さいとう・たかを
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21世紀に入ると『ゴルゴ13』『鬼平犯科帳』『仕掛人・藤枝梅安』の3作の長期連載を軸に活動、大ベテランとなっても月産150ページ以上の旺盛な執筆活動を展開した。

しかし、2008年に武本サブロー、2014年に石川フミヤスと、長年にわたって仕事を支えてきたチーフアシスタントが相次いで死去したこともあって、さいとうの作業量が増加した。そのため2015年2月、体力的な負担を理由に『仕掛人・藤枝梅安』の休載を決定した。残り2作品の連載執筆に専念しつつ(これらもページ数を減らしている)、『梅安』再開も模索したが、結局体力の限界を理由に2016年3月『梅安』連載終了を告知した。

そうした状況であったが、最晩年の2021年7月から『ビッグコミック増刊号』(元は『ビッグコミック』本誌と並行して『ゴルゴ13』を連載していたが、上述の事情で新作を休止していた)にて、『ゴルゴ13』のスピンオフ作品である『銃器職人・デイブ』の連載を開始している[9]
死去

2021年9月24日膵臓がんのため死去[10]。84歳没。連載中の『ゴルゴ13』については「自分抜きでも続いていってほしい」とのさいとうの遺志に沿い、さいとう・プロダクションと脚本スタッフ、連載元の『ビッグコミック』編集部の協力体制で連載を継続させていくという[10]

もう一つの連載作品である『鬼平犯科帳』も同年9月30日に連載の継続がリイド社公式サイトで発表された[11]。さいとうが確立した漫画制作の分業制は、自身の死をもって究極の形となった[10]

2021年10月26日、日本国政府は正六位に叙することを閣議決定した[12]。墓所は港区梅窓院
人物
少年時代

中学生のころ、「こんなもんただのクイズだ、試験でもなんでもない。個人の能力がわかるはずがない」と考え、一度もまともに試験を受けなかった。しかし、ある教師が担当になったとき、いつものように答案用紙を白紙で返すと、その教師はさいとうの答案用紙を持って来て机の上に置き、「これを白紙で出すのは君の意思だから構わない、しかしこの答案用紙を提出するのは君の義務なんだから、自分の責任の証明として名前だけは書け」と諭されて感銘を受け、それを期に人間の約束と責任について深く考えるようになったという。この教師の姓が「東郷」であり、『
ゴルゴ13』が名乗る名(デューク東郷)の一部となった。なお、この東郷教師は奇しくも漫画家天王寺きつねの母方の祖母の親戚筋でもあった[13]

さいとうの少年時代のやんちゃぶりは自伝的漫画『いてまえ武尊』に詳しい。さいとう曰く「飼い猫を焼いて食ったこと以外はほぼ実話」としている。

漫画少年』ファンの友達に勧められ、一度だけ『漫画少年』に投稿した経験があり、それが審査員の手塚治虫に悪い見本として取り上げられ酷評されたという[14](しかし実際には投稿欄の手塚によると思われていた文章は編集者が書いたものであり、手塚は忙しくて名前だけ貸していた状態であったことが後に分かる)。

家族との関係

さいとうの父親が、営んでいた理髪店を放り出し、写真家・画家・彫刻家などを目指すが挫折し、出奔して家を出ていったことから、母親は芸術関係の仕事を人一倍嫌悪した。父親の絵をさいとうの目の前で何の躊躇もなく
かまどにくべて焼き「男が芸術で食べていけるわけが無い」と吐き捨てたという。小学生時代のさいとうが地元大阪府の展覧会に応募し金賞を取った絵も、即座にかまどに放り捨てられ燃やされたとのこと。

漫画家となるために実家の理髪店を辞めた際には大激怒され、以来母親は漫画と漫画家を親の仇のごとく憎悪するようになったという。さいとうが漫画家として大成した後も送ったゴルゴ13の単行本を見もせずに即刻焼却し、その挙句、死の床にあっても単行本に指一つ触れようとしないどころか視界から背け、和解を拒むなど、さいとうのことを最期まで認めず、同時に許さなかった。このことはさいとうも気にしているようで、執筆室には仕事をしているさいとうに向かい合うように亡母の写真が飾られている。

さいとうの兄の斉藤發司も同様で、發司がさいとう・プロダクションおよびリイド社の代表取締役社長になった後にも、子供に「漫画など読むな」と説教していたという。

元妻のセツコ・山田との間に娘が2人いるが、この姉妹はじゃんぐる堂の共同ペンネームで同人誌・商業誌(親族が経営するリイド社の『コミック乱』を含む)に漫画を執筆している。

創作

デビュー当初は
SF志向があったが、若い労働者が主体だった貸本漫画の客層がそれを受け入れなかったため、アクション漫画がメインになっていった。

元は作画をGペンで行っていたが、太さの違うサインペンでペン入れを行うようになった。また、ネーム後には基本的に下書きをせず、いきなりペン入れから始める。キャラクターは眉毛やモミアゲといった特徴的な部分から書き始める。

作中の台詞の数字は固有名詞を除いて全て漢数字を使う。

趣味・嗜好

趣味はテレビや映画鑑賞、若い頃からの
大相撲ファンでもある。元大相撲力士三濱洋俊明は母方の親戚にあたる。

1980年代にはゴルフに熱中しており、山梨の富士野屋別館には交流の深い漫画家仲間である石ノ森章太郎北見けんいちちばてつやつのだじろう藤子不二雄A古谷三敏らと書いた寄せ書きが額縁入りで飾られている(松本零士も来る予定だったが、原稿が間に合わず参加できなかったという)。

小学4年生から吸っているという愛煙家であり[15]、「煙草と名のつく物は何でも吸ってきた」と話し、過去には葉巻(細巻きのメキシコ産の銘柄を愛煙していた)やパイプも喫煙したことがあると語っている。執筆も喫煙しながら行う。


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