咲太郎は、なつの誕生日で終戦の日でもある8月15日に会いに行くことを決める。船橋のアパートでなつと咲太郎は男性と少女に出会う。しかし、少女は千遥ではなかった。咲太郎の手紙を持って家出をしたと告げられたなつは落胆するが、千遥のために絵の仕事を頑張ることを決意する。

昭和40年、なつは再びテレビ班から映画班へと移り、坂場一久が監督の映画・『神をつかんだ少年クリフ』で原画を担当することになる。その製作過程の最中、坂場からこの作品が成功したら結婚して欲しいとプロポーズされ承諾するが、映画は不入りに終わる。映画部長の井戸原昇から興行失敗の責任を問われ、坂場は辞職。なつにもプロポーズを撤回することを告げる。ショックを受けて部屋に閉じ籠もるなつの元に坂場が訪れるが、咲太郎から怒りをぶつけられて彼女の存在の大きさに気付いた坂場は、謝罪して改めてプロポーズする。
結婚・マコプロダクション編(第19週 - )

なつは、坂場と共に結婚の報告に十勝に帰省する。それからしばらくのち、十勝でなつと坂場・夕見子と雪次郎の合同結婚披露宴が催された。

昭和43年、「東洋動画」を9年前に寿退社した大沢麻子が、新婚生活を送るなつと一久に会いに来た。会社を興しアニメ製作を始めるので、二人にも加わってほしいと言う。妊娠が判って間もないなつは「東洋動画」を辞めることなど考えられず断るが、一久は一年の猶予を条件に承諾。なつは娘を産み、泰樹が優と命名した。

年が明け、なつの短い産休も明ける。幼い優を受け入れる保育施設がなく途方に暮れていた時、下山と結婚・出産後契約社員扱いになることを嫌って「東洋動画」を辞めた茜が、子守りを申し出た。茜に優を頼み、なつはテレビアニメ『キックジャガー』の作画監督に、坂場は麻子の会社「マコプロダクション」社員になった。

昭和48年。5歳になった優はなつが作画監督を務めるテレビアニメ『魔界の番長』を見たがらず、戦友の下山克己、森田桃代、神地航也が「マコプロダクション」に移籍し「東洋動画」を去っていた。なつは意気を失くし、優のためアニメーター引退まで考え始めたところ、一久は「マコプロダクション」への移籍と次回作への参加を勧める。育ててくれた会社や仲への恩義も感じなつは悩むが、天陽の急逝とその遺作に接し一転移籍を決め、『魔界の番長』を完遂した昭和49年の春に「東洋動画」を退社。新たなスタートを切る。

移籍後すぐに、『大草原の小さな家』が原作の『大草原の少女ソラ』製作が決定し、舞台となる北海道のロケハンを敢行。なつの伝手で十勝の「柴田牧場」へ行き、泰樹から富山から北海道へ移住した当時の話を聞く。その後、帯広の「雪月」を訪ねたなつは亜矢美と数年振りに再会する。

『大草原の少女ソラ』製作はなつ自身の幼少期の思い出も盛り込みながら進み、引退し2児の母になっていた茜、咲太郎の選りすぐった声優たちも参加し、全国放送に漕ぎ着けた。初めのうちは思うように視聴率も上がらず打ち切りも危ぶまれたが、視聴者から殺到したファンレターが不眠不休のアニメーター達を活気づけ、人気が上がるにつれ逆にテレビ局から催促されるまでになって行く。

ある日、ソラのファンだという少女が「マコプロダクション」を訪ねてきた。杉山千夏というその少女の母親は、なつの妹・千遥だった。探し続けて消息さえ掴めなかった千遥は過去と素性を偽って結婚し、小さな店で働く料理人となっていた。愛人を囲って家に居付かない夫と離婚すべきか、その場合娘と暮らせるかと苦悩する彼女の表情は険しく、再会を喜ぶどころではなかった。

なつは咲太郎を連れ、客として千遥の店を訪れた。彼女の作った天丼を味わった二人は、亡き両親の姿を思い出す。千遥も咲太郎から受け取った父の手紙を読んで、その心と暖かな家族の在り様を知った。千遥は壊れた家庭を清算する意思を固め、匿していた生い立ちを夫と姑に明かし、離婚を切り出す。

『大草原の少女ソラ』の放送が終わり、昭和50年8月の夏休みに、なつは千遥らと共に十勝の柴田家を訪れる。その日の夜、十勝は嵐により停電。牛の命が危ぶまれるが家族一丸となって救う。

嵐の後、マコプロダクションでは次回作の制作が決定する。なつと坂場は十勝の大地でこれからの夢を語り合った。そして8年後。なつの戦争体験を元にしたアニメ映画「夏空」が作られるのであった。
登場人物
奥原家

なつの家族。東京・日本橋料理屋を営んでいた父は出征先の満州で戦死。母は東京大空襲で戦災死。暫くは幼い子供たちだけで生活するが、やがて各々違う場所で暮らすことになり、一家離散状態となる。
奥原 なつ(おくはら なつ) → 坂場 なつ(さかば なつ)
演 - 広瀬すず(幼少期:粟野咲莉[注 5]、手元吹き替え:丹羽弘美)本作の主人公で通称「なっちゃん」。1937年(昭和12年)8月15日東京生まれ。戦争で両親を亡くしてからは、兄・妹と信哉とともに暮らし、靴磨きをして収入を得てきた。警察に保護され浅草孤児院にいた9歳の時、父の戦友である柴田剛男に引き取られ北海道へ行く。十勝にある柴田家で牧場の仕事をしながら学校に通う。兄に手紙を送っても返事が来ず、寂しい気持ちから家出したこともあったが、自分の本当の思い、素直な感情をぶつけ、柴田家の人々の優しさに触れ無事に戻る。国民学校で見たアメリカの漫画映画や天陽の描く絵に興味を持つ。泰樹のことを誇りに思い、心から尊敬し、慕っている。高校の入学祝いにもらった懐中時計を宝物にし、大切にしている。1955年(昭和30年)、18歳になったなつは、剛男、富士子を「父さん、母さん」と呼ぶようになり、十勝農業高校畜産科に通って酪農を学びながら家業もよく手伝う。農協加入問題で泰樹を説得するために演劇部に入部し、表現する難しさを学ぶ。東京にいる山田陽平から弟の天陽に贈られた絵の道具をもらい、絵を描き表現する楽しさを再認識する。1955年(昭和30年)、高校3年の夏休みに富士子と上京し、信哉の協力もあり、浅草六区館で咲太郎と再会する。上京した際に、陽平にアニメーターの職場を見学させてもらったことやディズニーファンタジアを見たことでアニメーターになる夢を持つが、泰樹を裏切ってまでアニメーターになるか、家業を継ぐか、苦悩する。


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