そろばん
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そろばんの乗法には実(被乗数)の尾桁から計算する留頭乗法と実(被乗数)の首桁から計算する破頭乗法がある[3]。また、それぞれ法(乗数)の首位数から計算を始める頭乗法と法(乗数)の尾位数から計算を始める尾乗法がある[3]

以上の組み合わせにより主な乗法として留頭尾乗法、留頭頭乗法、破頭頭乗法、破頭尾乗法の四種がある[3]

またこの他に中乗法といって、法の次位数から尾位数まで計算した後、最後に法の首位数を計算する方法もある。

一般には留頭頭乗法の欠点を克服するため部分積を置く位置を改良した方法が用いられる[28]。以下に示すのは新頭乗法と呼ばれる現在一般的な方法(法を盤面に置いていない片落としの例)である。

(例)32×97






322を消して2×90+2×7





3を消して+30×90+30×7=3104

特にそろばんの上級者の乗算の場合は、法のみならず実もそろばんの布数から省略し、積のみをそろばんに置いていく両落としが用いられることも多い。

古式の尾乗法や中乗法の場合は、一時的に1桁に10以上溜まる場合があるため、完全な布数には天二地五が必要となり、天一地五や天一地四ではそのような場合記憶に頼ることになる。
除法

そろばんの除法は種類が多くはなく、割り算九九を用いる帰除法と掛け算九九を用いる商除法がある[28]

以下に示すのが現在一般的な商除法(法を盤面に置いていない片落としの例)である。

(例)1416÷59






14162を置いて20×50を引く20×9を引く





4を置いて4×50を引く4×9を引く=24

古式である帰除法の場合は、一時的に1桁に10以上溜まる場合があるため、完全な布数には天二地五が必要となり、天一地五や天一地四ではそのような場合記憶に頼ることになる。
開法

開法の計算は、次を参照。

開平

開立

生産小野市伝統産業会館1949年頃のそろばん工場。「大隅そろばん」として知られたが現存しない(鹿児島県高山町、現在の肝付町

日本国内では兵庫県小野市島根県奥出雲町が二大産地である。小野市のそろばんは播州そろばん、奥出雲町のそろばんは雲州そろばんとして知られる。

播州そろばんは1976年に、雲州そろばんは1987年に伝統工芸品の指定を受けている。ともに指定を機に小野市で1983年に小野市伝統産業会館が、奥出雲町で1990年に雲州そろばん伝統産業会館[29]開設され、国内外の様々なそろばんが展示されている。

珠の素材となる木材には国産材ではオノオレカンバなどカバノキ[30]ツゲイスノキソヨゴ(福良木:フクラソウ)、マンサクカナメモチスモモケヤキモチノキクワナツメクスノキ、輸入材ではコクタン類、シタンビャクダン、レッドサンダー(紅木紫檀)、リグナムバイタカリンタガヤサンブラジリアン・ローズウッド、パオロッサ(ローズウッド[31]など硬質で狂いがでないものが用いられる。またかつてはウメヒイラギツバキウバメガシチャンチンモドキ(?:カナメノキ)も使われていた。また牛骨やラクト(ラクトロイド:カゼインプラスチック[32]など動物由来素材も使われる[33]

伝統工芸品の一環として作られる高級そろばんもある。
文化

日程は地域により異なるが「はじき初め」を行う地域がある。

8月8日はパチパチとそろばんの珠をはじく音に通じるため「そろばんの日」となっている。

アーサー・C・クラークのSF短編『彗星の中へ』(アーサー・C・クラーク 1985)[34]はコンピューターの故障により軌道計算のできなくなった宇宙船にたまたま日本人が乗り合わせており、乗員にそろばんを教えて総出で計算を行い危機を脱出するというストーリー。宮崎駿天空の城ラピュタ』においても「東洋の計算器」としてドーラがタイガーモス号航法計算に使う描写がある(現実では専用の計算尺「フライトコンピューター」が使われる)。

本来そろばんは計算のための道具であるが、構造上、振ると音がするためシェイカーのような使い方をすることがある。

ボードビリアントニー谷は芸の一つとして使った。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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