どろろ
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ちゃんと確かめておけばよかったが、今となっては謎のままなのも、それはそれで面白いかなと思っている[10]。」と見解を述べている。

単行本化するにあたって内容の書き直しが行われており、どろろを殺せば百鬼丸が元の身体に戻れるという『冒険王』連載当時の設定も、単行本ではなくなっている[注 2]。2013年3月に国書刊行会から刊行された『手塚治虫トレジャー・ボックス どろろ』には、『週刊少年サンデー』版、『冒険王』版と5月号付録版、カラーの扉絵やイラスト、『週刊少年サンデー』1968年2・3号の企画「特別大画報どろろ百鬼」、「特別大画報どろろ妖怪屋敷」、「紅白ものまねまんが合戦」[注 3]が雑誌掲載当時の内容で収録された。ただし、『別冊少年サンデー』4月号、6月号、8月号に掲載された4色や2色のカラーページは収録されていない。

『どろろ』について手塚は手塚治虫漫画全集のあとがきにおいて、「水木しげるが描く一連の妖怪もののヒットと、それに続く妖怪ブームにあやかり作り上げたキワモノ」と語っている[7]。しかし、この発言について手塚プロダクション公式サイトのコラムで黒沢は、妖怪マンガの大ブームが巻き起こる最中に後追いで『どろろ』を発表したような印象を受けるが、本格的な妖怪ブームが始まったのは水木の『ゲゲゲの鬼太郎』が1968年1月にアニメ化したことで始まったのに対し、『どろろ』の連載が始まったのは『週刊少年サンデー』1967年8月27日号で、連載開始が妖怪ブームよりも半年から1年も早かったことを指摘した上で、ブームを他人よりもいち早くとらえていた手塚の流行アンテナが鋭すぎるゆえに、そのように語ったのではないかと書いている[10]

ただ、水木しげるの『悪魔くん』がテレビドラマ化されたのが前年の1966年10月からで、これが妖怪ブームのきっかけになっており、マンガとしての『ゲゲゲの鬼太郎』が人気を呼んだのも、読み切り掲載から連載漫画に昇格した『少年マガジン』1967年5月7日発売号(19号)「吸血鬼エリート」の回からで、『マガジン』の妖怪特集は既に本格化していた。その点で、黒沢の考察は決して正しいとは言えない。『どろろ』の連載が妖怪ブームの後追いであることは事実である。
リメイク・続編作品の製作

原作は最後の魔物を倒すところまでいかない状態で終了しているが、このことが物語のその後や多数のリメイク制作を喚起する要因になっている。この欠損に対して、後述PlayStation 2版では百鬼丸が身体を全て取り戻すという補完が行われている。手塚作品の中でもリメイクが果敢に挑戦されている作品のうちの一つで、実写映画版は、どろろが大幅に原作と違う設定で描かれていたり、架空の異世界が舞台になったりしている。

2005年12月9日に秋田書店から発売された、様々な漫画家が『ブラック・ジャック』を描いたアンソロジー『ブラック・ジャックALIVE』2巻に収録されている永井豪の「嵐の夜に」では、武器をもっと強力なものにして欲しいと百鬼丸がブラック・ジャックに依頼、左脚に仕込まれた火炎放射器で万代を、右足に仕込まれたミサイルで九尾の狐を、右腕に仕込まれたガトリング砲でなぜか金小僧を倒し、どろろと共に立ち去る。

ヤングチャンピオン』では道家大輔による『どろろ梵』が連載され、『チャンピオンRED』では士貴智志による『どろろと百鬼丸伝』が2018年12月号から連載されており[注 4]、後者は単行本の第1巻が2019年4月19日に発売された[11]。また、『テヅコミ』で連載のカネコアツシの漫画『サーチアンドデストロイ』は『どろろ』を原作に描かれた近未来SFになっている[12]。『テヅコミ』ではフロランス・トルタの脚本、フィリップ・カルドナの作画による(翻訳は原正人)読み切り『血の味―妖刀誕生』も掲載された。この他、田畑由秋大熊ゆうごによる『ヤング ブラック・ジャック』で、『どろろ』をモチーフにした「無残帳編」が描かれている。

2022年12月より日本では『ピッコマ』で韓国では『kakaopage』でフルカラー縦スクロール漫画の『どろろ Re:Verse』の連載配信開始。韓国スタジオ・テラピン制作で、脚本・絵コンテはイ・ドギョン、絵はBeanが担当。現代を舞台としたリブート作品[13]

これらリメイク作品には前述の永井をはじめ、PlayStation 2版に沙村広明雨宮慶太なども関与しており、『どろろ』という作品に対する支持の大きさを物語っている。

なお、『手塚治虫トレジャーボックス』にも掲載されている『週刊少年サンデー』1968年2・3号の企画「紅白ものまねまんが合戦」では、4名の漫画家藤子不二雄つのだじろう板井れんたろう赤塚不二夫が描いた『どろろ』の漫画と、各作品への手塚のコメントが掲載された。
他作品とのコラボ

永井豪&ダイナミックプロのマンガ作品『ドロロンえん魔くん』とコラボした永井豪の作品『どろろとえん魔くん』は、成長したどろろが主人公になっており、妖怪退治をしていれば百鬼丸と再会できるかも知れないと、偶然出会ったえん魔くんの力を借りて旅をするという内容で、最終話では異形の存在になった百鬼丸も登場する。当初は2012年11月16日号に読み切りで掲載され、2013年2月22日号から2014年3月7日号に連載で『週刊漫画ゴラク』に掲載された[14]
あらすじ
プロローグ
室町時代の中ごろ、武士の醍醐景光は、ある寺のお堂で魔物に通じる48体の魔神像に天下取りを願い出て、その代償として魔神の要求する通り、間もなく生まれる自分の子を生贄として彼らに捧げることを誓う。その後、誕生した赤ん坊は身体の48箇所を欠損した状態で生まれ、母親と引き離されて化け物としてそのまま川に流され、捨てられてしまう。医者・寿海に拾われた赤ん坊は、彼の手により義手義足を与えられた。
どろろとの出会い
14年後、成長した赤ん坊は百鬼丸と名乗り、不思議な声に導かれるままに自分の身体を取り戻す旅に出る。旅の途中、百鬼丸は数人の大人から袋叩きにされていた幼子の盗人どろろと出会う。百鬼丸はどろろを助けるが、どろろは礼を言うどころか彼の左腕に仕込まれた刀に目を付け、しつこく百鬼丸を付け回すようになった。初めは邪険にしていた百鬼丸だが、自身の身体の秘密や生い立ちを話してもびくともせず、むしろ面白がってますます自分に興味を持ってくるどろろを、どこか憎めなかった。そして幾多の危機を乗り越えていくうちに、いつしか2人の間には相棒とも友人とも呼べる奇妙な絆が生まれる。そして2人旅の道中、声が教えた通り、魔物を倒すたびに奪われた48箇所の身体は1つずつ復活していく。だが、異形の体と妖怪退治の力を持つ少年、盗人の子供という身の上ゆえに、2人は行く先々で人々に忌み嫌われ、絶えず追われ続ける不遇が続いていく。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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