さらば冬のかもめ
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両者の不仲は予算に響き、当初予定されていたよりも遥かに減額された260万ドルしか支払われなかった[6][9]
キャスティング

バダスキー役とマルホール役は既に決定していた為、役者の選定は主にメドウス役に絞られた[10]。「ハロルドとモード」で主役に抜擢されたボブ・コートはメドウス役での出演を直訴したが、アシュビーはメドウス役のイメージに合わないとして却下した[9]。オーディションの結果、最終選考に残ったのはランディ・クエイドジョン・トラボルタで、予定されていた役柄は「気弱で小柄な青年」だった(クエイドは非常に長身である)が、アシュビーの判断でクエイドがメドウス役に選ばれた[11]。彼にアシュビーが予定していた風変わりな雰囲気があった為である[9]。脚本家のロバート・タウンは「彼の大柄な体格には確かに悲哀が存在していた…それはアシュビーでなければ見逃していただろう」と回想している[11]
プリプロダクション

主役のニコルソンが「キング・オブ・マーヴィン・ガーデン」に参加していた関係で、撮影の開始は予定より一年半ほど後になった[6]。製作会議では主役3人をバート・レイノルズジム・ブラウン、デビッド・キャシディに役者を交代して作品を早期に作ろうという意見もあった。しかしエアーズは主役3人の交代に猛反対し、別のスタジオで製作する事を恐れた製作スタッフも待つことに同意した[6]

撮影の前段階でアシュビーとエアーズは原作の作品設定を監督した退役軍人に面会したり、海軍の資料を読んだりして設定を見直した[3]。ロケ地についてはリアリティを出すために実際のノーフォーク基地とポースマツ海軍刑務所を使用したいと考えていたが、海軍の許可が下りなかった。しかし代わりにカナダ海軍が協力を申し出てくれたので、撮影班はトロント海軍基地を主な撮影場として使用した[3] 。基地は撮影スタッフの要望を満たすだけのリアリティを生み、アシュビーはそこで出演者の一人であるキャロル・ケイン(娼婦役)と面会している[10]

順調に思えた矢先、カナダ滞在中に監督のアシュビーがマリファナ所持の容疑で警察に拘束されるという事態が起きた。製作側では作品製作の中止を巡る動きが起こったが事件があまり大きく報道されなかった事や、ニコルソンが作品参加の意図を変えなかった事で製作続行が決まった[12]。再開すると今度はマルホール役のルパート・クロスが末期癌を患っている事が判明、アシュビーは更に1週間撮影を延期して、クロスに作品参加を続けるかどうか考える時間を用意した[13]。クロスは熟考の末に作品から降板、代役として舞台俳優であったオーティス・ヤングが急遽抜擢された[9]
撮影

映画撮影の経験の少ないオーティスを考慮して、アシュビーは撮影を敢えて時系列順に行い、更にオーティスの人柄を脚本に反映させた[14]。従って映画はノーフォークとポースマツという二つの場所に使われたトロントを除き、全て映画の流れと同じ経路で撮影を行っていった[15]。まだ若手だったクエイドは評価を望んで自分なりの演技を試行錯誤したが、普段は演技指導に厳しいアシュビーは珍しく演技プランを俳優に委ねた[15]。 撮影監督はハスケル・ウェクスラーが勤める予定だったが組合の関係から参加できず[13] ゴードン・ウィリスネストール・アルメンドロスらも同様に撮影に加われなかった[15]。苦肉の策としてアシュビーは撮影助手のマイケル・チャップマンを撮影監督に昇格させ、彼は独特の撮影法で映像にドキュメンタリー風の雰囲気を与えた[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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