なお、旧暦での盆を旧盆と言うが、一部の地方[11] を除いて通常、新暦での盆は新盆とは言わない。新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)は別の意味となる。 名称に「ぼに」がある。『蜻蛉日記』上巻応和二年に「十五、六日になりぬれば、ぼになどするほどになりにけり」とあり[12][13]、徳島県指定無形民俗文化財「津田の盆踊り」[14] は、津田の盆(ぼに)踊りとされ[15][16] や阿波弁[17]、岡山弁[18]、備後弁[19] など各方言にある。また、『うつほ物語』11巻初秋(内侍督)に「御ぼにどもは例の数候ふや」とあるようにお盆の供養・布施物のこともさす[12][13]。 盆の概念は日本全国に広まっているため、その行事の内容や風習は地方それぞれに様々な様式がある。必ずしも定まったものでないが、全国に比較的広まっている風習として以下の様なものがある。別節で説明する#お盆休みの帰省は、故郷を離れて暮らすことが一般化した昭和の後半から全国的に見られるようになったが、悼むべき故人に大戦で亡くなった親類縁者を共に加えて行うことも少なくない。海外では新年などに行われることが一般的な花火大会ももともとは川施餓鬼の法会を起源として供養に繋がる(隅田川花火大会を参照)ことから地方ではこの帰省の時期に併せてよく開催されている。乾かしたまこもでの迎え火(香取市)お盆のお供え(ナス、きゅうり、米を混ぜたもの)(香取市) 1日を釜蓋朔日(かまぶたついたち)と言い、地獄の釜の蓋が開く日であり、一般的に1日からお盆である。この日を境に墓参などして、ご先祖様等をお迎えし始める。地域によっては山や川から里へ通じる道の草刈りをする。これは故人の霊が山や川に居るという信仰に則り、その彼岸から家に帰る故人が通りやすいように行う。また、地域によっては言い伝えで「地獄の釜の開く時期は、池や川、海などへ無暗に近づいたり、入ったりしてはならない」というものもある。 7日は七夕であり、そもそも七夕は「棚幡」(たなばた)とも書き、故人を迎える精霊棚とその棚に安置する幡(ばん)を拵える日であった。その行為を7日の夕方から勤めたために棚幡がいつしか七夕に転じたともいう。7日の夕刻から精霊棚や笹、幡などを安置する。なお、お盆期間中、僧侶に読経してもらい報恩することを棚経(たなぎょう)参りと言う。これは精霊棚で読むお経が転じて棚経というようになった。 13日夕刻の野火を迎え火(むかえび)と呼ぶ。以後、精霊棚の故人へ色々なお供え物をする。 地方によっては、「留守参り」をするところもある。留守参りとは、故人がいない墓に行って掃除などをすることをいう。御招霊など大がかりな迎え火も行われる。 16日の野火を送り火(おくりび)と呼ぶ。京都の五山送り火が有名である。15日に送り火を行うところも多い(奈良高円山大文字など)。 また、川へ送る風習もあり灯籠流しが行われる。山や川へ送る点は、釜蓋朔日で記したとおり故人が居るとされるのが文化的に山や川でありそのようになる。山下地蔵の地蔵盆(多治見市) なお、故人を送る期間であるが、16日から24日までであり、お迎え同様に墓参などをして勤める。 仏教では広くとった場合、お盆は1日から24日を指す。これは、地獄の王とされる閻魔王の対あるいは化身とされるのが地蔵菩薩であり、24日の地蔵菩薩の縁日までがお盆なのである。「地蔵盆」も参照。 ちなみに、天道すなわち大日如来の「大日盆」は、その縁日に則って28日である。 15日の盆の翌日、16日の晩に、寺社の境内などに老若男女が集まって踊るのを盆踊りという。これは地獄での受苦を免れた亡者たちが、喜んで踊る状態を模したといわれる。夏祭りのクライマックスである。旧暦7月15日は十五夜、翌16日は十六夜(いざよい)すなわち、どちらかの日に月は望(望月=満月)になる。したがって、晴れていれば16日の晩は月明かりで明るく、夜通し踊ることができた。 近年では、場所は「寺社の境内」とは限らなくなっており、また宗教性を帯びない行事として執り行われることも多い。典型的なのは、駅前広場などの人が多く集まれる広場に櫓(やぐら)を組み、露店などを招いて、地域の親睦などを主たる目的として行われるものである。盆の時期に帰郷するひとも多くいることから、それぞれの場所の出身者が久しぶりに顔をあわせる機会としても機能している。 なお、新しく行われるようになった盆踊りは、他の盆踊りとの競合を避けるために、時期を多少ずらして行われることも多い。これは、新興住宅地などでは、「盆の最中は帰郷しており、参加できない者が多数いる」などの事情も関係しているものと思われる。また、宗教性を避けて「盆踊り」とは呼ばないこともある。しかしそれらが「盆踊り」の系譜に連なるものであることは否定しがたい。また、同様のものとして彼岸の時期に行なわれるものを「彼岸踊り」と呼称する地域(関東 - 近畿一の一部)も存在する。 また、人が亡くなり49日法要が終わってから次に迎える最初のお盆を特に初盆(はつぼん、ういぼん)または新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)と呼び[注釈 3]、特に厚く供養する風習がある。
名称
ぼに
全国的風習
釜蓋朔日
七夕、棚幡詳細は「七夕」を参照
迎え火
送り火江戸時代の五山送り火の様子
盆踊り詳細は「盆踊り」を参照東京都足立区にあった盆踊り(2014年)
初盆・新盆新盆の家の入口に飾られた提灯(本来は白無地)(香取市)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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