たばこ
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また18世紀末から、それまでほぼスペインのみで消費されていた葉巻が徐々にヨーロッパ大陸に広まるようになり[14]、19世紀には流行を見せた。アメリカにおいては、アメリカ独立戦争のころからプラグタバコなどの噛みたばこが流行を見せるようになり、19世紀のほぼ全期間にわたってアメリカで最も利用される喫煙方法となっていた。この噛みたばこの隆盛はヨーロッパ大陸ではあまり見られず、アメリカの喫煙を特徴づけるものとなっていた[15]。20世紀に入ると紙巻きたばこが全世界において急速に普及し[16]、パイプたばこのみならずそれまで嗅ぎタバコが主流だったスウェーデンや噛みたばこが主流だったアメリカにおいてもたばこ消費の主流を占めるに至った。
有害性「喫煙」、「紙巻きたばこ#有害性」、および「ライトたばこ#健康への影響」も参照

世界保健機関 (WHO)元事務局長のグロ・ハーレム・ブルントランドが「たばこは最大の殺人者である」[8] と述べているように、20世紀になってからたばこの有害性が度々指摘されている。主な害として、中毒性、発がん性心臓病のリスク向上などが挙げられている。また、たばこの流煙には、一酸化炭素 (CO)、ニコチンタールシアン化物など、多くの有害物質が含まれており、非喫煙者と比べ、がん心臓病などの生活習慣病を発病しやすくなる。

薬物に関する独立科学評議会における、ニコチン含有製品を多基準意思決定分析(英語版)によって数値化した研究では、紙巻きたばこの有害性を100とすると、小型葉巻67、パイプ22、水パイプ14、ニコチンガムパッチは約2である[17]

たばこ産業は喫煙者を安心させるために「低タール」の紙巻たばこを開発し、1980年代に入るとさらに「ウルトラライト」などの商品を販売促進してきた[18] が、近年ではむしろ肺がん死亡率が上昇してきているという疫学研究の結果が得られており[19]、こうしたタバコが原因のひとつであるとして説明されている[20]。古い時代と比較して、女性も男性のように早い年齢で頻繁に吸うようになったことも、女性の死亡リスクを増加させてきた[21]

2015年12月16日イギリスの議会庶民院では、英国公衆衛生庁(英語版)が「電子たばこが紙巻たばこの喫煙よりも95%安全である」と広報しており、デーヴィッド・キャメロン首相(当時)は、「国民の健康を改善するための正当な方法であることをはっきりと説明すべきである」と答弁した[22]

死亡者で比較すれば、2009年アメリカ合衆国では、たばこに起因する443,000人の死亡が確認された一方で、アルコールでは98,334人であり、他の薬物では37,485人であった。2008年処方薬の過剰摂取による死亡が20,044人、違法薬物の使用に起因する死亡は16,044人である[23]
規制フィリピンにおける紙巻たばこの外装の箱の画像付き警告。たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)の第11条では、警告表示は、望ましくは包装の面積の50%以上を用い、画像を使用してもよいとしている。

たばこの有害性は古くから指摘されており、そのため多数の国・地域においてたばこの購入及び消費には年齢制限がかけられている。

日本においては1900年(明治33年)の第2次山縣内閣山縣有朋首相)下に未成年者喫煙禁止法(現・二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律)が制定されて、「満20歳未満の者は喫煙をすることができない」と定められている。一般に「成年になるまで喫煙をできない」と解釈されてきたが、日本における「喫煙の年齢制限」は同法において明示されているため、「民法上の成年」とは独立した根拠に基づいている。

ただし、成年になるまで喫煙をできないと解釈されてきたため、2015年(平成27年)に第3次安倍内閣安倍晋三首相)下で公布・2016年(平成28年)施行の公職選挙法改正により「選挙権が20歳から18歳に引き下げられる」とともに「飲酒・喫煙年齢を18歳に引き下げること」も議論されるようになり、同年自由民主党の特命委員会は「喫煙年齢を18歳に引き下げる」よう政府に求める方針を示した。ただし禁煙運動が進む中、この引き下げには慎重論も根強く残っている[24]

年齢制限は各国で古くからおこなわれてきたが、1970年代後半よりたばこの害は深刻に受け止められるようになり、禁煙運動が大きな広がりを見せるようになった。こうした中で各国はたばこに対し厳しい規制を敷くようになり、1988年には国際連合によって毎年5月31日が世界禁煙デーと定められた。たばこ広告は19世紀以降たばこの消費拡大に大きな役割を果たしてきたが、各国において禁止されるようになり、たばこのパッケージには健康に対する警告が印刷されるようになった。

2005年たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)は、「受動喫煙の防止、商品のイメージを想起させない統一的な外装、警告表示の掲載、またそれを画像付きにすることといったガイドライン」を提示してきた。


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