がらがら_(玩具)
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江戸時代には張子のほか、曲物の胴に柄をつけ中に小石を入れたもの、の木を円く挽いて土鈴をいれたものなども作られている[2]。また江戸時代の随筆集『翁草』や『武林隠見録』には、御用商人河村瑞賢が三両の小判に刀で穴をあけ、そこに紙捻りを通して即興のがらがらを作り、遊び道具として子供に与えたという逸話が載っている[3]。ほかに年始の年玉として桐箱に扇形の棒状のものを入れてがらがらとして配ったり、手作りの玩具として小板を紐で繋いで指で鳴らすものなども作られていた。当時はこうした音のなる玩具を「がらがら」と総称していたようである[3]

明治時代になると海外からブリキが輸入され、ブリキの空き缶を平らにして作った一枚がらがら、次いでブリキ板2枚を合わせた中に小石を入れたがらがらが作られるようになった[3]。明治30年ごろには、竹の輪の両面にブリキを張り中に小石を入れたがらがらが作られており、竹の輪の両面には犬や猫の絵が描かれていた。これはフケを取る道具の材料に使われた竹の廃物を利用したもので、柄の部分は笛になっている[3]。明治33年には同様のかたちのものに日の出と鶴亀の絵を配した「万寿がら」と呼ばれるがらがらも作られた[3]

このようなブリキ製のがらがらは日露戦争後急速に進歩し、陶器用の塗料を使い柄を笛にした「笛がら」、仮面を二枚組み合わせた形に作った「面ガラ」、鈴を使った「鈴がら」、風車状に回転する仕掛けをつけた「風車がら」、胴部につけた首が左右に振れる「首振りがら」、胴部にゼンマイ仕掛けを仕込み回転するようにした「自動がら」、鳥獣の絵を配し、胴体部を回転させてどの絵で止まるか当てるようにできている「当てがら」、同様にじゃんけんの絵を配した「拳がら」など多様な仕掛けをもつがらがらが作られていった[3]

一方でセルロイド製のがらがらも明治32・33年ころから登場しはじめ、明治40年ごろにはゼンマイ仕掛けでオルゴールの音を入れたものが流行している[3]。セルロイド玩具の全盛期である大正時代になるとこうしたセルロイド製のがらがらが盛んに作られた。大正時代のがらがらは音に趣向を凝らしたことに特徴があり、その音によって「ラッパ笛がら」「太鼓がら」「笛入りがら」と呼ばれるがらがらも作られたが、この時期の代表的なものは鈴を4個つけて優美に作られた「高貴がら」、同様に鈴を用い、常盤御前の被った市女笠に似せたものを合わせて作られた「常盤がら」であった[3]。これらにプラスチック製のものが加わわるのは戦後になってからである[3]
出典^ a b c d e f g h i j k 多田信作、多田千尋 『世界の玩具事典』 岩崎美術社、1989年、全国書誌番号:.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}89049155、281-282頁。
^ a b c d e 「がらがら」 『世界大百科事典』第2版、kotobank(2014年6月22日閲覧)
^ a b c d e f g h i j 齋藤良輔『日本人形玩具事典』東京堂出版、1997年。 ISBN 4-490-10477-4 89-90頁


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