となりのトトロ
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劇場公開時のポスター(後にビデオ、DVDのパッケージ、日本テレビ『金曜ロードSHOW!』の番組紹介[16]でも使用)は、本編同様にサツキとメイがトトロと並ぶ図案が検討されていたが、デザイン上の都合で二人ではうまく描けなかったため、この初期イメージの女の子がトトロと雨降りのバス停で立っているイラストが使われている[12][17][18]
企画の難航宮崎は『天空の城ラピュタ』の公開を終えた後、1986年11月に「トトロ」の企画書を徳間書店に提出する。しかし、舞台が昭和30年代[注 5]となっていることや題材が地味であることに加え、当初60分程度の中編映画として企画されたために単独での全国公開は難しかったことから、制作企画会議において承認を得るまでには至らなかった[19]。そこに、高畑勲が検討していた『火垂るの墓』を同時上映する案が浮上し再度企画を持ち込んだが、オバケに墓という組み合わせが顰蹙を買って承認されず企画自体が頓挫しそうになった[19]。だが、『火垂るの墓』の原作小説を刊行している新潮社が企画に賛同し『火垂るの墓』の出資、製作にすることとなり、徳間書店と新潮社の共同プロジェクトとして中編2本体制が確立することとなった[19]
制作体制制作母体は前回同様、スタジオジブリが選ばれた。高畑班が従来のスタジオに入り、宮崎班は新設した第二スタジオに準備室を設営する。高畑、宮崎の信頼に堪える主要スタッフ(アニメーター)は限られており、人員のやりくりに制作側は苦慮を迫られた。高畑側が旧知のベテランを集めた一方で、宮崎側は作画監督の佐藤好春、美術監督の男鹿和雄のように、新しく参入したスタッフを中心に制作することとなった。両作品とも60分の中編になるはずだったが、結局は予定を超えて90分前後の長編映画となった。宮崎によると、冒頭の引っ越しの絵コンテを書き上げた段階で、この作品が予定の時間に収まりきらないことが分かり、高畑の『火垂るの墓』も同様な状況であることを聞いて、時間を延ばすことにしたという[20]。また『火垂るの墓』で登場する蛍やトマトは一切出さないことにしたなど、『火垂るの墓』との重複を意識して避けたと語っている[21]
公開後宮崎は、「登場人物たちは作品完成後も年々自分の頭の中で年を重ねており、現在では主人公も嫁いで元気に暮らしている」と述べている。「(宮崎の中では)そのまま若いままではいないです。いませんよ。そりゃあ。もうあの人たち(さつきとメイ)はすっかりもう成人になってます。すっかりいい娘になって、その後結婚した後は、知らない(笑)」という[22]
反響

観客動員数は約80万人。配給収入が5.9億円と『風の谷のナウシカ』を大きく下回り公開当時は振るわず、興行的には外れてしまう(この失敗のおかげで資金回収のために『魔女の宅急便』が製作されることになった)。しかしキネマ旬報の「日本映画ベストテン」第1位など、各種日本映画関係の作品賞を獲得。更に1989年4月28日以降、日本テレビ放送網の『金曜ロードショー』でジブリ最新作公開年の夏、最新作公開日前夜の放送日等に放映されており、毎回高視聴率を記録する。2010年7月23日には『金曜ロードショー』枠で1989年4月のテレビ初放送から数えて12回目のテレビ放送が実施され、全12回中10回目の視聴率20%越えを達成した(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。1998年以降は2年おきにテレビ放送されており、2000年6月23日に7回目、2002年8月2日に8回目、2004年7月23日に9回目、2006年7月14日に10回目、2008年7月18日に11回目、2010年7月23日に12回目、2012年7月13日に13回目、2014年7月11日に14回目、2016年11月4日に15回目、2018年8月17日に16回目、2020年8月14日に17回目、2022年8月18日に18回目、2024年には19回目の放送となる。

トトロのキャラクター商品第一号である、映画公開時に宣伝用に販売したぬいぐるみは合計666,920個を販売し[23]、1989年末にサン・アローから発売されたぬいぐるみ(前述の物とは異なる)を1990年に『となりのトトロ』がテレビ放映された際に視聴者プレゼントしたところ、日本テレビに200万通の応募はがきが殺到した[23]。サン・アローから発売された「となりのトトロ」のぬいぐるみは1991年2月時点で、大トトロが計約100万個、中トトロと小トトロが計約60万個、その他が計約50万個(合わせて計約210万個)を販売した[24]。キャラクター人気と販売の好調ぶりを、ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫は「一番の稼ぎ頭」と表現している[25]。なお、元々鈴木と宮崎はキャラクターグッズに否定的であったが、上記のサン・アローの関係者が見本を持ってきて、これの出来がよく、宮崎が許可を出した[26]。またキャラクターとして定着したトトロは、『おもひでぽろぽろ』以降、スタジオジブリのシンボルマークとしても使われている。ジブリ映画にはブルーバックにトトロが描かれたものが使用されるようになり、以前の作品がビデオやDVD化される時も本編に追加されるようになった。

1997年6月27日にはブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントよりビデオが発売され、発売後約1か月で100万本を出荷するヒットになった[27]。そして、2001年9月28日にはブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントよりDVDが発売された。こちらもオリコンDVDチャートで前人未到の500週ランクインを達成し、国内DVD売上もアニメ作品史上4作目となる100万枚を突破している[28]

黒澤明は「ネコバスが凄く気に入った」と語っており、「黒澤明が選んだ100本の映画」にてアニメ作品で唯一本作が選ばれている[29]。『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』の監督・総指揮で知られるジョン・ラセターは「僕の人生で最も好きな映画の1つだよ」と述べている[30]


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