おたく
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だから正確に言えば、“オタクになりたい”んじゃなくて、“拠りどころになりうる、好きなものが欲しい”だし、それは“個性的な自分でありたい”だし、一番正直に言うなら“自己紹介欄に書く要素が欲しい”なんですよね」と語っている[28]

原田曜平は、非常に多くの若者たちが、自分のことを「オタク」と自称するようになっていることを挙げ、本来であれば、サブカルチャー好きを指す言葉である「オタク」というワードが、メジャーなカルチャーにまで使われるようになってきていることに驚いたと述べている。また、話題になった作品だけをチェックしており、オタク知識は総じてそう深くない「エセオタク」が増えており、濃度の高いオタク(ガチオタ)からは「にわかオタク」と揶揄されることもある[29]

また、日本政府観光資源の一環として、国策で「クールジャパン」戦略を行うようになったのも2010年代からであり、迫害から一転し、おたく文化は政府お墨付きの“体制側”の文化になったとも言える。

オタク層は選挙の動きも左右するほどになっており、第25回参議院議員通常選挙自民党山田太郎が当選した際には、オタク票を味方につけたことが勝因と評された[30]第26回参議院議員通常選挙では漫画家の赤松健自民党)が比例トップ当選し、自民党内の組織票系候補者すら軽く上回っている[31]

2016年に行われた調査によると、18歳から29歳の間で好きなテレビ番組のうち、10年前から大きく伸びているジャンルが「アニメ」であり、20pt以上増加しているのに対して、「音楽」「スポーツ」が10pt以上低下している。また、若者女性も男性と同様に、大きく伸びているのは「アニメ」で、「音楽」「現代ドラマ」が約10ptダウンするなど、若者の好きなテレビ番組を2006年と比較すると、男女ともに「アニメ」が大きく上昇している。一方で、「バラエティ番組」「音楽」「スポーツ」「テレビドラマ」が低下するなど、テレビ番組に対する好みが10年間で大きく変化しており[32]、アニメとスポーツやテレビドラマ等といった大衆文化メインカルチャー)との、人気の逆転現象が見受けられる。
おたくの変遷

「おたく」の意味や定義は世代によって大きく異なる。そのため、おたくを題材とした評論では、1960年前後生まれを第一世代として10年ごとに1970年前後生まれを第二世代、1980年前後生まれを第三世代と、世代で分類することが多い。世代が下がるにつれて「ライトなオタクが増えている」との指摘もある[33]。ここでは個人の違いは捨象し、世代ごとの大まかな傾向を概観する。
オタク以前おたくという言葉が生まれる以前は、おたくの同義語として、主に「マニア」やきちがいを略して「○○キチ」(釣りキチ等)「ファンダム」等と呼ばれていた。基本的にはSFと特撮ファンが中心で、流行した作品に『キング・コング』(1933年)や『原子怪獣現わる』(1953年)初代『ゴジラ』(1954年)『キングコング対ゴジラ』(1962年)『大魔神』(1966年)『2001年宇宙の旅』(1968年)「猿の惑星シリーズ」(1968年?1973年)や、『鉄人28号』等がある。
オタク第一世代(1960年前後生まれ)テレビの発展と共に育った世代で、アニメに抵抗のない最初の世代といえる。幼少期、少年期に流行したテレビ番組に第1期『ウルトラシリーズ』Qマンセブン)のほか、『オバケのQ太郎』(モノクロ版)、『魔法使いサリー』、『巨人の星』、『8時だョ!全員集合』、『仮面ライダー』、『天才バカボン』、『世界名作劇場』シリーズ、『ルパン三世』、『マジンガーZ』、『宇宙戦艦ヤマト』などがある。怪獣ブーム変身ブームを体験した世代であり、特撮オタクとなった者も多い。いわゆる断層の世代(概ね中期しらけ世代の世代)、もしくは新人類(概ね後期しらけ世代から前期バブル世代までの世代)である。「大人になったらアニメや漫画は卒業する」という考え方がまだ根強い時代でもあったため、同世代の大半はインドアなオタク文化ではなく、主に電通などの広告代理店フジテレビホイチョイ等が主導していた、ネアカ恋愛至上主義的文化や、スキーブーム等のアウトドアを消費するのが主流であった。そのため、オタク文化がまだ珍しいサブカルチャーとしてネクラ扱いされつつも容認されていた時代に青年期を過ごしている。しかし、1989年に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人が同世代であったため、主に年長者やオタク趣味を持たない同世代から、偏見差別を受ける原因にもなった。「断層の世代」も参照
オタク第二世代(1970年前後生まれ)前の世代が作り上げた爛熟し細分化したオタク系文化を10代で享受した世代[34]。いわゆる後期バブル世代から団塊ジュニア氷河期世代である。代表的な出来事として、『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』『週刊少年ジャンプ』などの少年漫画誌の隆盛、『機動戦士ガンダム』や『銀河鉄道999』『うる星やつら』に代表されるアニメブームガンプラブーム、「ファミリーコンピュータ」(1983年)の大ヒットによる家庭用ゲーム機の普及、『ゼビウス』(1983年)などのアーケードゲームのブーム、「PC-9800」や「MSX」等のホビーパソコンマイコン)ブーム、『スター・ウォーズ』(1977年)『E.T.』(1982年)『ターミネーター』(1984年)『ブレードランナー』(1982年)などのSF映画サイバーパンク作品の世界的なブームなどが挙げられる。アニメ雑誌の相次ぐ創刊、「アニメイト」などの専門店の創業、コミックマーケットの大規模化、美少女ゲームアダルトゲームの登場など、オタク文化や二次元文化が急速に発展する一方で、オタク第一世代と同様に、青年期に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件によってオタクバッシングが激化し、偏見・差別に晒された世代であった。
オタク第三世代(1980年前後生まれ)後期ポスト団塊ジュニア世代?プレッシャー世代。就職氷河期の後半の世代にあたる。彼らの少年期は、1990年代初頭にかけて前述の連続幼女誘拐殺人事件によるオタクバッシングの余波が続き、神戸連続児童殺傷事件以降の少年犯罪報道の激化などいくつかの動きと重なってアニメの性的表現、残虐・暴力描写の自主規制が行われる時代であった[35]


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