お盆
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地方や宗派によっては、お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として、「精霊馬」(しょうりょううま)と呼ばれるきゅうりナスで作る動物を用意することがあり、東京を初め、東日本では幅広く浸透している[21]。4本の麻幹あるいはマッチ棒、折った割り箸などを足に見立てて差し込み、として仏壇まわりや精霊棚に供物とともに配する。きゅうりは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、また、供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いがそれぞれ込められている。

地方によっては「施餓鬼」(きこん または せがき)と呼ばれ、餓鬼道に陥った亡者を救ったり、餓鬼棚と呼ばれる棚を作って道ばたに倒れた人の霊を慰めたりするといった風習もこの頃に行われる。また、盆提灯と呼ばれる特別な提灯を仏壇の前に飾ったり、木組に和紙を貼り付けた灯篭を流す灯篭流しや、提灯を小船に乗せたようなものを川などに流す精霊流しを行う場合がある。特に長崎県長崎市の精霊船を曳き、市内を練り歩くのが有名である。特殊な例として岩手県盛岡市では供物を乗せた数メートル程度の小舟に火をつけて流す「舟っこ流し」が行われる。

お供え物も地方によって違いがあり、甲信越地方東海地方では仏前に安倍川餅北信地方長野県北部)ではおやきをお供えする風習がある。長野県新潟県の一部地域では、送り火、迎え火の時に独特の歌を口ずさむ習慣がある。

青森県などの一部地域では法界折(ほかいおり)と呼ばれる精進料理の折詰を墓前に供える風習がある[22]。墓所を清めるために「あられ」と呼ばれる米とさいの目に刻んだ大根を混ぜたものを墓所に撒く風習もある[22]市内を練り歩くもやい船(精霊船)(長崎市)

長崎県では、盆の墓参りや精霊流しの際に手持ち花火爆竹を撃つ風習がある[23]。今では廃れた中国福建の風習である「清道」(元は盆と正月に行われていたが、現在では正月すなわち春節のみ)が元になっていると言われる。特に長崎市ではその風習により、シーズンになると花火問屋等花火を扱う商店ではその需要の多さから沢山の花火を求める客で賑わう[23]

山形県遊佐町付近ではお盆になると精霊馬の代わりにおもちゃの乗り物を玄関先に吊るすことが多い[21][24]。乗り物の種類は多彩で、ご先祖様の生前の職業等に関連した乗り物を飾ることがある(例えば、農業関連の仕事をしていた人にはトラクターを玄関先に吊るしたりする)。またご先祖様が生涯免許を取得してなかった場合は車を運転できない為、代わりにタクシーやバス、飛行機などでこの世とあの世を行き来できるようにお車代として、お金を玄関先に吊るすこともある。

沖縄県では、旧暦でお盆が行われる。13日をウンケー(お迎え。宮古ではンカイ[25]八重山ではシキルヒー、ンカイピー)、14日をナカビもしくはナカヌヒ、15日(一部地域では16日)をウークイ(お送り。宮古ではウフーユー、八重山ではウクルピー)と称し、この間先祖の霊を歓待する[26]。また独特の風習や行事が伝えられる。代表的なものに、沖縄本島エイサー八重山列島アンガマがある。また、ウークイでは先祖の霊があの世にて金銭面で苦労しないようにするためにウチカビ(打紙)と呼ばれる冥銭を燃やす風習もある[27]。八重山では旧盆のことをソーロンと呼ぶ[28]
お盆の行事
北海道

北海盆踊り北海道各地域) - 一部(子供の部:『子供盆おどり唄』) / 二部(大人の部:『北海盆唄』)北海盆唄では仮装をして盆踊りをする風習がある。

三笠北海盆踊り(三笠市) - 『北海盆唄』発祥地


風連ふるさとまつり(名寄市風連地区)

新根室音頭(飯田三郎作曲)千人踊り(根室市) - ねむろ港まつり初日に開催

咸臨丸祭り(木古内町

東北

青森県

黒石よされ(黒石市

相内坊様踊り(五所川原市


岩手県

舟っこ流し盛岡市遠野市

みちのく盂蘭盆まつり(奥州市)

大迫あんどんまつり(花巻市)


秋田県

三大盆踊り

毛馬内の盆踊鹿角市) - 8月21日 - 23日重要無形民俗文化財

一日市の盆踊八郎潟町) - 8月18日 - 20日、県無形民俗文化財


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