とさでん交通
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高知県中部を中心としたエリアで路面電車路線バス高速バス貸切バスを運営している。

高知県内において軌道事業・乗合バス事業・貸切バス事業を行っていた土佐電気鉄道高知県交通土佐電ドリームサービスの3社の経営統合・共同新設分割方式により2014年平成26年)10月1日に設立[1]。同日付で3社が運行していた軌道・バス路線を引き継いで営業を開始した[1]

発足にあたって設定されたコーポレートカラーはグリーンとオレンジで[1]、グリーンは安心・安全・快適、ならびに高知の豊富な緑や発展を表し、オレンジは親しみ・楽しさ・喜び・太陽を表し、この2色を組み合わせることで地域と共に歩み、豊かな未来に貢献することを表現している[4]。またグリーンは旧土佐電グループの、オレンジは旧高知県交通のシンボルカラーでもあり、長い歴史を持つ両社の伝統を受け継ぐという意味も込められている[5]
経営統合の経緯

土佐電気鉄道と高知県交通の統合は1990年代にも持ち上がったことがあったが、資金調達の目途が立たず挫折した経緯がある[6]

2013年(平成25年)3月、その前年の5月の土佐電気鉄道株式会社の株主総会で、竹本昭和社長と、同社会長で高知県議会議員の西岡寅八郎(自民党)が、友人の暴力団幹部の名を挙げて一部の株主を恫喝したことが発覚した。これを理由に、当時の社長と会長は共に引責辞任、西岡寅八郎は県議も辞職し、また四国銀行などの高知県を代表する企業と、高知県議会議員や暴力団が裏でつながっていた事が露呈し、高知の経済界、政界は一挙に信用を失った。[7]

2014年(平成26年)1月に後任として元高知県理事の片岡万知雄が土佐電気鉄道社長に就任した[8]。これを契機に再編へ向けた模索が始まり[7]、2014年(平成26年)4月4日に高知県中央部の公共交通のあり方について検討を行う「中央地域公共交通再構築検討会」が土佐電気鉄道と高知県交通の統合も視野に協議する方針を高知県議会産業振興土木委員会で報告した[9]

土佐電気鉄道・高知県交通の2社合計で路線バス事業は1999年(平成11年)から2013年(平成25年)までの15年間の累積赤字が合計約90億円に達していた[9]。そのため、国に加えて高知県と高知市が合計約43億円の補助金を支出したものの[9]、2013年(平成25年)3月末時点で土佐電気鉄道が約14.8億円、高知県交通が約20.1億円の実質的な債務超過に陥っていた[10]。また、借入金も土佐電気鉄道・高知県交通の2社合計で約75億円に上っていた[11]。さらに、2007年(平成19年)の調査で、当社の運行する高知市周辺の交通手段は、自動車の割合が約59%に達するほど高い一方で、土佐電気鉄道・高知県交通の運営する路面電車と路線バスはいずれも約1%に留まっていた[9]

そうした利用率の比率の低さに加え、今後の人口減少を加味すると、土佐電気鉄道・高知県交通の運営する路面電車と路線バスの輸送人員は2010年(平成22年)の合計約1201万人から2035年には合計約969万人と約80%まで落ち込むとの見通しもされた[9]。こうした状況を踏まえて今後経営を維持していくのは非常に困難であるとして、公共交通を維持していくためにも、2014年(平成26年)4月28日に「中央地域公共交通再構築検討会」が、金融機関による債権放棄を行うと共に、土佐電気鉄道と高知県交通の両社を新旧会社に分離し、自治体が出資し新会社を設立して事業を統合するのが望ましいとの報告を取りまとめた[10]

これを受けて、高知県と沿線市町村の協議会が開かれ、2014年(平成26年)5月27日に新会社に出資する10億円の分担割合を決定した[12]。そこでは、同じ高知県内の土佐くろしお鉄道への支出や全国の第三セクターの事例を考慮して高知県が50%を負担することになり、残りは人口や路線の運行状況、赤字補てんの補助金実績などに応じて沿線市町村が分担することになった[12]。また、並行して金融機関に債権放棄の承諾を求めて事業再生計画案の説明などを行い[13]、2014年(平成26年)5月30日までに対象となる6金融機関が事業再生計画案を了承する回答をした[14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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