せっけん
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石鹸は硬水では泡立たず、石鹸かすを形成するため洗浄効果が低下する[5][6]
分類
成分による分類

ナトリウム・カリウムなどのアルカリ金属塩のアルカリ石鹸と、アルカリ金属以外の金属塩の金属石鹸に分類され、石鹸といえば通常は前者を指す。

アルカリ石鹸は水溶性で表面活性が著しく、起泡力をもち洗浄力がすぐれる。

使用するアルカリ金属の種類によって、石けんの性状が異なる。水酸化ナトリウムから作られるナトリウム石鹸は固形で、水酸化カリウムから作られるカリウム石鹸は軟らかく、液状であることが多い。リチウム石けんも硬い傾向がある。リチウム石けんは、もっぱらグリースとして用いられる。
用途による分類
身体用石鹸

人の身体(顔を含む)に用いる石鹸である。各国で薬事法などの規制を受ける[7]。浴用石鹸(ボディーソープ)、洗顔用石鹸、手洗い用石鹸(ハンドソープ)、薬用石鹸などがある。固形・粉石鹸はナトリウム石鹸で、液体石鹸・ボディーソープ・シャンプーは溶解度の大きいカリウム石鹸である。また、ナトリウム石鹸・カリウム石鹸を併用したものもある。「合成固形石鹸」は石鹸ではなく、日本の医薬品医療機器等法では「化粧品」として扱われている。

一般に「化粧石鹸」という言葉が使われることがあるが、これには明確な定義はない[7]。身体用の固形石鹸を「化粧石鹸」と呼ぶこともあれば、「洗顔石鹸」と「浴用石鹸」をひっくるめて「化粧石鹸」と呼ぶこともある[7]。いずれの場合も「化粧石鹸」は通常固形石鹸だけを指し、液体石鹸は含まれない[7]
薬用石鹸
殺菌消毒用。身体の一部や食器、布巾などに用いる。日本の医薬品医療機器等法では医薬部外品として扱われている。殺菌成分としてトリクロカルバン、トリクロロカルバニリド、イソプロピルメチルフェノールなどを含む。2016年9月、米国食品医薬品局 (FDA) トリクロサン、トリクロカルバン等19成分を含有する抗菌石けんの米国内での販売を停止する方向であると発表した[8]。これを受けて、日本厚生労働省もトリクロサン等を含む薬用石けんの成分変更を促す通知を行った[9][10]
日本薬局方薬用石ケン
日本薬局方に収載されている医薬品で、医療用洗浄剤、リニメント剤坐薬の基剤、瀉下浣腸に用いる[11]。殺菌消毒用ではない。白色ないし淡黄白色の粉末または粒で、臭いがある[11]
身体以外用石鹸
洗濯用石鹸
手洗い向けの固形石鹸と、
洗濯機向けの粉石鹸。合成洗剤より高価だが、水質汚染、皮膚炎、蛍光剤による衣類の褪色を避ける効果が期待できる。水温が高いほど洗浄力が上がることから、風呂の残り湯を利用することが多い。また、石鹸かすの残留による黄ばみを抑えるため、クエン酸が使われる。
台所用石鹸
使用済み食器の洗浄、食品の寄生虫卵除去用。食器が滑りやすく、破損リスクが高い欠点がある。近年普及した食器洗い機は構造上石けんが使用しにくいが、成分を調整した製品もある。
工業用石鹸

工場などの機械部品についた油汚れの除去を目的とする。汚れの程度が強いため、木材粉パーライトなどの研磨剤を含むものが多い。
形状による分類液体石鹸とレフィル(詰め替え用)

鹸化に使用するアルカリによって固まりやすさが変わるため、固形と液体は製造段階で分かれる。水酸化カリウムで鹸化したものはカリ石鹸(脂肪酸カリウム)、水酸化ナトリウムで鹸化したものはナトリウム石鹸(脂肪酸ナトリウム)と呼ばれ、カリ石鹸はナトリウム石鹸より融点が低い。
固形石鹸 (Bar soap)

ナトリウム石鹸を手に収まるサイズに成形したもの。ただし、洗濯石鹸ではキログラム単位のものもある。乾燥するとひび割れることから、防湿包装される。プラスチック包装が普及するまではパラフィン紙(グラシン紙)が用いられた。
紙石鹸

固形石鹸を紙のように薄く削いだもので、手洗い一回分として携帯可能である。もともとは子供向けで駄菓子屋などで売られていた[注釈 1]

売り上げ下火となっていたが、新型コロナウイルスの流行に伴い手指の洗浄や除菌への関心が高まり、再び注目されつつある[12][13][14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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