おとり捜査を一定の場合には許容する考え方の中にも、機会提供型は適法とする一方、犯意誘発型は違法とする見解のほか(この見解の中でも、犯意誘発型は実体的訴訟要件を欠くため免訴とする見解や、犯意を誘発して犯罪を実行させることが人格的自律権を侵害するため違法であるとする見解[8]などがある)、任意捜査一般の問題として、おとり捜査によって侵害される捜査対象者の利益と、捜査の必要性・相当性とを比較衡量してその適法性を検討する見解[3][9]、捜査対象者の被侵害利益ではなく、おとり捜査によって創出される法益侵害の性質に着目して相当性を判断すべきとする見解[10]などがある。
フィクションにおける「おとり捜査」
小説
『おとり捜査官』(山田正紀) - 推理小説のシリーズ。『女囮捜査官』『五巻推理シリーズ』『囮捜査官・北見志穂』とも。
『道警シリーズ』(佐々木譲) - 推理小説のシリーズ。中心テーマではないが、主要人物が過去におとり捜査に携わった結果PTSDに陥るなどしている。
テレビドラマ
『おとり捜査官・北見志穂』(原作は上述の『おとり捜査官』)
漫画
『おっとり捜査』(小手川ゆあ)
参考文献
河上和雄・中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・渡辺咲子 編『大コンメンタール 刑事訴訟法 第二版 第4巻(第189条?第246条)』青林書院、2012年
脚注^ 河上和雄 & 河村博 2012, p. 28.
^ “250人逮捕…きっかけの大学、実は偽物 米政府が設立”. 朝日新聞 (2019年11月28日). 2019年11月28日閲覧。
^ a b c 山上佳子「おとり捜査」『新実例刑事訴訟法I』5頁以下
^ 団藤重光『新刑事訴訟法要綱』159頁、鈴木茂嗣『刑事訴訟法』63頁など
^ 甲斐行夫「判批」刑事訴訟法判例百選(第八版)26頁
^ 東京高判昭和57年10月15日判時1095号155頁など。
^ 事件番号平成7年(あ)第548号、判例集未搭載。尾崎久仁子「判批」法律のひろば50巻7号71頁参照。
^ a b 三井誠『刑事手続(1)』89頁
^ 長沼範良ほか『演習刑事訴訟法』180頁(大澤裕執筆部分)
^ 佐藤隆之「判批」『刑事訴訟法判例百選(第七版)』26頁以下、酒巻匡「おとり捜査」法学教室260号106頁
関連項目
捜査
プロバカートル
身分秘匿捜査
麻薬取締官
麻薬取締員
泳がせ捜査
違法収集証拠排除法則
アンダーカバー
尋問
鳥居耀蔵 - 天保の改革当時の江戸南町奉行。禁制品の取り締まりなどでおとり捜査を多用し悪評を受けた