おもひでぽろぽろ
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飯塚雅弓
押谷芽衣
小峰めぐみ
滝沢幸代
石川匡
増田裕生
佐藤広純
岩崎ひろみ
後藤弘司
石川幸子
近藤芳正
渡辺昌子
伊藤シン
古林嘉弘
仙道孝子
柳葉敏郎
音楽星勝
主題歌都はるみ
愛は花、君はその種子
編集瀬山武司
制作会社スタジオジブリ
製作会社徳間書店
日本テレビ放送網
博報堂
配給 東宝
GKIDS
公開 1991年7月20日
2016年2月26日[4][5]
上映時間119分[6]
製作国 日本
言語日本語
配給収入18億7000万円[7]
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『おもひでぽろぽろ』(英題:Only Yesterday)は岡本螢刀根夕子作の同漫画を原作に1991年7月20日に公開されたスタジオジブリ制作の日本アニメーション映画でスタジオジブリがスタッフを社員化にして作った最初の作品。高畑勲監督長編アニメーション映画化第7作。キャッチコピーは「私はワタシと旅に出る」。
概要

企画立案者はオムニバスプロモーション斯波重治で、宮崎駿曰く「アニメ化するには難解な原作で、高畑勲しか監督できない」と企画を持ち込んだ[注 5]。一方、鈴木敏夫は2018年のインタビューにおいて、『火垂るの墓』を未完成なまま公開した高畑に再度監督できる機会を与えるとしたら「ジブリとしてこの作品を高畑さんでやると発表することだ」と宮崎が言ったと述べている[8]高瀬駅山形県山形市・旧駅舎)

全編に徹底したリアリズムが貫かれ、舞台となった1982年の山形県山形市高瀬地区の様子や仙山線高瀬駅などが緻密に描かれている。また、1966年の描写においてもその当時の様子を徹底的なリサーチを元に描いている。特にブラウン管の中に登場する『ひょっこりひょうたん島』については、当時ほとんど現存しなかった関係資料を捜し求め、苦労の末に偶然、録音していたカセットの持ち主を探し出し、当時の内容を再現したほどである。また1966年当時、高視聴率だったドラマ『おはなはん』の曲を挿入するなど、当時の様子の再現には細かい配慮がみられる。

監督には『火垂るの墓』以来3年ぶりに高畑勲を起用。本作も『火垂るの墓』と同じく現在進行形のストーリーではなく、主人公による過去の回想を軸としたストーリー展開である。企画当初高畑は本作を手がけることに消極的だったが、鈴木敏夫が説得するなかで「思い出を思い出すということは、思い出す人がいるんでしょう」と発言、「高校生の主人公による回想」を「27歳のキャリアウーマン」に変えたという[8]。ただしテレビアニメ絵本では大人のシーンは省略され、物語のラストも視点が異なる都合上本編とは異なる。

鈴木敏夫によれば、本作は主役のタエ子役=今井美樹ありきの企画であり、高畑は「今井さん以外、考えられない」「彼女(今井)がやってくれないんだったら、この企画はボツです」と語ったと言う[9]

1982年のパートははっきりとした色調で描かれており、現実にありそうな風景になっている。主人公であるタエコとトシオのキャラクターイメージも、演じた今井と柳葉敏郎を意図したデザインになっている。対して、1966年のパートは淡い色調で描かれており、「思い出の中の風景」という雰囲気をかもし出している。

また1982年を描いたパートは、演者の音声を事前にレコーディングしてからアニメを制作するというプレスコ手法を採用した[10]。映画『じゃりン子チエ』で、声優に起用された芸能人の話芸をアフレコでは十分生かせなかったと感じていた高畑は、本作で初めてプレスコを導入し、続く『平成狸合戦ぽんぽこ』以降はすべての劇場作品でプレスコを採用するようになった。

また主題歌はアマンダ・マクブルーム作詞・曲(ベット・ミドラー歌)の「The Rose」を高畑勲が日本語に訳し、都はるみが歌った「愛は花、君はその種子」。

日本で「ジブリがいっぱいCOLLECTION」シリーズとして発売されたセルビデオは、20万本を出荷した[11]

2016年2月に北米で劇場公開された[5]。英語吹き替え版が北米で劇場公開されるのはこれが初になる[12]。配給はGKIDS[4][5]

劇団わらび座の企画制作、スタジオジブリの協力により、2011年にスタジオ・ジブリ作品として初めて舞台化された[13][14]
あらすじ

1982年の夏。27歳になるOL岡島タエ子は、勤務先で休暇を取得。姉・ナナ子の夫の親類宅に2度目の滞在をさせてもらうことになった。

タエ子は、山形へ向かう寝台特急あけぼの3号の車中で、田舎がないことで寂しい思いをした小学5年生の自分を思い出す。その後、電車から降りたタエ子はトシオと出会ってしばらくの間車に乗って家に移動する。滞在先の家の息子・トシオや農家の人々と交流するうちに、さらに当時の思い出がよみがえっていき、次第にタエ子は農家の人々の暮らしに強い魅力を感じるようになる。

そんなタエ子の心境を見抜いたトシオの祖母は、トシオと結婚してこちらへの永住を思わせる発言をする。しかし、タエ子の気持ちは所詮「都会育ちの人が田舎暮らしに憧れている」だけに過ぎず、時として重労働にもなる農家の仕事を、結婚しつつ生涯ずっと続ける運命だと思っていなかったため、思わず家を飛び出してしまった。そこへ畑から帰る途中、雨の中泣いているタエ子と偶然居合わせたトシオは、自分が農業を始めた経緯を話し、「祖母の言ったことなど気にする必要はないし、万が一そうなってもタエ子はタエ子のペースとやり方でやって行けばいいし、無理ならば素直に辞めたっていいんだ」と優しく励ましてくれた。トシオの言葉に勇気をもらったタエ子は、彼の明るくまっすぐなところに少しずつ惹かれ始めていた。

結局、タエ子は自分の本当の気持ちを言うことができないまま、冬に再び帰郷する前提で東京に帰ってしまおうと列車に乗り込む。車中で今までの人生の記憶があふれる中でトシオともっと話がしたいと思ったタエ子は、(演出で)タエ子の前に集まってきたかつての小学生たちを見たことで、途中で列車を降りて永住の話に同意するためと思われる連絡を公衆電話で行い、迎えに来た彼の車で元来た道を戻っていく。そして、精神的に自立し始めたタエ子の姿を、小学5年生のタエ子とその同級生たちの面影が静かに見守るのであった。


なお、「思い出」の描写は以下の順番である。序盤は4つが一気に描写されるが、その後は間をあけて登場する。

タエ子が小学時代に旅行で風呂に入ってそのままのぼせる話、パイナップルの味を家族で確かめる話、淡い初恋の記憶、タエ子が初めて生理を経験する話、たった一度だけお父さんに殴られた話、分数の割り算が解けないタエ子、親がタエ子を芸能事務所に入れるのを拒否するが、家では「ひょっこりひょうたん島」が放送されていた話、少しの間だけ同級生だった「あべくん」との苦い記憶の話。
声の出演

キャラクター日本語版英語版
岡島タエ子
今井美樹デイジー・リドリー[4][5]
本名陽子アリソン・フェルナンデス
トシオ柳葉敏郎デーヴ・パテール


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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